◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇vol.175-2013.03.12
      
   ☆☆☆ Weekly Accounting Journal ☆☆☆

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こんにちは、エキスパーツリンク/エキスパーツ税理士法人の紺野です。日本
の会計基準は、今、IFRSで揺れ動いています。一方で税制も改正されており、
上場会社及び上場準備会社の決算・経理実務は今後も引き続き、目まぐるしく
変化していきます。これらのエッセンスを、上場会社及び上場準備会社の経理
担当者の皆さん向けに、出来る限り分かりやすくお伝えします。仕事の合間に
軽くどうぞ!

文中意見にわたる部分は僕の私見にもとづきます。このメールマガジンの情報
をもとに実務に適用される場合には、監査法人さんや顧問税理士さん等にご確
認ください。もちろん、エキスパーツリンク/エキスパーツ税理士法人でもま
ずは無料で検討させていただきます。

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◆◇今週のCONTENTS◆◇
1.[税務]消費税経過措置と短期前払費用
2.[最新J-GAAP]実効税率
3.[最新J-GAAP]会社計算規則の一部改正案
4.[税務]問題87
5.[編集後記]

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1.[税務]消費税経過措置と短期前払費用
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前払費用として資産計上されているものの消費税の取扱はどうなるでしょうか?

資産の譲渡が行われていない段階ですから、不課税ですよね。期間の経過によ
り資産の譲渡等が行われる課税期間になれば、費用として発生し、仕入税額控
除ができることになるわけです。

ところが、法人税においては、「法人が、前払費用の額でその支払った日から
1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合において、その支払っ
た額に相当する金額を継続してその支払った日の属する事業年度の損金の額に
算入しているときは、これを認める。」(法基通2-2-14)とされていること
から、

消費税においても、「前払費用~(一部省略)~につき~(一部省略)~法基通
2-2-14の取扱いの適用を受けている場合は、当該前払費用に係る課税仕入れ
は、その支出した日の属する課税期間において行ったものとして取り扱う。」
とされています。

要するに法人税で短期前払費用として損金算入するものは消費税もその時点で
仕入税額控除できるということです。

ところが、今回の消費税率の上昇局面においては注意が必要なようです。税務
通信No.3252からかいつまんでお知らせします。

簡単にいうと、平成26年4月から消費税率は8%となるわけですが、

「8%分の消費税を平成26年3月以前の期間において控除することはできない」

ということになりそうです。そう言われれば当たり前のような気はするのです
が、

例えば、平成25年10月1日に同日からの年間契約を締結し、同日に一年分の支
払をしましたという場合、

契約金額上の消費税は、10月~3月分は5%、4月~9月分は8%

ということになります(10月1日ですから経過措置使えないので)。

(1)1月決算
従来は、法人税一年分損金算入、消費税一年分仕入税額控除できたわけですが、
26/1は、法人税一年分損金算入、消費税4か月分(10-1月)しか仕入税額控除でき
ないことになります。

(2)3月決算
従来は、法人税一年分損金算入、消費税一年分仕入税額控除できたわけですが、
26/3は、法人税一年分損金算入、消費税6か月分(10-3月)しか仕入税額控除でき
ないことになります。

5月決算はどうでしょう。このままの流れでいけば、消費税は8か月分
(10-5月)しか仕入税額控除できないことになりそうですよね。ところが、

(3)5月決算
従来は、法人税一年分損金算入、消費税一年分仕入税額控除できたわけですが、
26/5も、法人税一年分損金算入、消費税も一年分仕入税額控除できるようです。
消費税も短期前払費用オッケーといったところでしょうか。

これややこしくないですか。

仕訳考えてみました。

年間の対価を税抜600とすると、10-3月の対価は、税抜300(税込315)、4-9月
の対価は、税抜300(税込324)ですよね。

いずれの場合も、仮払消費税(5%分)15、仮払消費税(8%分)24がでるわけですが、

(1)1月決算の場合
仕入税額控除できるのは10-1月分である15*4/6=10

(2)3月決算の場合
仕入税額控除できるのは10-3月分である15

(3)5月決算の場合
仕入税額控除できるのは全額の39

ということになりそうです。このため、仮払消費税として計上した合計39の
うち、(1)、(2)のケースでは仮受消費税との相殺にならず、そのまま残るこ
とになるように思います。

変ですよね。

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2.[最新J-GAAP]実効税率
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実効税率復習しましょう。

税効果会計で使用する実効税率はどうなりますか?

基本的な考え方は、

(法人税率+法人税率×地方税率+事業税所得割の税率+事業税所得割の標準税率
*地方法人特別税率)/(1+事業税率+事業税所得割の標準税率*地方法人特別税率)

となります。

分子をみてみましょう。

法人税率→これはいいですね。

法人税率×地方税率→都道府県民税法人税割は法人税に税率を乗じて算出しま
すのでこうなります。

事業税所得割の税率→事業税所得割は基本的に法人税と同様に課税所得に税率
を乗じて算出しますのでこうなります。

事業税所得割の標準税率*地方法人特別税率→地方法人特別税は、基準法人所
得割(所得金額に事業税所得割の税率を乗じて算出した金額)に地方法人特別税
の税率を乗じるのですが、この基準法人所得割は、事業税所得割の税率として
超過税率を用いている場合は標準税率で算出しますので、このようになります。

分母をみてみましょう。

なぜ、(1+事業税率+事業税所得割の標準税率*地方法人特別税率)で割るのでし
ょうか。

ちょっと式が複雑になりすぎますのでこの式の後ろのほうの
「事業税率+事業税所得割の標準税率*地方法人特別税率」は「事業税率」とし
てしまいます。

求める実効税率をXとすると、事業税の損金算入効果を考えると、

課税所得×X=課税所得×(法人税率+法人税率×住民税率+事業税率)-課税所得
×事業税率×X

となります。この両辺を課税所得で除して整理すると、

(1+事業税率)×X=法人税率+法人税率×住民税率+事業税率
X=(法人税率×住民税率+事業税率)/ (1+事業税率)

となるわけです。

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3.[最新J-GAAP]会社計算規則の一部改正案
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会社計算規則の一部改正案が公表されています。
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=300080105&Mode=0

『連結貸借対照表の項目として「退職給付に係る資産」,「退職給付に係る負
債」及び「退職給付に係る調整累計額」を,連結株主資本等変動計算書の項
目として「退職給付に係る調整累計額」をそれぞれ追加するとともに,所要
の整備を行う。』

というものです。

ま、これはいいですよね。退職給付の改正、そろそろですよ。準備大丈夫でし
ょうか?

退職給付会計基準34項関係
平成25年4月1日以後開始する事業年度の年度末から適用

退職給付会計基準35項関係
平成26年4月1日以後開始する事業年度の期首から適用

※適用時期は例外もあります。

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4.[税務]問題87
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[問87]
平成25年2月に預金口座に800円の利息が入金されていました。受取利息総額
はいくら?

[答]
a.1,000円
http://clap.mag2.com/hesouwraga?a

b.1,003円
http://clap.mag2.com/hesouwraga?b

c.800円
http://clap.mag2.com/hesouwraga?c

[前回の解答]
前回の正答はbです。

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5.[編集後記]
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アベノミクス。今のところ、順調にきているといえるのではないでしょうか。
このまま、本当の景気回復につながるといいのですが。この「~ミクス」。
振り返ってみると、まずは「レーガノミクス」ですよね。これは「減税」、
「軍事支出増加(強いアメリカ)」、「規制緩和」、「通貨高」でした。これ
によりアメリカでは巨額の財政赤字と累積債務をもたらしました。次は「ク
リントノミクス」。これにより「大きな政府」、「公共投資の拡大」、「技
術開発力の強化」などでした。連邦政府の財政赤字は1998年に解消され2001
年まで黒字が続いたそうです。
この他にはニュージーランドの「ロジャーノミクス」、韓国の「DJノミクス」
(知りませんでしたけど、金大中氏によるものなのですね。)などがあるようで
すね。「サッチャー」もあった気がしたけど、と思ったら、「サッチャリズ
ム」でしたね。

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*発行人: エキスパーツリンク
 公認会計士・税理士・公認内部監査人(CIA) 紺野良一
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