◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇vol.291-2015.06.21
      
  ☆☆☆ Weekly Accounting Journal ☆☆☆

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こんにちは、エキスパーツリンクの紺野です。日本の会計基準は、今、IFRS
で揺れ動いています。一方で税制も改正されており、上場会社及び上場準備会
社の決算・経理実務は今後も引き続き、目まぐるしく変化していきます。これ
らのエッセンスを、上場会社及び上場準備会社の経理担当者の皆さん向けに、
出来る限り分かりやすくお伝えします。何らかの「気づき」をご提供すること
が出来れば幸いです。仕事の合間に軽くどうぞ!

文中意見にわたる部分は私どもの私見にもとづきます。このメールマガジン
の情報をもとに実務に適用される場合には、監査法人さんや顧問税理士さん等
にご確認ください。もちろん、エキスパーツリンクでもまずは無料で検討させ
ていただきます。
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◆◇今週のCONTENTS◆◇
1.[税務]移転価格対策の重要性
2.[監査]有限責任クロスティア監査法人に対して業務停止処分
3.[監査]仁智監査法人に関する勧告
4.[税務]中小企業の海外事業再編事例集(事業の安定継続のために)
5.[税務]外形標準は損か?
6.[最新J-GAAP&税務]東京都の税率
7.[編集後記]

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1.[税務]移転価格対策の重要性
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国際税務担当飯田の記事です。

前回のメルマガで、新興国における二重課税事案は移転価格税制関連が約半数
を占めていることをお知らせしましたが、移転価格の問題は大企業だけに関係
するものではありません。

移転価格税制というと、「うちの会社のような規模でも移転価格対策が必要な
のでしょうか。」という経理担当者もいらっしゃいます。

従来、移転価格課税のターゲットとなっていた大企業は、移転価格対策として
APA(事前確認制度)に移行しているため、最近は比較的中規模の法人が移転
価格調査のターゲットになっていると言えます。海外に製造子会社や販売子会
社を有する企業にとっては、リスクマネジメントの点から移転価格リスク対策
を講じておくことが必要でしょう。なぜなら、移転価格の調査は通常の場合、
過去6年分が調査の対象となるため、課税が行われると追徴税額が多額になる
からです。

一般に、海外の関連会社との取引に係る日本の親会社の利益率(営業利益率)
が、海外子会社の利益率より低い場合、移転価格の更正リスクは高いと言えま
す。調査官は、親会社の利益率が低いことがグループ間の取引価格に起因する
のではないかと考えるからです。
 
ただし、日本の親会社の利益率が低い原因は必ずしも移転価格ではなく、景気
や為替の変動、工場の稼働率等によるものかもしれません。移転価格の調査で
はそのような状況が生じた原因を聞かれますので、企業としてはすぐに答えら
れるよう準備しておく必要があります。
 
移転価格課税対策を実施するということは、二重課税により必要のないキャッ
シュアウトを防ぐこと、株主に対する説明責任を果たすことであり、海外関連
会社との取引を有する企業にとっては、重要なリスクマネジメントです。

次回からは、移転価格税制に対する基本的な考え方を解説していく予定です。

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2.[監査]有限責任クロスティア監査法人に対して業務停止処分
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お粗末ですね。
http://www.fsa.go.jp/news/26/sonota/20150619-1.html#01

なにかこの手の書かれぶりにも慣れてきてしまった感がありますが、そりゃな
いよね。と思ったのが、以下です。

「監査報告書の記載事項である監査の対象や適用される財務報告の枠組みの記
載内容を誤っている監査報告書を継続的に被監査会社に提出しているなど、監
査の基準に準拠していない監査手続が広範に認められる。」

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3.[監査]仁智監査法人に関する勧告
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もう一つ
http://www.fsa.go.jp/cpaaob/sonota/houdou/kankoku/jinchi.pdf

残念ですねえ。

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4.[税務]中小企業の海外事業再編事例集(事業の安定継続のために)
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中小企業庁は、平成27年6月16日、「中小企業の海外事業再編事例集(事業の
安定継続のために)」をとりまとめ、公表しています。

http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kokusai/2015/150616kaigai.html

(1) 海外事業再編に対応するための留意点
(2) 海外事業再編を行った事例(企業別個表)
(3) データに見る海外事業再編動向

などがまとめられています。

参考までに。

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5.[税務]外形標準は損か?
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外形標準の適用を逃れるために資本金を一億円にする。

このことの効果ってどうなんでしょうか。

現在、中小企業の基準を資本金で判定することの見直しがなされていますの
で、この点にはご注意ください。早ければ2017年度と言われています。

で、東京の税率(平成27年4月1日~28年3月31日までに開始する事業年度)
で考えてみます。

普通法人で軽減税率不適用法人の場合、
 所得割の超過税率は7.18%、標準税率は6.7%
 地方法人特別税は43.2%です。

外形標準課税法人の場合、
 所得割の超過税率は3.4%、標準税率は3.1%
 地方法人特別税は93.5%
 付加価値割は0.756%
 資本割は0.315%です。

ということは外形標準課税を逃れた方が有利な場合とは、

 所得×7.18%+所得×6.7%×43.2%
  <
 所得×3.4%+所得×3.1%×93.5%+付加価値×0.756%+資本金等×0.315%

ということになりますね。所得でくくってみますと、

所得×3.7759% < 付加価値×0.756% + 資本金等×0.315%

ということになります。

ですから、資本金を1億円以下にする場合、

所得が小さいか、マイナスの場合は付加価値割や資本割の分だけ税額は少なく
なる。

のですが、

所得がある程度大きくなる場合は、上述の不等式がなりたたなくなります(付
加価値にも所得の金額が含まれますので単純ではありませんが)ので、資本金
1億円以下にすれば必ず得をするというわけでもありません。ある程度所得
が大きい場合は、むしろ外形標準適用法人であるほうが得な場合もあるはず
です。均等割や、欠損金の活用制限なども考慮に入れる必要がありますので、
ご注意ください。

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6.[最新J-GAAP&税務]東京都の税率
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この件、お伝えしていなかったかもしれません。

東京都主税局は、平成27年6月2日、平成28年4月1日以後に開始する事業
年度に適用される外形標準課税法人に係る税率の条例改正を平成27年第2回
東京都議会定例会に提案する予定である旨、公表しています。この平成27
年第2回東京都議会定例会は、平成27年6月9日から24日までの会期で行われ
るようです。

http://www.tax.metro.tokyo.jp/kazei/pdf/zeiritsukaisei.pdf

この改正案では、
軽減税率不適用法人の所得割は、超過税率2.14%
とされていますので、ご留意ください。

このタイミングで平成28年4月1日以後に開始する事業年度に適用される東
京都の所得割の税率が判明したといってもよいような状況になったわけで
すが、あくまで、条例がとおるのは、6月の会期中ということになります。
このため、5月以前の決算に係る税率をご検討の方は、以下のASBJが示す方
式で推定した税率を適用すべきなのか、この改正案でやってしまうのか、
監査法人さんにご確認いただくべきと思います。ASBJが示す方式で推定し
た率と改正案は異なっているようです。

https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/minutes/20150306/20150306_13.pdf

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7.[編集後記]
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与党の安全保障法案は違憲であるとする憲法学者が多勢のようです。
私もやはりいくつか疑問に思うことはあります。第一に、そもそも軍隊を保有
せず、国の交戦権はこれを認めないとする憲法下ではやはり、無理のある議論
なのではないか、やるなら正攻法で憲法及び関連法案の改正をすべきではない
のか?それでは遅いということなのかもしれませんが、やはり手順は大事です。
第二に、そもそも議論されている自衛権の範囲が十分に国民に伝わっていない
ように思われます。池上彰さんに何度もテレビの特番で三時間位かけて説明し
てもらわないといけないように思います。日本への重要影響事態→同盟国の後
方支援可能、日本への存立危機事態→同盟国が攻撃されれば武力行使可能(三
要件あり)ということですが、日本への存立危機事態があり、日本も同盟国も攻
撃されていない場合では、武力行使しないのですが、日本への存立危機事態が
あり、日本ではなく同盟国が攻撃されている場合では、武力行使できるという
ことになりますね。怖いのは「同盟国が自らの先制攻撃によって反撃を受けた
場合でも新三要件を満たせば日本は集団的自衛権を行使可能」「新三要件を満
たせば敵基地攻撃も可能」ということですね。これらは危ういですよね。前者
については、日本の存立危機事態に至る可能性のある国との関係について、日
本は、同盟国と一心同体の外交をする努力をするのでしょうけれども、同盟国
が武力行使やむなしという判断をするということは、日本も巻き込むという意
思決定をすることと近い判断をするということになるのではないでしょうか。
後者については、タイミングの考え方は、個別的自衛権発動の場合と同様のよ
うですので、同盟国向けのミサイル発射に着手した段階で、日本が敵基地を攻
撃することが可能ということになります。これは個別的自衛権の場合と同様で
すが、先制攻撃です。これが抑止力ということなのかもしれませんが、認めら
れていないはずの交戦権と紙一重ではないでしょうか。もともと敵国がそれに
着手した段階で先制攻撃することは自衛権の範囲だというのはわかりますが、
それが同盟国向けであっても本当にそうなのか。どうなんでしょう。もっと強
い歯止めをかけて実質的に発生することは考えにくいくらいのほうがよいと思
ってしまいます。

公認会計士紺野良一事務所のHPを作りましたので、是非ご覧ください。

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*発行人: エキスパーツリンク
 公認会計士・税理士・公認内部監査人(CIA) 紺野良一
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