◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇vol.352-2016.09.05
      
    ☆☆☆ Weekly Accounting Journal ☆☆☆

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こんにちは、エキスパーツリンクの紺野です。日本の会計基準は、今、IFRS
で揺れ動いています。一方で税制も改正されており、上場会社及び上場準備会
社の決算・経理実務は今後も引き続き、目まぐるしく変化していきます。これ
らのエッセンスを、上場会社及び上場準備会社の経理担当者の皆さん向けに、
出来る限り分かりやすくお伝えします。何らかの「気づき」をご提供すること
が出来れば幸いです。仕事の合間に軽くどうぞ!

文中意見にわたる部分は私どもの私見にもとづきます。このメールマガジン
の情報をもとに実務に適用される場合には、監査法人さんや顧問税理士さん等
にご確認ください。もちろん、エキスパーツリンクでもまずは無料で検討させ
ていただきます。

◆◇今週のCONTENTS◆◇
1.[NEWS]「単コロ」、「オーバーナイト」
2.[NEWS]アップル課税問題、アイルランドが提訴へ
3.[税務]養老保険の処理
4.[税務]契約者配当金
5.[税務]未収貸付金利子の計上時期の特例
6.[編集後記]

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ありましたら、こちらにどうぞ。紺野に直接届きます。
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1.[NEWS]「単コロ」、「オーバーナイト」
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以下の記事をご紹介しておきます。

驚愕「地方財政の闇」をもう放っておけない
日本中の自治体で「粉飾決算」が行われている
http://toyokeizai.net/articles/-/134122

なんとなく想像がつく方もいらっしゃるかもしれません。

「これまで、県や市などの地方自治体が第3セクターなどの出資法人を地方
創生と称し、再開発事業だ、ライトレールだと野放図に作ってきたところ、
 ことごとく失敗しそのほとんどが事実上、破綻、債務超過になっています。
 ところが、その決算日だけをまたぐような融資を地元の地銀から受けたり
 (一夜貸し)、出納整理期間(4-5月)を利用して元来翌年度に回るべき
 予算を一度あて、決算をまたぎ、あたかも赤字が出ていないようにごまか
 すという手法が横行しているのです。」

「オーバーナイト」は、出資法人などが金融機関から年度末に資金を借り、全
 額を自治体にいったん返済。翌年度に自治体が再び法人に資金を貸し、それ
 をもとに銀行に返済する。というものです。

「単コロ」は、は決算作業のために年度をまたいで資金の調整ができる「出納
 整理期間」(4~5月)を利用。翌年度の財源を充てて、年度末に返済があ
 ったように処理する。というものです。

いずれも違法とまでは言えないのでしょうけれども、何をしているのでしょう
か。

こういうのみると公会計に対する興味がわいてきます。企業会計の常識から考
えれば、そもそも、第3セクターを連結していればこのようなことに意味がな
いことがわかるはずですし、連結していなくても、貸出先に信用不安があれば、
貸倒引当金の計上が必要なはずで、貸倒引当金を積んでいれば、一瞬回収した
としても、実質的に債務を負担しているのであれば何等かの形で引当金の計上
をしなければならないということになるはずです。ルールがあいまいなのでし
ょう。

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2.[NEWS]アップル課税問題、アイルランドが提訴へ
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先週の続きですが、

アイルランド政府は2日の閣議で、欧州連合(EU)欧州委員会に命じられた
米アップルへの追徴課税を不服とし、EUの裁判所に提訴する方針を決めた。
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016090200909&g=int

とのことです。よくわからないことが多いので、少しずつ、私も理解を深めた
いと思います。

まずは根拠。

ティム・クックCEOは「この主張は事実においても法律においても根拠がな
い。」と言っています。

確かに、欧州委員会は何を根拠にこのような主張をしているのでしょうか。
今回登場している国は、アメリカ、アイルランド、オランダですが、それぞ
れがそれぞれの国の税法と、租税条約がある場合はそれに従って、課税をし
たり、しなかったりしたものです。

「欧州委員会の競争政策担当コミッショナー、マルグレッタ・ヴェスタヤー
 氏は声明文で、「EU加盟国は、特定の企業を税で優遇してはならない。そ
 れはEU保護政策規則(EU State Aid Rules)に違反する。(中略)アイル
 ランド政府による優遇により、Appleが欧州で納めた税金は、2003年は欧
 州での収益の1%だったのが、2014年は0.005%だった」と語った。」
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1608/31/news051.html

とのことですね。EU保護政策規則に反する。と。

ということは、今回のアップルのダブルアイリッシュ・ダッチ・サンドイッ
チにおいて、アイルランドが第1法人に課税しないことが、このEU保護政策
規則が言う「特定の企業を税で優遇してはならない」に反しているかどうか、
ということが争点ということになるのでしょうか。

引き続き、注視していきます。

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3.[税務]養老保険の処理
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ちょっと注意が必要と思われるものをまとめます。

養老保険とは、被保険者が死亡した場合に保険金が支払われるほか、保険期間
の満了時に被保険者が生存している場合にも、いわゆる満期保険金が支払われ
ることになっている生命保険をいいます。

この保険料の税務上の処理を確認しましょう。

保険契約者が法人、被保険者が役員又は使用人の場合、

(保険金受取人)

(1)法人の場合・・・保険積立金等として資産に計上

(2)被保険者又はその遺族の場合・・・役員又は使用人に対する給与

(3)死亡保険金は被保険者の遺族、生存保険金は法人の場合
 ・・・2分の1は保険積立金等として資産に計上
 ・・・2分の1は福利厚生費として損金算入、ただし、役員又は部課長その
    他特定の使用人のみを被保険者としている場合には、その役員又は
    使用人に対する給与

となります。

ところで、ここで一つ注意が必要なのは、役員又は使用人の全部又は大部分が
同族関係者である法人については、たとえその役員又は使用人の全部を対象と
して保険に加入する場合であっても、その保険料のうちその同族関係者である
役員又は使用人に係る部分の金額については、これらの者に対する給与として
取り扱われるということですので、ご注意ください。

つまり、養老に入る場合は、役員又は使用人の全員が加入しないと、給与とし
て扱うということはご存知かと思いますが、全員加入していても、役員又は使
用人の全部又は大部分が同族関係者であれば、その同族関係者部分については
給与として取り扱われますということです(法人税基本通達9-3-4)。

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4.[税務]契約者配当金
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次もちょっと注意が必要と思われるものをまとめます。

法人が生命保険契約に基づいて支払を受ける契約者配当については、その通知
を受けた日の属する事業年度の益金の額に算入するのですが、この契約が

養老保険である場合、
 又は
定期付養老保険で、その保険料の額が養老保険に係る保険料の額と定期保険に
係る保険料の額とに区分されていない場合、

契約者配当金については、

その通知を受けた日の属する事業年度において雑収入に計上する方法
及び
既払保険料の額から控除する方法
のいずれも認められます。

つまり、養老保険の配当金は資産から控除することにより益金に算入しないこ
とができる、というわけです。ただ、契約者配当の額に付される利子の額は益
金算入ですからご注意ください(法人税基本通達9-3-8)。

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5.[税務]未収貸付金利子の計上時期の特例
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おさらいしておきましょう。

税務上、滞留貸付金の未収利息は、ずっと計上しなければいけないわけではあ
りません。

法人税基本通達2-1-25です。

法人の有する貸付金又は当該貸付金に係る債務者について次のいずれかの事実
が生じた場合には、当該貸付金から生ずる利子の額(実際に支払を受けた金額
を除く。)のうち当該事業年度に係るものは、当該事業年度の益金の額に算入
しないことができるものとする。

(1) 債務者が債務超過に陥っていることその他相当の理由により、その支払を
   督促したにもかかわらず、当該貸付金から生ずる利子の額のうち当該事業
年度終了の日以前6月((中略))以内にその支払期日が到来したもの(中
略)の全額が当該事業年度終了の時において未収となっており、かつ、直
近6月等以内に最近発生利子以外の利子について支払を受けた金額が全く
ないか又は極めて少額であること。

(2) 債務者につき更生手続が開始されたこと。

(3) 債務者につき債務超過の状態が相当期間継続し、事業好転の見通しがない
こと、当該債務者が天災事故、経済事情の急変等により多大の損失を蒙っ
たことその他これらに類する事由が生じたため、当額貸付金の額の全部又
は相当部分についてその回収が危ぶまれるに至ったこと。

(4) 更生計画認可の決定、債権者集会の協議決定等により当該貸付金の額の全
部又は相当部分について相当期間(おおむね2年以上)棚上げされること
となったこと。

(注)は省略

となっています。

一方会計上も、金融商品会計実務指針119で、

金融商品会計基準(注9)では、債務者から契約上の利払日を相当期間経過し
ても利息の支払を受けていない債権及び破産更生債権等については、既に計上
されている未収利息を当期の損失として処理するとともに、それ以後の期間に
係る利息を計上してはならないとしています。

この延滞期間は、一般には、債務者の状況等に応じて6か月から1年程度が妥
当と考えられるとされています。
未収利息を不計上とした債権については、既に計上されている未収利息の残高
を損失として処理しなければなりません。

このため、会計上は既に計上されている未収利息を当期の損失として処理しま
すが、税務上は、上記の事実が生じた事業年度から、未収利息の計上を見合わ
せることになりますので、申告調整が必要になりますね。

ご確認ください。

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6.[編集後記]
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シン・ゴジラ。
ご覧になった方も多いと思いますが、私も先日、家族連れて見に行きました。
中々面白かったですねえ。いい映画だと思います。総監督・脚本がエヴァンゲ
リオンの庵野秀明監督ですので、なるほど、こんな感じになるのか、と私なり
に納得しました。エヴァンゲリオン全然詳しくない私がみても、似てるところ
たくさんありますよね。・使徒みたいな登場の仕方、・音楽はまんまエヴァ、
・登場キャラクターの理路整然とした早口なしゃべり、・字幕を効果的に使っ
ているところ、・ヤシオリ作戦(ヤシマ作戦?)、・コミュ障みたいな女性課長
補佐、などなど。いや、全然いいんですよ。いい雰囲気でてました。色々なと
ころで語られていると思いますが、東京に「想定外」の脅威が突然訪れた場合
のシミュレーションとして、あの震災時の政府の対応を思い出させ、純粋に、
「面白い」と思いました。
やっぱり一番印象に残ったのは「無人在来線爆弾!」ですかね。あれ最高。も
う一回みたいくらいです。

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*発行人: エキスパーツリンク
 公認会計士・税理士・公認内部監査人(CIA)inactive 紺野良一
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