◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇vol.339-2016.06.06
      
   ☆☆☆ Weekly Accounting Journal ☆☆☆

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こんにちは、エキスパーツリンクの紺野です。日本の会計基準は、今、IFRS
で揺れ動いています。一方で税制も改正されており、上場会社及び上場準備会
社の決算・経理実務は今後も引き続き、目まぐるしく変化していきます。これ
らのエッセンスを、上場会社及び上場準備会社の経理担当者の皆さん向けに、
出来る限り分かりやすくお伝えします。何らかの「気づき」をご提供すること
が出来れば幸いです。仕事の合間に軽くどうぞ!

文中意見にわたる部分は私どもの私見にもとづきます。このメールマガジン
の情報をもとに実務に適用される場合には、監査法人さんや顧問税理士さん等
にご確認ください。もちろん、エキスパーツリンクでもまずは無料で検討させ
ていただきます。

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◆◇今週のCONTENTS◆◇
1.[税務]移転価格文書はどのように作成するのか~検証単位・比較対象取引
2.[監査]企業年金に監査導入
3.[監査]不正な財務報告と被監査会社との意見の相違に関する実態報告書
4.[最新J-GAAP]減価償却実務対応報告案
5.[最新J-GAAP]繰延税金資産の表示と未実現利益の繰延法の見直し
6.[編集後記]

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1.[税務]移転価格文書はどのように作成するのか~検証単位・比較対象取引
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独立企業間価格の算定は、原則として国外関連取引ごとに行う必要がありま
す。ただし、

1.同一の製品グループに属する取引等を考慮して、独立企業間価格の算定に
ついてもグループ単位で算定したほうが合理的であると考えらえる場合
2.製品の製造にかかる部品の販売と、製品の製造に係るノウハウ等の取引が
一体として行われている場合

など、独立企業間価格の算定についても各取引を一体として算定したほうが合
理的であると認められる場合などは、それらの取引を一括して独立企業間価格
の算定をすることが認められています。実務上は、グループ単位での検証また
は全体をまとめて包括的に検証することが多いです。

なお、複数の取引をまとめて検証対象としている場合、まとめて検証すること
が合理的である理由を文書に記載する必要があります。

比較対象取引とは、検証対象となる国外関連取引との類似性の程度が十分な
「非関連者」との取引を言います。たとえば、親会社が第三者(非関連者)と
行った取引や、非関連者と非関連者との間で行われた取引です。前者は「内部
比較対象取引」といい、後者は「外部比較対象取引」といいます。

独立企業間価格を算定する際、内部比較対象取引があればそれを優先的に用い
ることができますが、そのような取引は非常に少ないといえます。よって、実
務上は外部データベースを使用して比較対象取引を検証するパターンが多くな
ります。例えば、検証対象となる取引がパソコンの製造販売である場合、自社
と同程度の機能・リスクがある会社をデータベースから探し出します。

よく使用されるデータベースとして、ビューロー・ヴァン・ダイク社が提供す
るオシリス(OSIRIS)やスタンダード・アンド・プアーズ社が提供している
コンピュスタット(Compustat)、トムソンロイター社が提供しているワン
ソース(ONESOURCE Transfer Pricing)などがあります。

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2.[監査]企業年金に監査導入
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以前から何度か話に出ていたと思いますが、企業年金への外部監査導入がニュ
ースになっていました。

有料記事
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGC27H0T_Y6A520C1NN1000/

対象は、「複数の事業者が共同で設立した「総合型」と呼ばれる確定給付型の
企業年金基金」

「~監査費用がかかるため、一定の規模以上の基金に限って導入する案が出て
いる」

要するに一定規模以上の「総合型」に外部監査導入ということになりそうです
ね。

年金消失事件。ありましたね、AIJ投資顧問事件です。2012年だったようです
が、これらに端を発するものです。監査導入当初に問題が発覚するなどという
こともありえるかもしれませんね。

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3.[監査]不正な財務報告と被監査会社との意見の相違に関する実態報告書
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日本公認会計士協会は、監査における不正リスク対応基準」の適用状況や公認
会計士の不正な財務報告等に関する意識等を調査し、不正な財務報告等に対し
て会計監査での適切な対応を行うための施策を検討する際の参考とするため、
「不正な財務報告及び監査の過程における被監査会社との意見の相違に関する
実態調査」を行いました。

http://www.hp.jicpa.or.jp/ippan/jicpa_pr/news/20160530zyf.html

上場会社の監査担当者にアンケート調査を行ったもののようです。

いくつか共感できるものをご紹介すると、

○不正な財務報告を防止する上での障害
「適切な財務報告を行うことに対する経営者等の意識の低さ」51.2%
「監査人(公認会計士)の経験・能力の不足」33.7%
「不正な財務報告を行った経営者等に対する罰則・制裁の軽さ」30.7%

○不正リスク対応基準の影響
「一定の効果を認識しつつも作業負荷が増大している」35.7%
「監査実務に与える影響は余りない」21.9%
「余り効果がなく作業負荷が増大している」21.3%
「大きな効果があった」16.2%

○意見の不一致を生じにくくするための提言
・見積項目に関する提言
「経営者の判断の基準や前提条件を、注記等で開示する」
「過去の見積りと実績の乖離等を開示する」
「見積りに過度に依拠する会計処理そのものを減少する」

・会社への罰則規定の強化の提言
「~経営者、被監査会社への罰則規定の強化も検討すべき」

・被監査会社に関する提言
「上場会社の経営者に、証券取引所での所定の研修を義務付けるなど、会計
及び監査制度について継続的に、基礎的な理解を得るような仕組みを導入す
る。」

・公認会計士の活用に関する提言
「上場企業の財務報告責任者は公認会計士であることを必須とする(公認会計
士は会計倫理の教育・意識付けが資格異時の必須条件となっている。)か、公
認会計士でない場合は、会計倫理の順守を促す別途の登録制度の仕組みを構
築し、会計倫理について毎年アップデートされる制度を導入する。」

というところでしょうか。

このほかにも、監査時間に関する問題など、監査の実態が見えてくるような資
料になっています。ご参考ください。

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4.[最新J-GAAP]減価償却実務対応報告案
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以下、基本的に経営財務3262号からお伝えします。

皆様ご案内のとおり、平成28年度税制改正において、税務上、4月1日以後取
得する建物附属設備及び構築物の減価償却方法は定額法のみとなります。

これを受けて会計上も定額法に変更する場合の取扱いについて、

「企業会計基準委員会(ASBJ,小野行雄委員長)は5月23日,実務対応報告
公開草案第46号「平成28年度税制改正に係る減価償却方法の変更に関する実
務上の取扱い(案)」(4月22日公表)へのコメント募集を締め切った。草
案では,4月1日以後取得する建物附属設備及び構築物の減価償却方法を定額
法のみとした平成28年度税制改正を受けた企業会計・開示上の実務対応を
「定率法から定額法への減価償却方法の変更を会計基準等の改正に伴う会計方
針の変更として取り扱う」とし,適用時期を「平成28年4月1日以後最初に
終了する事業年度のみ」としている。」

この場合、以下の内容を注記することになります。

・法人税法の改正に伴い,実務対応報告を適用し,平成28年4月1日以後に
 取得する建物附属設備,構築物又はその両方に係る減価償却方法を定率法
 から定額法に変更している旨

・会計方針の変更による当期への影響額

しかしながら、

「4月1日以後最初に終了する事業年度のみ、会計方針の変更として取り扱う。」

としていることから、この期間に建物附属設備や構築物の取得がない場合はど
うなるのか?という疑問が出てきます。また、3月決算の第1四半期の終了に
間に合わないのか、実務対応報告の公表日が四半期報告書の提出より前になる
場合はどうなるのか?という疑問があるようです。

すなわち、

「・注記について:
  公表日以後最初に終了する事業年度に平成28年4月1日以後取得した建物
  附属設備又は構築物がない場合でも翌事業年度以後将来の期間に影響を及
  ぼす可能性があるときは本公開草案(第4項)の注記は必要か。

 また,このような場合,平成28年4月1日以後初めて建物附属設備又は構築
 物を取得した将来の年度においては,本公開草案(第4項)の注記は不要か。

 ・適用時期について:
  平成28年4月1日以後最初に終了する四半期会計期間に係る四半期報告書
  の提出日が本実務対応報告の公表日前である場合,注記は本実務対応報告
  の公表日後最初に到来する四半期会計期間又は事業年度に行うことでよい
  か。」

という問題が提起されているようです。

一方で、「ただし,平成28年4月1日以後最初に終了する事業年度が本実務
対応報告の公表日前に終了している場合には,当該事業年度に本実務対応報告
を適用することができる。」とされています。これは事業年度が公表日前に終
了しているケースでしょうから、決算期変更などでしょうか、あまり考えにく
いような気がします。

取得がなくとも、検討が必要かもしれません。ご留意ください。

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5.[最新J-GAAP]繰延税金資産の表示と未実現利益の繰延法の見直し
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こちらも経営財務3262号からお伝えします。

税効果会計に関するASBJの検討状況です。

(繰延税金資産等の表示区分を見直し)

現行日本基準→将来減算(加算)一時差異の発生となった取引又は科目が、流動
区分と非流動区分のどちらに属していたかによって決まります。

IFRS、米国基準→すべて非流動区分に表示します。

日本基準もすべて非流動区分に表示する変更が提案されています。

意見としては、

「仮にどちらの表示も有用性に優劣がなく、また、流動と非流動に区分する必
 要がなくなることで作成者のコストが軽減されるのであれば,比較可能性の
 観点からもIFRSや米国基準に整合させてもよいのではないか」との提案です。

監査人からも

「「流動か非流動かの分類の判定の手間が省ける」等の実務上のメリットがあ
 るため賛成多数で,特に異論は出ていない。」とのことです。

将来は固定資産負債のみになりそうですね。

(未実現損益の取扱い)

現行日本基準→繰延法

IFRS→原則として資産負債法

米国基準→繰延法だが、今後改正されて資産負債法となる見込み

こちらは取扱いの見直しについては、実務負担、システム回収コストなどを考
慮し、現時点では結論付けず、米国基準の動向を注視する段階にあります。

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6.[編集後記]
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田野岡大和君事件。皆さんどう思われましたでしょうか。
発見されてよかったことは間違いありません。私はまだ、怪しい、という感覚
をぬぐえません。マットに入れたとしても、6日間、食事せずに水だけであん
なに元気なもんでしょうか。6日間食事せずにいていきなりおにぎり2個食べら
れるのでしょうか。靴が違うのでは?とか、橋のない川を渡ったのか?とか、
近くがゴルフ場で声が聞こえていたはずだ、とか、疑問が多いですね。会計士
は合理的な証憑と説明がないと信用しないようです。

公認会計士紺野良一事務所のHPを作りましたので、是非ご覧ください。

トップページ
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個人会計士による会社法監査
http://kaishaho-kansa.com/audit/personal/

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*発行人: エキスパーツリンク
 公認会計士・税理士・公認内部監査人(CIA) 紺野良一
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