◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇vol.288-2015.05.28
      
   ☆☆☆ Weekly Accounting Journal ☆☆☆

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こんにちは、エキスパーツリンクの紺野です。日本の会計基準は、今、IFRS
で揺れ動いています。一方で税制も改正されており、上場会社及び上場準備会
社の決算・経理実務は今後も引き続き、目まぐるしく変化していきます。これ
らのエッセンスを、上場会社及び上場準備会社の経理担当者の皆さん向けに、
出来る限り分かりやすくお伝えします。何らかの「気づき」をご提供すること
が出来れば幸いです。仕事の合間に軽くどうぞ!

文中意見にわたる部分は私どもの私見にもとづきます。このメールマガジン
の情報をもとに実務に適用される場合には、監査法人さんや顧問税理士さん等
にご確認ください。もちろん、エキスパーツリンクでもまずは無料で検討させ
ていただきます。

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◆◇今週のCONTENTS◆◇
1.[税務]国際税務入門16
2.[最新J-GAAP]繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針案
3.[税務]税理士に節税策報告義務
4.[最新J-GAAP]税効果会計に関するQ&Aの改正
5.[編集後記]

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1.[税務]国際税務入門16
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 国際税務担当飯田の記事です。

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租税条約では所得の種類に応じて課税ルールが定められていますが、その他所
得とは、租税条約の各条に規定されていない所得をいい、OECD租税条約モデ
ルでは所得の源泉地を問わず、原則受益者の居住地国のみで課税されます。た
だし、その所得が他方の締約国内の恒久的施設(PE)に実質的に関連する場
合は、事業所得条項が適用され、PE所在地国に課税権を与えています。

その他所得には、法人税法施行令第178条に規定されている以下のような所得
が含まれます。

(1) 国内において行う業務又は国内にある資産に関し受ける保険金、補償金又
は損害賠償金(これらに類するものを含む。)に係る所得
(2) 国内にある資産の贈与を受けたことによる所得
(3) 国内において発見された埋蔵物又は国内において拾得された遺失物に係る
所得
(4) 国内において行う懸賞募集に基づいて懸賞として受ける金品その他の経済
的な利益に係る所得
(5) 前各号に掲げるもののほか、国内において行う業務又は国内にある資産に
関し供与を受ける経済的な利益に係る所得

従来からその他所得については、匿名組合契約に係る分配利益の取扱いが問題
となっていました。以前の日本-オランダ租税条約には、匿名組合の分配金に
ついて明文の規定がなかったため、租税条約上の「その他所得」に該当するも
のとして日本には課税権がなく、しかもオランダ国内でも課税されないという
ことになっていました。オランダ法人がダミーであると認定され、米国の大手
証券会社の不動産ファンドが東京国税局から追徴課税されたこともあります。
国際的な多国籍企業は、日本への投資についてしばしば日本-オランダ租税条
約を利用した匿名組合契約を用いてきましたが、それが数年前に改正され、日
本の国内法に基づき20%の税率で源泉課税できるようになった経緯があります。

今回で租税条約に関する概要は終了です。次回以降も国際税務に関するトピッ
クを紹介していきたいと思います。

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2.[最新J-GAAP]繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針案
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とうとうでました「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針(案)」。
平成27年5月26日公表です。

https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/documents/exposure_draft/zeikouka2015/index.shtml

要は、これにより、

繰延税金資産をより多く計上できるケースがあります。

適用時期等は、以下のとおりです。長いですが、引用します。

「(1)平成28年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適
用する。ただし、平成28 年3 月31 日以後終了する連結会計年度及び事
業年度の年度末に係る連結財務諸表及び個別財務諸表から適用すること
ができる。

(2) (1)ただし書きの適用にあたって、早期適用した連結会計年度及び事業年
度の翌年度に係る四半期連結財務諸表及び四半期個別財務諸表において
は、早期適用した連結会計年度及び事業年度の四半期連結財務諸表及び四
半期個別財務諸表について本適用指針を当該年度の期首に遡って適用する。

(3) 本適用指針の適用初年度においては、会計基準等の改正に伴う会計方針の
変更として取り扱う。

(4) 本適用指針の適用初年度においては、当該年度の期首時点で新たな会計方
針を適用した場合の繰延税金資産及び繰延税金負債の額と、前年度末の繰
延税金資産及び繰延税金負債の額との差額を、適用初年度の期首の利益剰
余金に加減する。

ただし、資産又は負債の評価替えにより生じた評価差額等をその他の包括
利益で認識した上で純資産の部のその他の包括利益累計額に計上する場合
又は直接純資産の部の評価・換算差額等に計上する場合、適用初年度の期
首時点で新たな会計方針を適用した場合の繰延税金資産及び繰延税金負債
の額と、前年度末の繰延税金資産及び繰延税金負債の額との差額を、適用
初年度の期首のその他の包括利益累計額又は評価・換算差額等に加減する。

(5) 本適用指針の適用初年度においては、会計基準等の改正に伴う会計方針の
変更による影響額の注記について、企業会計基準第24 号「会計上の変更及
び誤謬の訂正に関する会計基準」(以下「企業会計基準第24 号」という。)
第10 項(5)ただし書きの定めにかかわらず、適用初年度の期首の繰延税金
資産に対する

影響額、利益剰余金に対する影響額、及びその他の包括利益累計額又は評価・
換算差額等に対する影響額を注記する」

3月決算の会社さんにとってみれば、原則は、29/3期の期首からですから、
28/6の第一四半期からということになります。早期適用して28/3期から適用す
ることも可能ですのでご留意ください。

で、どのような影響があるかなのですが、具体的には原本にあたっていただき
たいのですが、かいつまんで書いてみます。

・(分類2)に該当する企業でも、スケジューリング不能な減算一時差異のうち、
税務上の損金算入時期が個別に特定できないが将来のいずれかの時点で損金
算入される可能性が高いと見込まれるものについて、当該将来のいずれかの
時点で回収できることを合理的に説明できる場合、当該スケジューリング不
能な将来減算一時差異に係る繰延税金資産は回収可能性があるものとする。

・(分類3)に該当する企業でも、臨時的な原因により生じたものを除いた課税
所得が大きく増減している原因、中長期計画、過去における中長期計画の達
成状況、過去(3 年)及び当期の課税所得の推移等を勘案して、5 年を超え
る見積可能期間においてスケジューリングされた一時差異等に係る繰延税金
資産が回収可能であることを合理的に説明できる場合、当該繰延税金資産は
回収可能性があるものとする。
なお、ここでいう中長期計画は、おおむね3 年から5 年の計画を想定して
いる。

・(分類4)に該当する企業でも、重要な税務上の欠損金が生じた原因、中長期
計画、過去における中長期計画の達成状況、過去(3 年)及び当期の課税所
得又は税務上の欠損金の推移等を勘案して、将来の一時差異等加減算前課税
所得を見積る場合、将来において5 年超にわたり一時差異等加減算前課税所
得が安定的に生じることが合理的に説明できるときは(分類2)に該当するも
のとして取り扱い、第20項及び第21項の定めに従って繰延税金資産を見積
る場合、当該繰延税金資産は回収可能性があるものとする。

・また、(分類4)に該当する場合でも、同上の検討の結果、将来においておお
むね3 年から5 年程度は一時差異等加減算前課税所得が生じることが合理
的に説明できるときは(分類3)に該当するものとして取り扱い、第23 項
の定めに従って繰延税金資産を見積る場合、当該繰延税金資産は回収可能性
があるものとする。

要は、従来基準で(分類2)~(分類4)(本文、但書ともに)の会社は、繰延税金資
産が増える可能性があるということになります。

まだ、公開草案なので、変更の可能性もありますが、基本路線は変わらないと
思います。早期適用の要否など検討すべきかもしれませんので、ご留意くださ
い。

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3.[税務]税理士に節税策報告義務
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5/26付の日経に「企業の節税策に報告義務 税理士・コンサルに税逃れ防止
へ罰金も」という記事がでましたね。

有料記事
http://www.nikkei.com/article/DGKKASFS25H3D_V20C15A5EE8000/

要約すると、

・2017年から、税理士に、企業に提供している節税策の報告を義務づける。
・大きな税収減につながる節税を対象にし、報告を拒む場合は罰金も検討。
・節税策を作る税理士やコンサルティング会社に加え、節税策の提供を受ける
企業も報告義務付けの可能性あり。
・米英、韓国はすでに導入済み。
・OECDが日本にも義務付けを呼びかける見通し。
・すべての企業ではなく、1年間で億単位の損失を意図的に作り出すような節
税策が報告の対象になりそう。
・米国では年間1千万ドル(約12億円)以上の損失を出す取引などを対象とし
ている。

米国の約12億円に対して、日本は1億円というと、かなり広くなってしまいま
すね。何を以て節税策というのかも議論になりそうです。節税というのは基本
的に合法なものを節税というのでしょうから、これを節税というのか?みたい
なものが多いような気もします。このメルマガでも紹介しているような、ダブ
ルアイリッシュダッチサンドイッチなどは対象にしたいということなんでしょ
うけれども。

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4.[最新J-GAAP]税効果会計に関するQ&Aの改正
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日本公認会計士協会は、平成27年5月26日づけで、「税効果会計に関するQ&
A」を改正しています。

http://www.hp.jicpa.or.jp/specialized_field/post_1808.html

改正の内容は、以下のとおりです。

(1) 平成27年3月31日に公布された「所得税法等の一部を改正する法律」
(平成27年法律第9号)において、法人税法が一部改正され、外国子会社
配当益金不算入制度において外国子会社における損金算入される配当等の
額が適用対象から除外されたことから、制度改正に対応するためQ12を見
直した。

(2) 平成26年3月31日に公布された「所得税法等の一部を改正する法律」(平
成26年法律第10号)において、復興特別法人税制度が改正され、復興特
別法人税が1年前倒しで廃止されることになったため、復興特別法人税に
関するQ14を削除した。

ご参考まで。

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5.[編集後記]
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今回は2.の記事は関係する会社さんも多いと思いますので、軽くお目通しを
お願いします。
Ben Affleck主演の”The accountant”という映画が来年1月29日にリリース
されるようです。「ザ・会計士!」って感じですか。
http://economia.icaew.com/news/may-2015/afflecks-the-accountant-release-revealed
調べてみると、アクションスリラーで、主人公は、温厚なsocially-weird
government accountantですが、実は暗殺者ということのようです。Government
accountantですから、公認会計士とはちょっと違うのでしょうかね。この内
容ですと、会計士の仕事自体はメインに描かれてなさそうですね。
いずれにしても、かっこよく描かれているようで、よかったです。

公認会計士紺野良一事務所のHPを作りましたので、是非ご覧ください。

トップページ
http://kaishaho-kansa.com/
個人会計士による会社法監査
http://kaishaho-kansa.com/audit/personal/

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*発行人: エキスパーツリンク
 公認会計士・税理士・公認内部監査人(CIA) 紺野良一
*URL: http://www.expertslink.jp
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