◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆vol.33-2010.06.15
      
  ☆☆☆ Weekly Accounting Journal ☆☆☆

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こんにちは、エキスパーツリンク/エキスパーツ税理士法人の紺野です。日本
の会計基準はIFRSに近づき(コンバージェンス)、さらにその後IFRSが強制適
用(アドプション)されます。一方で税制も改正されており、上場会社及び上場
準備会社の決算・経理実務は今後も引き続き、目まぐるしく変化していきます。
これらのエッセンスを出来る限り、分かりやすくお伝えします。仕事の合間に
軽くどうぞ!

文中意見にわたる部分は僕の私見にもとづきます。このメールマガジンの情報
をもとに実務に適用される場合には、監査法人さんや顧問税理士さん等にご確
認ください。もちろん、エキスパーツリンク/エキスパーツ税理士法人でもま
ずは無料で検討させていただきます。

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したら、どんな小さなことでも結構ですので、是非教えてください。必ず何ら
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◆◇今週のCONTENTS◆◇
1.[税務]完全支配関係にある場合の寄附金
2.[IFRS]のれんの減損(第1回)
3.[最新J-GAAP&IFRS]収益認識
4.[編集後記]

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1.[税務]完全支配関係にある場合の寄附金
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2010年10月1日から適用となるグループ法人税制、もう適用が近づいているの
で、IFRSよりも気になっている方、多いのではないでしょうか。

以前もお伝えしたのですが、100%グループ内の内国法人間の寄附金について、
支出法人において全額損金不算入とするとともに、受領法人において全額益金
不算入とされます。

この取り扱いにつき、なぜか、無利息貸付をおこなっても、寄附金認定されな
いと、とらえる向きがあるようです。

なぜそういう話になるのか、ピンとこないのですが、寄附金の定義は変わって
いませんので、この取り扱いの明確化を受けて、例えば、親が子に無利息貸付
を行った場合、親会社で寄附金が損金不算入、子会社で受贈益が益金不算入に
なるということをいっているだけであると思います。ただし、まだ完全に確認
されたわけではないかもしれません(「寄附金認定されない」と記載されている
印刷物も存在します)ので、やや注意が必要です。

ところで、完全支配関係を前提としての話ですが、逆に子会社から親会社に資
金を還流させたいときに、子会社から親会社に寄附するとどうなるのでしょう
か?

この寄附金はやはり、子会社で損金不算入、親会社で益金不算入になるのです。
つまり、配当を支払った場合と同じなんですよね。配当を支払う場合は、子会
社では剰余金の処分ですから損金にはなりませんし、親会社では受取配当の益
金不算入がとれるわけですね。

でも、配当であれば、源泉が必要ですから、当初は、全額は受け取れません。
後の源泉所得税の税額控除で回収しますけど。

一方寄附金なら、これはないわけですね。

ん、そう考えると寄附すればいいのか?

そうはいかないようですね。税務上は株主等に対しその出資者たる地位に基づ
いて供与した一切の経済的利益は資本等取引として扱われるようですね(法人税
基本通達1-5-4)。このため、それが寄附なのか、資本等取引なのか確認する必
要があるようです。

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2.[IFRS]のれんの減損(第1回)
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IFRSでは、のれん(資産)は償却しません。その代わりに毎期、減損テストを実
施します。

最初に強調しておきたいのですが、のれんと耐用年数を確定できない無形資産
の減損判定に関しては、毎年、開示が必要であることです。この開示は、これ
らの減損が実際に行われたか否かを問わず、要求されます。

つまり、適当にすますことができず、開示に耐える手続を行っておく必要があ
るわけです。また、適切な開示文章の作成が要求されるわけです。毎年毎年。
大変ですよね!

以下、見てみましょう。

まず、こののれんは日本のアプローチと違って、各資金生成単位又は資金生成
単位グループに配分します。これは事業セグメントよりも大きくないことが必
須です。

ですから、企業買収などで発生したのれんは、その買収先の事業が一つのセグ
メントからなっているのであれば、配分の必要はないかもしれませんが、複数
の事業からなるような場合は合理的な基準で配分する必要があるんですね。

それで配分したのれんについて、毎期減損テストを実施することになります。
この減損テストは毎期同時期に実施します。資金生成単位ごとに異なる時期に
実施することも認められます。ですから、あるのれんは3月、あるのれんは12月
に減損テストを実施するということも、制度上はあり、です。ただし、期中に
行った企業結合により取得した場合は期末までに減損テストの実施が必要です。

そうはいってもですね。例えば3月決算で、3月に減損テストを実施しています
という場合で、第2四半期に債務超過に陥ってしまって、のれんの減損の兆候が
あるというような場合にはやはり減損を行うべきなのではないかと思うのです
が、そのような記述がみあたりません。僕の理解不足かもしれませんが。

また、前期以前に実施した減損テストの詳細な計算は、以下の要件がすべて充
足されていれば当期の減損テストに用いることができます。

・当該資金生成単位を構成する資産及び負債が、直近の回収可能価額の計算時
点から著しく変化していない。
・直近の計算結果において、当該資金生成単位の回収可能価額が帳簿価額に比
して相当程度大きい。
・直近の計算時点以後に発生した事象及び状況の変化を分析した結果、当該資
金生成単位について現在の回収可能価額が現在の帳簿価額を下回る可能性が
極めて低い。

(つづく)

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3.[最新J-GAAP&IFRS]収益認識
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【入場料】
遊園地等のテーマパークを運営している企業は、顧客が一定額を支払うことに
よって一年間等の一定期間、追加の入場料を支払うことなしに回数の制限なく
入場することのできる権利(期間入場券等)を販売している。顧客から受領した
金銭は、事後において顧客が入場しなかった場合においても返還する義務を負
っていない。
販売時点?定額法?
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【J-GAAP】
「期間入場券の販売に伴い提供すべき役務の内容は、契約期間において顧客の
求めに応じて追加の入場料を支払うことなく顧客を入場させることである」

「顧客の対象期間における総入場回数を合理的に見積もることができるのであ
れば、当該回数を基礎として収益を認識することになる」

「合理的に見積もることができない場合には、対象期間にわたって役務を継続
的に提供していると考え、対象期間にわたり定額法により収益を認識」

【IFRS】
「IAS18では、芸術興行、宴会等特別な行事に係わる収益は、それらの行事が行
われたときに認識すべき」

「複数回の行事に対する対価を受領した場合には、販売した全行事における、
各行事の役務の提供の程度を反映するように収益を配分する」

「実務上の配慮として、一定期間における確定不能な回数の行為によって役務
が提供される場合には、定額法による収益の認識を認める」
───────────────────────────────────

まあ、結果的には両者ほぼ同様ですね。もう皆さんおわかりですよね。こうい
う場合、まず販売時点ということはありえません。役務の提供がなされていま
せんから。では定額。とすぐに結論付けることはできません。まずは、その販
売の状況を反映するように収益の配分ができないか、検討するわけです。
しかし、見積もり好きですねえ。
基本的には、ある人に年間パスポートを販売したら、その人が年間で何回来る
のかを見積もり、一回あたりの売上金額を算出し、実際に来場した回数分の売
上を計上するんですねえ。これが出来ない場合に定額法ということになります。

次は、クーリングオフ。考えてみましょう。
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一般消費者向け訪問及び通信販売等において、法律上クーリングオフが適用さ
れる場合がある。
クーリングオフとは一定期間、無条件で申し込みの撤回または契約を解除でき
る法制度のことです。
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この場合、どうでしょう?

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4.[編集後記]
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ちょっと前の話になってしまいましたが、去る2010年5月19日に「国際会計基準
シンポジウム2010」というものが開催されており、「米国がIFRSを強制適用し
ない場合、日本はどうすべきか」という観点から金融庁総務企画局企業開示課
長が意見を述べています。
米国の証券取引委員会(SEC)は米国上場企業のIFRS強制適用を2015年以降とする
声明文をこの2月に出しています。当初は「2014年以降に財務報告を提出する全
企業にIFRSを段階的に適用することの是非について2011年までに決定する」とし
ていたので、当然2014年には米国では適用になるものと思っていましたが、2015
年に後退し、さらに、そもそも2011年にIFRS適用の判断をしない可能性があるい
うことですね。
一方で、米国の四大会計事務所はIFRS強制適用を支持しており、米国の大企業や
金融機関はIFRS早期適用を要求しているようですが、米国政府内には慎重な意見
が結構あるということです。
この場合日本はどうすべきかについて、前述の課長は「日本は米国に先行すべき
でない」という意見を批判しているようです。僕ももはや現時点では、IFRSは世
界の潮流になっていますので、日本は発言力を低下させるべきではなく、米国の
動向に係わらず、日本は日本の判断をすべきと考えています。一方で、IFRSって、
ちょっと、やりすぎ、なんだよなあ、という思いは僕ももっています。J-SOXなど
と同様に「見直し」のプロセスも必要なのではないかと思っています。
というわけで、日本では2015~2016年に強制適用される可能性は相変わらず高い
と思いますよ!

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 公認会計士・税理士・公認内部監査人(CIA) 紺野良一
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