◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇vol.19-2010.03.09
      
   ☆☆☆ Weekly Accounting Journal ☆☆☆

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こんにちは、エキスパーツリンク/エキスパーツ税理士法人の紺野です。日本
の会計基準はIFRSに近づき(コンバージェンス)、さらにその後IFRSが強制適用
(アドプション)されます。一方で税制も改正されており、上場会社及び上場準
備会社の決算・経理実務は今後も引き続き、目まぐるしく変化していきます。
これらのエッセンスを出来る限り、分かりやすくお伝えします。仕事の合間に
軽くどうぞ!

文中意見にわたる部分は僕の私見にもとづきます。このメールマガジンの情報
をもとに実務に適用される場合には、監査法人さんや顧問税理士さん等にご確
認ください。もちろん、エキスパーツリンク/エキスパーツ税理士法人でもま
ずは無料で検討させていただきます。

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◆◇今週のCONTENTS◆◇
1.[最新J-GAAP]マネジメント・アプローチ(第三回)
2.[IFRS]有形固定資産の測定(第五回~当初認識後の測定)
3.[最新J-GAAP&IFRS&税務]収益認識
4.[編集後記]

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1.[最新J-GAAP]マネジメント・アプローチ(第三回)
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続きです。セグメント情報では、以下を開示する必要があります。

(3)各セグメントで開示される個別項目の合計額とこれに対応する財務諸表計
上額との間の差異調整に関する事項

報告セグメントと財務諸表の間で、
・売上高
・利益(又は損失)
・資産
・負債
・その他開示される各項目

に重要な調整事項がある場合、これを個別に記載しなければならないとされて
います。

ぶっつけ本番ですと怖いですから、前期の数値で一度お試しいただいたほうが
よいと思います。前々回記載したように、適用初年度においては、前年度のセ
グメント情報を新会計基準に準拠して作り直す必要がありますのでね。やや時
間があるときにやってみてはいかがですか。

基本的に会社が取締役会や経営会議などで普段使用している財務報告資料と基
本的に同じ方法なのですが、特定の収益、費用、資産又は負債を事業セグメン
トに配分することとした場合には、企業は合理的な基準に従って配分しなけれ
ばならないとされていますので、これら配分が合理的なのかどうか等、事前に
検証し、監査法人さんにも確認しておくことは結構ありますよね。

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2.[IFRS]有形固定資産の測定(第五回~当初認識後の測定)
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当初認識後の測定。減価償却をどうするか、です。

(原価モデルと再評価モデル)
原価モデルと再評価モデルがあります。このいずれかを選択します。

原価モデルは、有形固定資産項目を、取得原価から減価償却累計額及び減損損
失累計額を控除した価額で計上する方法です。なじみのある方法ですよね。

再評価モデルは、有形固定資産項目を、再評価実施日における公正価値から、
その後の減価償却累計額及びその後の減損損失累計額を控除した評価額で計上
する方法です。

なんか大変そうですよね。でも、大丈夫です。実務的には再評価モデルを採用
している会社はEUでもほとんどないそうです。フォーチュン誌の2008年度売上
高上位100社中、IFRS採用企業は49社だそうですが、48社が原価モデルですので、
基本的には原価モデルを採用すればよいと思います。

この再評価モデルについては、あまり馴染むものはないのではないでしょうか。
中古市場が充実しているような減価償却資産ということでしょうか。直感的に
いつも思い浮かぶのは、ジェット機です。税法基準で償却すると絶対売却益が
でるんですよね。特に今の日本の定率法って償却早いですからね。まあ、あま
りジェット機が上場会社のBSに載っていることはないでしょうから、やはり、
適用は限定的と予想されますね。

(つづく)

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3.[最新J-GAAP&IFRS]収益認識
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先週の設例
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【返品の可能性がある取引】
音楽用ソフト等の制作販売を行うレコード会社等は販売後、返品を受け入れる
慣行がある。返品はある程度合理的に見積もりが可能。
このような取引において、以下のように販売当初の時点ですべての音楽用ソフ
ト等について売上計上するものの、将来の返品に対応する売上総利益相当額を
返品調整引当金として計上している実務が多い。

・返品の可能性のある売上 100
・予想される返品率 10%
・当該商品の利益率 20%

(期末)
売掛金 100 / 売上 100
返品調整引当金繰入額 2 / 返品調整引当金 2 ※
※100*10%*20%=2

(翌期)
売上 10 / 売掛金 10
返品調整引当金 2 / 返品調整引当金戻入額 2
***********************************

───────────────────────────────────
【J-GAAP】
『法人税法が返品調整引当金の設定を認めているため、会計上も販売当初時点
で予想される返品を含んだ額で収益を認識するとともに、返品調整引当金を計
上している実務がある。』
としており、

『返品に係る引当金を計上することを条件に、販売当初時点で予想される返品
の額を控除した額で収益を認識することは適切』

『将来の返品の額を合理的に見積もることができない場合には・・・(中略)・
・・収益を認識することは適切ではなく・・・』

としています。つまり、

実務は設問のとおり、売上から返品見積額を控除せず、繰入額を計上すること
があるとしていますが、理論的には返品見積額は売上から控除しなさいといっ
ています。

すなわち、
(期末)
売掛金 100 / 売上 100
売上 10 / 返品調整引当金 10 ※
※100*10%=10

(翌期)
返品調整引当金 10 / 売掛金 10(予想通り返品された場合です)

ということなのです。なお、返品見積額については売上を計上しないわけです
から、棚卸資産は依然として資産計上されます。粗利が20%であれば上記の(期
末)には

棚卸資産 8 / 売上原価 8

という仕訳が追加されるわけですね。

【IFRS】
『所有に伴うリスクのうち重要でないものだけを負っている場合には、返品に
係るリスクを信頼性をもって見積もった金額で負債として認識することを条件
に、販売時点で収益が認識される。』

重複になるので、端折りますが、ここはJ-GAAPの理論的な考察と同じ結果にな
ります。
───────────────────────────────────

まあ、これも『同じ』なんです。いままでの実務は何だったんでしょう?「税
法が返品調整引当金を認めているから会計も認めていたのだ」というような記
載に読めますよね。そんなことではなかったように思いますが。

次は微妙な問題ですね。

***********************************
【請求済未出荷販売】
買手の要請により、納期を過ぎても売手が物品を預かったり、買手の指定する
保管場所に預けるような場合があるが、そのような取引の中には、物品の対価
を買手に請求できる場合がある。なお、当該物品は他の物品とは区別して保管
され、買手の指示があればいつでも引き渡せる状態にある。
***********************************

微妙ですね。監査上、認めたくないですね。

答えは次週!

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4.[編集後記]
===================================
また不正がありましたね。日発販売株式会社で、仕入に係る不正がありました。
3月4日、架空仕入、虚偽の在庫報告等が行われていたことが公表されました。
複数期間にわたり行われていたようですが、この元従業員は、恐らく仕入代金
を自分の懐に入れていたのでしょう。

仕入部門の不正は過去にも色々と報告がなされているところです。僕も監査の
現場でいくつか出会いました。

このような仕入に係る不正については、
・長年同じ担当者が継続している(機会)。
・購入要求と発注者が分離していない、棚卸の立会が行われていない等、十分
 な牽制がかかっていない(機会)。
・同じ仕入先との取引が継続すると仕入先は謝礼等に応じやすくなる(誘因)。

などが生じやすく、これに従業員自らが会社から十分な評価が与えられていな
いと感じているなど(正当化)が重なると不正につながるリスクが高まります。

今回のケースは仕入先と結託しているのかどうか不明ですが、仕入先と結託さ
れると、検証などの内部統制を構築していても個人的なキックバックなど、不
正につながる可能性を完全にはぬぐいきれません。

やはり一番よいのは「ローテーション」ということになりますね。経営資源か
ら考えると、なかなか難しいですが。

内部監査では、長年同じ担当者が継続している場合、基本的な内部統制(上述
の購入要求と発注者の分離、棚卸の立会等)の有効性のみならず、仕入先との
取引の合理性(品質面、価格面で合理的といえるか。合見積などの手続は踏ん
でいるか。等)にも注意が必要ですね。

不景気ですから、不正のリスクは高まっていると思います。ご注意を!

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 公認会計士・税理士・公認内部監査人(CIA) 紺野良一
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