◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇vol.159-2012.11.13
      
   ☆☆☆ Weekly Accounting Journal ☆☆☆

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こんにちは、エキスパーツリンク/エキスパーツ税理士法人の紺野です。日本
の会計基準は、今、IFRSで揺れ動いています。一方で税制も改正されており、
上場会社及び上場準備会社の決算・経理実務は今後も引き続き、目まぐるしく
変化していきます。これらのエッセンスを、上場会社及び上場準備会社の経理
担当者の皆さん向けに、出来る限り分かりやすくお伝えします。仕事の合間に
軽くどうぞ!

文中意見にわたる部分は僕の私見にもとづきます。このメールマガジンの情報
をもとに実務に適用される場合には、監査法人さんや顧問税理士さん等にご確
認ください。もちろん、エキスパーツリンク/エキスパーツ税理士法人でもま
ずは無料で検討させていただきます。

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◆◇今週のCONTENTS◆◇
1.[税務]貸倒損失の立証責任は誰にあるか?
2.[税務]貸倒損失に係る質疑応答事例は要チェック!
3.[時事]税理士の資格取得制度のあり方(意見書)に対する疑問
4.[税務]子会社整理する場合の損失負担
5.[税務]問題70
6.[編集後記]

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1.[税務]貸倒損失の立証責任は誰にあるか?
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貸倒損失って、なかなか計上できないというイメージは強いですが、実際どう
なのか、会計・監査ジャーナルNo.688に記事が出ていますので、これをもとに
確認しましょう。

そもそも法人税基本通達では貸倒損失は以下の三パターンに限られます。
・債権が法律的に消滅した場合(法基通9-6-1)
・法律的には債権が存在するが、事実上その全額が回収不能の場合
(法基通9-6-2)
・売掛債権について取引停止後1年以上弁済がない場合及び回収費用が債権の
総額を上回る場合(法基通9-6-3)

9-6-1や9-6-3は比較的明確ですが、一番判断に迷うのが9-6-2ですよね。
9-6-2.ちょっと振り返ってみましょう。

「法人の有する金銭債権につき、その債務者の資産状況、支払能力等からみて
その全額が回収できないことが明らかになった場合には、その明らかになった
事業年度において貸倒れとして損金経理をすることができる。(以下省略)」

ここからが重要です。

◎「債務者の資産状況、支払能力等からみて」ですので、「資産状況」も「支
払能力」も把握できない場合、貸倒損失は計上できないのか?

→この通達は、貸倒発生の判断材料を例示的に示したものであるといわれてお
り、必ずしも債務者側の資産状況や支払能力の直接確認が必須の要件になるも
のではなく、「事業閉鎖(休業)」や「行方不明」などの周辺事情も考慮される
といわれています。
※この他にも、「死亡」、「刑の執行」、「債務超過」、「天災事故」、「経済事
情の急変」などを総合考慮すると事実上回収できないような場合も含まれ
ると考えてよいでしょう。

◎それではその立証責任は誰にあるのでしょう?

→貸倒損失の損金計上に際しては、納税者側にも一定の立証責任があるとされ
ていますが、その程度は、平成6年8月29日の仙台地裁の判決によりますと、
「貸倒損失の存在をある程度合理的に推認させるに足りる」程度とされていま
す。

ですから、上述の「事業閉鎖(休業)」、「行方不明」、「死亡」、「刑の執
行」、「債務超過」、「天災事故」、「経済事情の急変」などに至った経緯や
その時期、回収努力の状況、回収不能と判断した事情などを記録に残し、その
説明資料をもって貸倒処理の存在を合理的に推認させるに足りる程度の主張す
る必要があるといえます。

この立証をすることで、その後の立証責任は税務当局側に移るということです。

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2.[税務] 貸倒損失に係る質疑応答事例は要チェック!
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平成24年11月2日付で国税庁HP「質疑応答事例」に貸倒損失が計上できる例
が4つ追加されています。
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/hojin/01.htm#a-16

・第三者に対して債務免除を行った場合の貸倒れ
・担保物がある場合の貸倒れ
・保証人がいる場合の貸倒れ
・通信販売により生じた売掛債権の貸倒れ

これ、参考になりますね。検討してみてください。

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3.[時事]税理士の資格取得制度のあり方(意見書)に対する疑問
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会計大学院協会というところが、例の日本税理士会連合会のウェブサイトに掲
載された公益財団法人日本税務研究センター・資格取得制度研究会による「税
理士の資格取得制度のあり方(意見書)~税理士法第3条第1項第3号及び第4
号について~」という反論を出しています。

http://jagspa.jp/pdf/20121106.pdf

意見書における重要な誤解と疑義として以下、論じています。

(1)公認会計士試験及び資格取得に対する誤解
『「公認会計士は法学(特に、公法)の知識を有してはいない」「基本的に法律
学のトレーニングを受けていない公認会計士」等の批判については、公認会計
士試験において租税法の試験があること、及び上記と同様に、実務補修と修了
試験の存在によっても、根拠のない批判である。』
→会計士は会社法、商法、民法などの私法はかなり高いレベルの論文をかけな
ければ合格できません。法律学のトレーニングを受けていないなどというのは
「まったくの誤解」、100歩ゆずっても「言い過ぎ」です。

(2)税理士資格の位置づけに対する誤解
『「税理士業務には会計業務が必然的・不可避的に随伴しているのであるから、
論理必然的に、税理士にもあらゆる企業についての監査業務が認められるべき
であるということにならなければならない」と述べている。こうした主張に対
しては、およそ会計職能と監査職能の何たるかさえも理解していないことに、
愕然とするのである。』
→ほんとですよ。監査論、バカにしてませんか?かなり奥深く、関連規則も膨
大ですよ。また、会計独特の領域もかなり広いですよ。簿記論や財務諸表論で
すべて網羅なんてできないはずです。

(3)税理士業務の水準に係る議論の無視
『(公認会計士から税理士登録を行う者について、税理士業務の水準に満たな
いとの主張に関して)仮にこのことが事実であれば、公認会計士から税理士へ
の途を閉ざすのではなく、現在行われている実務補修や終了試験の内容の水準
を問うべきであろう。』
→まったく同感です。このような事実はないわけですけど。

また、その後の結びの言葉についても、その通り、Face bookだったら「いい
ね!」って感じです。

『わが国の重要な会計プロフェッションたる税理士業界と公認会計士業界とが、
小さな国内の業際問題で血眼を挙げて争い、そのことにエネルギーを割いてい
ることに対して、わが国の会計教育の質の維持と向上及び会計社会の健全な発
展を願うわれわれ会計大学院関係者は、大いなる危惧を抱いている。』

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4.[税務]子会社を整理する場合の損失負担
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法人税基本通達9-4-1
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/hojin/09/09_04_01.htm
にいう「その損失負担等をしなければ今後より大きな損失を蒙ることになるこ
とが社会通念上明らかであると認められる」というのは、どういう場合でしょ
うか?

残念ながら、子会社の業況が芳しくなく、やむなく、解散を選択するしかない
という場合、例えば次のようなものは親会社が負担しても寄附金にはなりませ
ん。

(1)子会社従業員の退職金
退職金制度はあるが、子会社にその原資がないという場合に、親会社が負担を
することは、寄附金にはなりません。原資がないからといって支給しないとい
うことは社会的に許容されるべきものではなく、また、親会社が従業員を再雇
用せざるをえなくなってしまっては元も子もありません。

(2)経営権の譲渡のための債権放棄等
他の企業に経営権を譲渡するような場合に、譲渡先の負担を軽減するために貸
付金の一部を切り捨てたり、新たに資金を投入したりすることによる損失も寄
附金にはなりません。

これらについては、こちら
http://www.nta.go.jp/taxanswer/hojin/5280.htm
が参考になります。

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5.[税務]問題70
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[問70]
×1年度の決算月にすべての使用人に対して各人別にその支給額を通知し、期
末日後、一か月以内に使用人に賞与を支払います。このため、会計上、対応
する社会保険料とともに、未払費用を計上しました。

賞与未払費用  1,000
賞与対応社会保険未払費用 120
とします。
これらに関して損金算入可能な額はいくら?

[答]
a.0
http://clap.mag2.com/hesouwraga?a

b.1,120
http://clap.mag2.com/hesouwraga?b

c.1,000
http://clap.mag2.com/hesouwraga?c

[前回の解答]
前回の正答はcです。

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6.[編集後記]
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復興特別法人税、復興特別所得税などご紹介してきていますが、どうも、復興
予算の流用、多いようですね。嘆かわしい。沖縄の道路改修?官公舎の営繕?
シーシェパード対策?なんのこっちゃ?なぜこのようなことがまかりとおるの
でしょうか。個人的に気に食わないのは、国税庁の全国の税務署の改修などに
充てられているという財務省の「国税庁施設費」(2011年度第3次補正
予算で12億円)。「震災時の業務継続のため」。その必要はあるかもしれま
せん。しかし、それは、復興予算とは別の財源でやりましょうよ。今も仮設住
宅にいる人々など本当に困っている人たちへの配慮はないのでしょうか。復興
特別税もちゃんと使途を監査しないといけませんね。

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*発行人: エキスパーツリンク
 公認会計士・税理士・公認内部監査人(CIA)
  ・ディスクロージャー上級実務士  紺 野 良 一
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