◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆vol.32-2010.06.08
      
   ☆☆☆ Weekly Accounting Journal ☆☆☆

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こんにちは、エキスパーツリンク/エキスパーツ税理士法人の紺野です。日本
の会計基準はIFRSに近づき(コンバージェンス)、さらにその後IFRSが強制適
用(アドプション)されます。一方で税制も改正されており、上場会社及び上場
準備会社の決算・経理実務は今後も引き続き、目まぐるしく変化していきます。
これらのエッセンスを出来る限り、分かりやすくお伝えします。仕事の合間に
軽くどうぞ!

文中意見にわたる部分は僕の私見にもとづきます。このメールマガジンの情報
をもとに実務に適用される場合には、監査法人さんや顧問税理士さん等にご確
認ください。もちろん、エキスパーツリンク/エキスパーツ税理士法人でもま
ずは無料で検討させていただきます。

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本メルマガでは、より皆様のお役に立てる情報を配信したいと考えております
ので、普段の決算・経理・税務実務全般について、ご質問、ご相談等ございま
したら、どんな小さなことでも結構ですので、是非教えてください。必ず何ら
かのご回答差し上げます。
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◆◇今週のCONTENTS◆◇
1.[最新J-GAAP]退職給付に係る負債(第2回)
2.[IFRS]ちょっと一言「OCI」
3.[最新J-GAAP&IFRS]収益認識
4.[編集後記]

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1.[最新J-GAAP]退職給付に係わる負債(第2回)
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シミュレーション書いておきますね。

○2012年3月末
退職給付債務           (10,000)
年金資産               8,000
差引=積立状況を示す額       ( 2,000)
未認識数理計算上の差異      1,400
未認識過去勤務費用         300
会計基準変更時差異の未処理額 (200)
退職給付引当金        (500)

とすると、仕訳は、

退職給付引当金 500  /  退職給付に係る負債 2,000
退職給付に係る調整額 1,500(*1)
繰延税金資産 600 / 退職給付に係る調整額 600(*2)
(*1)1,400+300-200=1,500
(*2)1,500*40%=600

となります。

つまり、2012年3月末は、従来の未認識項目をすべて処理します。また、「退
職給付引当金」という科目は使われなくなり、「退職給付に係る負債」とい
う科目になります。

その相手科目は「退職給付に係る調整額」で、これはいわゆる「その他包括
利益累計額」の区分に含まれるものであり、BS科目です。この金額は将来税
額を変動させますから、税効果を認識するのです。これもBS科目上の調整だ
けで、損益は出ません。

○2012年4月1日
新会計基準に従って退職給付債務を計算すると9,000であったとします。従来
とは違う金額になることがあるのです。

退職給付に係る負債 1,000 / 利益剰余金 1,000
利益剰余金 400 / 繰延税金資産 400
となります。

この差額は利益剰余金で処理するのです。つまりここでも損益は出ません。

大変な影響がある会社さんもあるのではないでしょうか?

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2.[IFRS]ちょっと一言「OCI」
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OCI(オー・シー・アイ)は「Other comprehensive income」(その他包括利益)
でございます。

従来の損益計算書は包括利益計算書として拡充されるわけですが、従前の「当
期純損益」に加えてOCIの各項目を加えることによって、「包括利益」が算出
されるという仕組みになるわけです。なぜ「その他」かというと、従前の「当
期純損益」も「包括利益」の一部だからですね。それ以外という意味なのでし
ょう。

具体的には
・再評価剰余金の変動(固定資産を再評価モデルで評価した場合の項目)
・給付建て年金制度に関する保険数理差損益
・売却可能金融資産の再測定にかかる損益
等々です。

前述の退職給付の「退職給付に係る調整額」というのは、OCIなわけです。

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3.[最新J-GAAP&IFRS]収益認識
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【出版物及びそれに類似するものの購読契約等】
出版業を営む売手は、各号が同等の価値を有すると判断される雑誌の定期購読
契約において値引きをすることがある。また、類似の取引として、読者の獲得
のため、定期購読契約を締結することで初回のみ無料とする場合もある。
この値引きの会計処理はいかに?
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実務では定期購読契約の申込時に販売費及び一般管理費として一括費用処理し
ている場合と、定期購読期間にわたって売上高から控除している場合があるん
ですね。

───────────────────────────────────
【J-GAAP】
「定期購読の契約時に合意されていたことを考えると、売上高から控除して表
示することが適切であると考えられる。」

「売上高からの控除方法については、売手にとって提供する物品の価値が期間
を通して均一であることを考慮すると、値引額を定期購読期間にわたり均等に
配分することが適切と考えられる。」

「初回のみ無料とした場合であっても、考え方は同様」

【IFRS】
基本的にJ-GAAPと同様です。
───────────────────────────────────

まあ、なんてことないかもしれませんが、初回のみ無料としても、初回に売上
を計上しないわけではなく、全体の値引として処理するところには注意が必要
ですね。以前ご紹介したフリーレントの収入計上と同様の考え方ですね。

次は
入場料、行きましょう。

***********************************
遊園地等のテーマパークを運営している企業は、顧客が一定額を支払うことに
よって一年間等の一定期間、追加の入場料を支払うことなしに回数の制限なく
入場することのできる権利(期間入場券等)を販売している。顧客から受領した
金銭は、事後において顧客が入場しなかった場合においても返還する義務を負
っていない。
販売時点に収益計上?定額法?
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4.[編集後記]
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公認会計士細野祐二氏の有罪が確定しましたね。

このシロアリ等害虫駆除の株式会社キャッツの事件は、仕手筋に資金を提供し
て株価操縦を行っていた役員が、資金が続かなくなり関係を断とうとして会社
から資金を引き出し、自社株を買い占めます。

この後始末をするためにいくつかの取引をするのですが、この過程で細野氏が
役員らと共謀したとして虚偽記載半期報告書及び有価証券報告書提出罪の共同
正犯が成立するとされたものです。

昔読んだ「公認会計士VS特捜検察」を再度引っ張り出して、判決文を読んでみ
ました。

60億円を引き出し(「仮払金」処理)、自社株の購入に充てた役員から、キャッ
ツはこの役員個人の同額のパーソナルチェックを受け取り(「仮払金」回収)、
これをファンドに預け入れます(「預け金」処理)。

この時点で中間末決算なのですが、監査法人は預け先から確認状を回収してい
ます。ただ、このパーソナルチェックについては、預け先と役員との間で共謀
があり、支払呈示に回すことはないということになっていたようです。

さらに、期末までにこの60億円はファースト・マイルという会社の株式に化け
ています。この買収は、実はこの役員が支配する別会社が一旦行い、その対価
は5億2千5百万円で、さらに、この会社からキャッツが前述の60億円のパーソナ
ルチェックで買い取っているのです。ただ、この会社は細野氏の主張によると、
十分にこれだけの価値のある会社であったということのようです。第三者によ
る株価算定もあります。

さあ、どこが粉飾なのか、皆さんわかりますか?

こたえは、、、
「本件パーソナルチェックはファンドが60億円を運用するために交付されたも
のではないから、キャッツがファンドに60億円に相当する財産を寄託したとい
うことはできず、半期報告書の預け金に関する記載は虚偽の記載」で、

「ファースト・マイルの買収にあたっても、その代金支払手段とされたものと
は認められないから、同株式を60億円で取得したということはできない。」

とのことです。

もっともっと真剣に情報を吟味、検討しなければ僕なりの結論は出せません。
ただ、取引を裏付ける外形はある程度整っているのではないでしょうか?

一方、同氏は正確には監査チームではなく、「クライアントパートナー」とい
う立場であったようです。監査法人の人間がクライアントとあまり深く係わる
ことは外見的独立性を害します。このことにより、かなり心証を悪くしたので
はないでしょうか?

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*発行人: エキスパーツリンク
 公認会計士・税理士・公認内部監査人(CIA) 紺野良一
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