◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇vol.196-2013.08.06
      
   ☆☆☆ Weekly Accounting Journal ☆☆☆

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こんにちは、エキスパーツリンク/エキスパーツ税理士法人の紺野です。日本
の会計基準は、今、IFRSで揺れ動いています。一方で税制も改正されており、
上場会社及び上場準備会社の決算・経理実務は今後も引き続き、目まぐるしく
変化していきます。これらのエッセンスを、上場会社及び上場準備会社の経理
担当者の皆さん向けに、出来る限り分かりやすくお伝えします。仕事の合間に
軽くどうぞ!

文中意見にわたる部分は僕の私見にもとづきます。このメールマガジンの情報
をもとに実務に適用される場合には、監査法人さんや顧問税理士さん等にご確
認ください。もちろん、エキスパーツリンク/エキスパーツ税理士法人でもま
ずは無料で検討させていただきます。

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◆◇今週のCONTENTS◆◇
1.[最新J-GAAP]年度末は退職給付会計ですよ~その1~!
2.[税務]更正の請求と当初申告要件
3.[税務]問題108
4.[編集後記]

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1.[最新J-GAAP]年度末は退職給付会計ですよ~その1~!
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第1四半期も概ね佳境かと思われますが、いかがお過ごしでしょうか。

ちょっと最近遠ざかっていましたが、早いものでもう新退職給付会計基準が適
用される年です。今年は。三月決算基準の話ですけど。

もう一度おさらいしましょう。

[何が変わるか]
以下六点です。
(1)未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用の処理方法
(2)退職給付債務及び勤務費用の計算方法
(3)開示の拡充
(4)複数事業主制度の取扱の見直し
(5)長期期待運用収益率の考え方の明確化
(6)名称等の変更

[適用時期は?]
(1),(3),(5),(6)は平成25年4月1日以後開始する事業年度の年度末から
(2),(4)は平成26年4月1日以後開始する事業年度の期首から
です。ご確認ください。
三月決算でいえば、平成26年3月期末、つまり今期末から適用が始まり、翌
期首から適用されるものも出てくるというわけです。

[今期末から適用されるのは何?]
(1)未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用の処理方法
未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用は、税効果を調整の上、
純資産の部(その他包括利益累計額)に計上することとし、積立状況を示す
額をそのまま負債(又は資産)として計上することとされました。連結だけ
ですけど。で、従来の「退職給付引当金」はなくなって、「退職給付に係
る負債」という表現になります。

イメージとしては、以下のような仕訳が、平成
26年3月末日に入るようになります。

26/3の残高ベースで
未認識数理計算上の差異  1,000
未認識過去勤務費用     300
会計基準変更時差異     200
 計           1,500
従来基準の退職給付引当金  500
実効税率40%とすると、

退職給付引当金       500 / 退職給付に係る負債  2,000
退職給付に係る調整累計額 1,500 /

繰延税金資産        600 / 退職給付に係る調整累計額 600

ですから、未認識差異の合計900(税効果控除後)でその他包括利益累計額に
計上されるわけです。純損益には影響ありませんけど、BSにはそれなりに影
響しますので、今のうちに確認いただいたほうがよいかと思います。

[個別?連結?]
連結財務諸表のみです。
個別財務諸表では従来どおり「退職給付引当金」で表示されます。

[考察]
ところで、いままで退職給付引当金については
ア.全額繰延税金資産を計上している
イ.翌年に回収できると見込まれる部分のみ繰延税金資産を計上している
ウ.まったく繰延税金資産を計上していない

という形であったかと思います。監査委員会報告第66号のいわゆる1,2,3,
4の但書の会社はア.のように全額繰延税金資産を計上しているのではない
でしょうか。4の本文の会社はイ.のように翌年に回収できると見込まれる
部分のみ繰延税金資産を計上しているのではないでしょうか。5の会社は
ウ.にあたりますよね。

さあ、この未認識数理差異等に係る繰延税金資産の回収可能性はどのよう
に考えるのでしょうか。

税効果会計に関するQ&A Q15
「個別財務諸表における繰延税金資産の回収可能性の判断と、この個別財務
諸表における繰延税金資産に連結修正項目に係る繰延税金資産を合算した連
結財務諸表における繰延税金資産の回収可能性の判断は、未認識項目を連結
貸借対照表上で負債(又は資産)として即時認識するか否かにより将来年度
の課税所得の見積りが変わるものではないため、同じになるものと考えられ
ます。」

とのことですので、1,2,3,4の但書の会社は未認識数理差異に係る部分に
ついても繰延税金資産を計上することになると思われます。

一方、4の本文の会社はどうでしょう?

未認識数理差異等の償却をスケジューリングして1年分を回収可能と考える
のか?

最初、ちょっとそうかなと思ってしまったんですが、そうではないですよね。
未認識数理差異等の償却がされたからといって税務上の損金にはなりません。
もともと、未認識数理差異等をオンバランスする前の段階で、退職給付引当金
について1年分を回収可能とみているという場合、退職給付に係る1年分の損
金算入見込額は既に算出済みで、この金額について繰延税金資産を積んできて
いるわけですから、もう繰延税金資産は目いっぱい積んでいるということにな
るように思います。このため、新たに未認識数理差異等がオンバランスされた
からといって、新たに繰延税金資産を計上するということにはならないように
思います。

これ、完全に私見ですので、なにか誤りがあるかもしれません。その際はご指
摘ください。

あと、法人税確定申告書の別表五(一)は特に影響ありませんよね。上記処理は
連結の話ですから。

次回に続く。

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2.[税務]更正の請求と当初申告要件
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更正の請求について、さらっと概要を振り返りましょう。

[更正の請求とは?]
国税について記載しますけど、「国税に関する法律の規定に従っていなかった
こと又はその計算に誤りがあったことにより」「税額が過大」「純損失等の金
額が過少」「還付金が過少になっている場合」
に、還付等を受けることを請求できます。

[更正の請求の提出期限]
平成23年12月2日以後に法定申告期限が到来する国税について、更正の請求
ができる期間が法定申告期限から原則として5年に延長されています。

この更正の請求にあたっては、「当初申告要件」というものがありますのでご
注ください。

「当初申告要件」
「確定申告書等にその適用を受けるべき金額など一定の事項を記載した場合
又は一定の書類を添付した場合に限り、適用する」
という要件があります。これらについては、やはり平成23年12月の改正によ
り一部制限が緩和されている物等ございますので、
こちらをご覧ください。
http://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/encho/index.htm

いずれにしても、更正の請求ができる範囲が広がっておりますので、検討され
てみてはいかがでしょうか?

ただし、ことの性質によっては、過年度遡及会計基準との関係につき検討が必
要になることも考えられますのでご注意ください。

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3.[税務]問題108
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[問108]
長期平準定期保険ではどうでしょう。長期平準定期保険とは保険期間満了時の
被保険者の年齢が70歳を超え、かつ、加入時の被保険者の年齢に保険期間の
2倍に相当する数を加えた数が105を超えるものをいいます。途中で解約する
とかなりの解約返戻金があります。

契約者   法人
被保険者  役員・従業員
保険金受取人
 死亡保険金 法人
の場合、
の毎月の保険料は、「当初」どのように処理すべきですか?

[答]
a.全額資産計上
http://clap.mag2.com/hesouwraga?a

b.全額損金算入
http://clap.mag2.com/hesouwraga?b

c.保険料の1/2を資産計上、1/2を損金算入
http://clap.mag2.com/hesouwraga?c

[前回の解答]
前回の正答はcです。

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4.[編集後記]
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退職給付の話を書いてて思ったのですが、僕ら会計人は、会計基準適用からの
年数で諸行無常と時の移ろいを感じたりしています。
そもそも、二次試験受かった頃はまだ事業税は全部販管費で処理してましたし
、手形売却損なんてないし、キャッシュ・フローもないし、税効果もなかった
ですもんね。減損もないし、資産除去債務なんて影も形もありませんでしたよ。
賞与引当金は税務でも認められていましたし。退職給与引当金もね。税務で認
められてましたよね。だから税務基準で積んでますなんて会社も多かったです
もん。貸倒引当金も、債権償却特別勘定なんてありましたねえ。そう考えると、
いや、まだちょっとありますけど、退職給付の会計基準変更時差異で15年償却
を選択したところが償却終わりましたあ、なんていったら、年齢を感じるでし
ょうねえ。
今年は新退職給付の年かあ。なんかオタクっぽいですねえ。。。

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*発行人: エキスパーツリンク
 公認会計士・税理士・公認内部監査人(CIA) 紺野良一
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