◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇vol.329-2016.03.14
      
   ☆☆☆ Weekly Accounting Journal ☆☆☆

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こんにちは、エキスパーツリンクの紺野です。日本の会計基準は、今、IFRS
で揺れ動いています。一方で税制も改正されており、上場会社及び上場準備会
社の決算・経理実務は今後も引き続き、目まぐるしく変化していきます。これ
らのエッセンスを、上場会社及び上場準備会社の経理担当者の皆さん向けに、
出来る限り分かりやすくお伝えします。何らかの「気づき」をご提供すること
が出来れば幸いです。仕事の合間に軽くどうぞ!

文中意見にわたる部分は私どもの私見にもとづきます。このメールマガジン
の情報をもとに実務に適用される場合には、監査法人さんや顧問税理士さん等
にご確認ください。もちろん、エキスパーツリンクでもまずは無料で検討させ
ていただきます。

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◆◇今週のCONTENTS◆◇
1.[最新J-GAAP]「退職給付」マイナス金利は、マイナスのままでもゼロでも
オーケー
2.[最新J-GAAP]現在開発中の会計基準に関する今後の計画
3.[NEWS]日本経団連、会社法施行規則及び会社計算規則による株式会社の各
種書類のひな型の改訂
4.[最新J-GAAP]基準諮問会議からの報告
5.[編集後記]

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1.[税務]「退職給付」マイナス金利は、マイナスのままでもゼロでもオーケ

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平成28年3月9日(水)に行われた第331回企業会計基準委員会で、マイナス
金利について審議が行われました。この結果が、「議事概要別紙」(審議
事項(4)マイナス金利に関する会計上の論点への対応について)として公表
されていますので、ご紹介します。

https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/minutes/20160309/20160309_06.pdf

かなり端折って書きますので、このメルマガは概略理解のためと思って、詳細
は原文にあたってください。

「結論」
平成28年3月決算においては、退職給付債務の割引率について、
・マイナス利回りをそのまま利用する方法
・ゼロを下限とする方法
いずれも、現時点では妨げられない。

ということですと、ゼロとするところが多くなるんじゃないでしょうかね。

「マイナス利回りの論拠」
・一定期間の利回りの変動を考慮して割引率を決定することができる取扱は
削除しており、その趣旨を踏まえるとマイナス金利であってもそのままと
すべき。
・貨幣の時間価値としての意味合いはプラスとマイナスを区別する理由がな
い。
・もともとの計算構造上、期末要支給額を上回る金額が測定されることもあ
る。
・一定の期間以下の利回りのみがマイナスになる場合に、マイナス部分のみ
をゼロに補正することには合理性がない。
・年金資産はマイナス収益率もありうる。債務だけゼロを下限とするのは資
産と負債の測定について整合しなくなる。

「ゼロを下限とする論拠」
・年金資産の運用において、利回りがマイナスになれば、現金保有を続ける
か、利回りがプラスの他の金融商品で運用するはず。このため、従業員に
支給する退職給付の額以上の債務を認識する必要はない。
・「割り増し」自体、直観に反して違和感がある。
・システムが対応できない可能性がある。

このあとの検討も少し触れておきます。

「本論点に対して当委員会としての見解を示すためには相応の審議が必要と考
えられるほか、国際的にも退職給付会計において金利がマイナスになった場
合の取扱いが示されていないことを踏まえると、現時点では、退職給付会計
において金利がマイナスになった場合の取扱いについて当委員会の見解を示
すことは難しい」

個人的には、ゼロで、要支給額でもいいんじゃないかと思いますが、測定値の
正確さ、緻密さという観点からすればマイナスで計算するということなのでし
ょうね。

合目的性、実務上のコストの観点からすると、少なくともマイナス金利が小さ
い間は、ゼロでもいいように思います。

日経でも記事になっています。
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO98231690Z00C16A3DTA000/

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2.[最新J-GAAP]現在開発中の会計基準に関する今後の計画
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企業会計基準委員会は、平成28年3月10日、「現在開発中の会計基準に関す
る今後の計画」を公表しています。
https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/plan/plan_20160309.pdf

簡単にまとめますね。

(収益認識に関する会計基準)
平成28年2月4日、「収益認識に関する包括的な会計基準の開発についての意
見の募集」(コメント期限:平成28年5月31日)

平成30年1月1日以後開始する事業年度に適用が可能となるように会計基準の
開発をすすめる。

(税効果会計に関する指針)
・繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針「以外」の税効果会計に関する
適用指針及び当期税金に関する適用指針
→日本公認会計士協会における既存の実務指針のうち、上記適用指針に含ま
れないものについて、必要な見直しを行ったうえで、ASBJの適用指針とし
て移管することの検討を行っている。
→連結納税制度における新規適用・加入・離脱の差異の税効果会計の取扱い
及び企業結合における取得企業における税効果会計の取扱いの整合性
→監査・保証委員会実務指針第63号「諸税金に関する会計処理及び表示に係
る監査上の取扱い」についても必要な見直しを行ったうえで、ASBJの適用
指針として移管することの検討を行っている。
・税効果会計に適用する税率に関する適用指針
必要な見直しを行ったうえで、ASBJの適用指針として移管することの検討を
行っている。

(リスク分担型DBに係る会計基準に関する指針)
平成28年度に新たに制度化することが予定されている企業年金制度である
「リスク分担型DB」に係る会計処理に関する指針の開発。厚生労働省からの
提案。平成28年4月から6月の間に公開草案公表予定。

(一括取得型による自社株式取得取引に係る会計処理に関する指針)
一括取得型による自社株式取得取引について検討を行っている。公開草案公表
目標時期未定。

(権利確定条件付きで従業員に有償で発行される新株予約権の企業における会計
処理に関する指針)
公開草案公表目標時期未定。

(公共施設等運営権に係る会計処理に関する指針)
PFI事業における公共施設等運営権に係る会計処理に関する指針を開発する。
内閣府の提案。平成28年4月から6月の間に公開草案公表予定。

(実務対応報告第18号の見直し)
実務対応報告第18号「連結財務諸表における在外子会社の会計処理に関する
当面の取扱い」について、資本制金融商品のノンリサイクリング処理につい
て、修正項目の見直しを行うことを予定している。未検討。

(「企業結合に関する会計基準」に係る条件付取得対価の取扱い)
条件付取得対価の一部が返還される場合の取扱いを検討することを予定して
いる。未検討。

(マイナス金利に関連する会計上の論点への対応)
金利スワップの特例処理の取扱いも含め検討を行う。

やはり影響が大きいのは収益認識と税効果ですよね。留意が必要です。

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3.[NEWS]日本経団連、会社法施行規則及び会社計算規則による株式会社の各
種書類のひな型の改訂
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日本経団連が、「会社法施行規則及び会社計算規則による株式会社の各種書類
のひな型」を改訂しました。

http://www.keidanren.or.jp/policy/2016/017.html

「今般、2016年1月に改正法務省令が公布されたこと、2016年3月期に企業
結合に関する会計基準が全面適用になること等から、所要の修正を行いま
した。」
とのことです。

お知らせまで。

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4.[最新J-GAAP]基準諮問会議からの報告
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上述の平成28年3月9日の第331回企業会計基準委員会における基準諮問会
議からの報告をご紹介しておきます。

https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/minutes/20160309/20160309_01.pdf

提案内容は、いくつかありますが、リース取引に関する会計基準に関して、

「IASBが本年1月に公表した新リース基準への対応を含めていただきたい。」

という提案がなされていますので、ご注意ください。今後資産計上の範囲が大
幅に変わってくる可能性が出てきます。

また、このなかで、

「マイナス金利及び平成 28 年度税制改正に対応した減価償却について、必要
に応じて、貴委員会で検討頂きたい。」

というのもあります。マイナス金利は上記のとおりですが、減価償却のほうで
すね。ご承知のとおり、平成28年度税制改正において、建物附属設備及び構
築物の償却方法について、定率法が廃止され、定額法に1本化されることになっ
ています。この件については、私は過去の250%定率法やら200%定率法の経緯
からしても、どうせ正当な理由に基づく会計方針の変更ということになるんだ
ろうと思っておりましたが、T&Aマスターでは、「正当な理由による会計方針
の変更と認められない」可能性もあるという記事が出ているようです。

上記にあるとおり、ASBJから何等かの意見が出るようですので、これを見守り
たいところです。

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5.[編集後記]
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会計基準の適用状況で、たまに時の経過を感じることがあるという話を前にも
書いたことがありますが、今回もそんな話です。確か、退職給付会計が導入さ
れて強制適用になったのは、平成13年4月1日以後開始する事業年度又は連結
会計期間からでした。ここで、いわゆる会計基準変更時差異が出てきたわけで
す。この差異は、15年以内の一定の年数で償却することとされましたので、
最長15年で償却している会社さんも結構あったはずです。その15年がこの平
成28年3月末で経過するというわけですねえ。15年って長いよなあ、と思っ
ていましたが、経過してみると、もう15年経ったかという、何か変な感傷に
浸ってしまいました。会計基準にも、「諸行無常の響きあり」。そんなお話で
した。

公認会計士紺野良一事務所のHPを作りましたので、是非ご覧ください。

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*発行人: エキスパーツリンク
 公認会計士・税理士・公認内部監査人(CIA)inactive 紺野良一
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