◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇vol.347-2016.08.02
      
   ☆☆☆ Weekly Accounting Journal ☆☆☆

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こんにちは、エキスパーツリンクの紺野です。日本の会計基準は、今、IFRS
で揺れ動いています。一方で税制も改正されており、上場会社及び上場準備会
社の決算・経理実務は今後も引き続き、目まぐるしく変化していきます。これ
らのエッセンスを、上場会社及び上場準備会社の経理担当者の皆さん向けに、
出来る限り分かりやすくお伝えします。何らかの「気づき」をご提供すること
が出来れば幸いです。仕事の合間に軽くどうぞ!

文中意見にわたる部分は私どもの私見にもとづきます。このメールマガジン
の情報をもとに実務に適用される場合には、監査法人さんや顧問税理士さん等
にご確認ください。もちろん、エキスパーツリンクでもまずは無料で検討させ
ていただきます。

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◆◇今週のCONTENTS◆◇
1.[NEWS]伊藤忠は不正会計をしているのか?
2.[税務]平成28年度税制改正の解説
3.[お知らせ]監査法人退職後の進路に関する実態調査報告書
4.[税務]平成29年度税制改正意見・要望書
5.[編集後記]

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1.[NEWS]伊藤忠は不正会計をしているのか?
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このニュースも興味深いですね。

平成28年7月27日朝、米国の投資ファンド、グラウカス・リサーチ・グルー
プが、「伊藤忠商事が1531億円相当の減損損失の認識を意図的に回避し、
2015年3月期の当期純利益を過大報告したと考えている。」という調査レポ
ートを公表しました。

https://glaucusresearch.com/wp-content/uploads/downloads/2016/07/GlaucusResearch-Itochu-TYO_8001-Strong_Sell_July_27_2016-JAPANESE.pdf

こちらで指摘されている事項は三点あります。
(1)ドラモンドJVへの投資を関連会社投資からその他の投資に区分変更し、
  2015年3月期利益を1,531億円過大報告
(2)CITICの連結取込で利益見通しを20%過大報告
(3)頂新への投資を関連会社投資からその他の投資に変更して特別利益
600億円を認識した。

というものです。それぞれ軽くみてみましょう。

(1)
・伊藤忠は、2011年10月ドラモンドJVの株式20%を取得しています。ドラモ
ンドJVは米国の鉱業大手Drommond Company参加で、コロンビア炭鉱事業を
保有・運営・管理する企業です。
→この段階ではおそらく持分法を適用していたのだと思います。

・2013年から同社の業績が急速に悪化。2015年3月期第3四半期の決算説明会
で、伊藤忠の経営陣は、「投資回収は難しい」としていました。

・2015年3月期に同投資を「関連会社投資」から「その他の投資」に切り替え
ました。
→このことにより持分法ではなく、FVTOCIでの評価になります。FVTOCIと
は、公正価値(FV)で測定し、公正価値の変動をその他の包括利益
(OCI)に計上することをいいます。これでも減損を計上すればいいのか
もしれませんが、計上していないので、グラウカスは、この変更は不適切
だといっています。

この「関連会社投資」から「その他の投資」への切り替えは、会社が「重要
な影響力」を有していないと明確に反証しなければなりません。グラウカス
は、重要な影響力を有しているとしています。詳しくは上記リンクをどうぞ。

(2)
CITICはご存じの通り、香港証券取引所に上場している中国の国有企業です。
伊藤忠は、こちらについては20%保有しているため、重要な影響力があり、
関連会社投資であるとして、持分法を適用しているというわけです。
しかしながら、これについても、グラウカスは逆に重要な影響力を有してい
ないとしています。詳しくはやはり上記リンクをどうぞ。

(3)
頂新という会社についても従来は「関連会社投資」として持分法を適用して
いたのですが、JVを解消して単独で保有することになった際に「その他の投
資」に切り替えており、これにより600億円の特別利益を計上しているよう
です。グラウカスはこれも期末予想を達成するためのものだとしています。

これに対して伊藤忠は以下のように反論しています。

http://www.itochu.co.jp/ja/news/files/2016/pdf/160727report5_jR.pdf

http://www.itochu.co.jp/ja/news/files/2016/pdf/ITC160727_2_2_j.pdf

そしてそれを受けてグラウカスは以下のような回答をしています。
https://glaucusresearch.com/wp-content/uploads/downloads/2016/07/GlaucusResearch-Responds-to-Itochu-TYO_8001-July_28_2016-JAPANESE.pdf

(1)については、いずれにしても、減損の必要のあるものは減損しなければな
らないはずですので、大きな含み損があるのかもしれません。

(2)(3)については、株主間の合意があるようですので、伊藤忠の処理は否定で
きないのではないかと思いますが、どうなのでしょうか。

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2.[税務]平成28年度税制改正の解説
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財務省のホームページに平成28年度税制改正の解説が掲示されています。

http://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2016/explanation/index.html

平成28年度税制改正について
所得税法等の改正
租税特別措置法(所得税関係の住宅・土地税制関係)の改正
租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正
租税特別措置法等(所得税関係の事業所得等の課税の特例その他)の改正
法人税等の改正
租税特別措置法(法人税関係)の改正
租税特別措置法(相続税・贈与税関係)の改正
租税特別措置法等(登録免許税関係)の改正
国際課税関係の改正
租税条約の締結・改正
消費税法等の改正
租税特別措置法等(間接税関係)の改正
国税通則法等の改正
地方税法等の改正
平成28年度の租税及び印紙収入予算等について

それぞれ主税局の課長補佐の方々がまとめられているようです。ご参考くださ
い。

うち、もしかするとお伝えしていなかったかもしれませんので、以下、抜粋し
ます。

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独立企業間価格を算定するために必要と認められる書類の提出等がない場合の
推定課税及び同業者調査の要件の明確化

イ 同時文書化対象国外関連取引に係る推定課税及び同業者調査
 次に掲げる場合に該当するときは、所定の方法により算定した金額を独立
企業間価格と推定した課税(「推定課税」といいます。)及び同種の事業を営
む者に対する質問検査(「同業者調査」といいます。)を行うことができるこ
ととされました。

(イ) 国税庁、国税局又は税務署の当該職員が、法人に同時文書化義務のある
国外関連取引(「同時文書化対象国外関連取引」といいます。)に係る独立
企業間価格を算定するために必要と認められる一定の書類(電磁的記録を含
みます。)の提出等を求めた場合において、その提出等を求めた日から45
日を超えない範囲内においてその提出等の準備に通常要する日数を勘案して
当該職員が指定する日までにこれらの提出等がなかったとき。

(ロ) 国税庁、国税局又は税務署の当該職員が、法人に同時文書化対象国外関
連取引に係る独立企業間価格を算定するために重要と認められる一定の書類
(電磁的記録を含みます。)の提出等を求めた場合において、その提出等を
求めた日から60日を超えない範囲内においてその提出等の準備に通常要す
る日数を勘案して当該職員が指定する日までにこれらの提出等がなかったと
き。

ロ 同時文書化免除国外関連取引に係る推定課税及び同業者調査
国税庁、国税局又は税務署の当該職員が、法人に同時文書化義務のない国外関
連取引に係る独立企業間価格を算定するために重要と認められる一定の書類
(電磁的記録を含みます。)の提出等を求めた場合において、その提出等を求
めた日から60日を超えない範囲内においてその提出等の準備に通常要する日数
を勘案して当該職員が指定する日までにこれらの提出等がなかったときは、推
定課税及び同業者調査を行うことができることとされました。

**********************************************************************

ここで気をつけていただきたいのは、ロです。今回の改正で一定規模以上の会
社は文書化義務がなされていますが、文書化義務が課されていない場合でも、
国税庁、国税局又は税務署の当該職員から求められたら、文書を出さないと推
定課税や同業者調査の対象となってしまうということです。ご留意ください。

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3.[お知らせ]監査法人退職後の進路に関する実態調査報告書
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日本公認会計士協会は、公認会計士が監査業務以外にどのような分野で活躍し
ているのか実態を調査することを目的として、監査法人退職後の進路に関する
実態調査を行い、結果を会員向けページで公表しています。

これによると、

監査法人を退職した結果についての満足度は、男女合計で、

大変満足している   39.6%
おおむね満足している 45.8%
どちらともいえない  11.6%
余り満足していない   1.9%
全く満足していない   1.1%

と満足度合いは高いようですね。

回答者の回答時点での勤務形態、勤務先は組織内会計士となっている割合が約
4割と最も多く、その勤務先は上場企業と非上場企業がそれぞれ40%強との
ことですね。男女差では、女性は男性よりも独立開業者の割合は低いものの、
会計事務所等へ勤務している割合は高く、また、家事・育児・介護等に専念し
ている割合が男性に比べ10倍以上高かった(男性 0.9%、女性 11.4%)との
ことです。

なかなかしっかり調べているようです。個人的には、大手監査法人勤務ではな
い公認会計士でも監査を行いやすい環境を整えてもらいたいなと思います。ち
なみに私はこの調査の対象にはなっていません。

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4.[税務]平成29年度税制改正意見・要望書
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日本公認会計士協会は、平成28年7月29日、「平成29年度税制改正意見・要
望書」を公表しています。

http://www.hp.jicpa.or.jp/specialized_field/main/20160729sez.html

政策的要望と個別的要望と出しています。

個別的要望のうち、目を引いたものを書いてみます。

・賞与引当金及び退職給付引当金の損金算入を税務上も認めること
・貸倒引当金を税務上も認めること
・固定資産の減損に係る減損損失については、法人税法上も損金算入を認める
こと
・資産除去債務に係る費用の損金算入の取扱いを明確にすること
などなどです。

減損損失については、

「適正な担税力測定の観点からも、法人税法においても損金算入が認められる
資産評価損の範囲に、企業会計上適正に算定された減損損失を含める措置を
講じられたい。」

としています。

減損損失の損金算入が認められたら企業も計上しやすくなるんじゃないですか
ね。これは難しそうですけど。

ご参考ください。

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5.[編集後記]
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今年も夏祭りの手伝いに駆り出されました。
土曜の朝8:30から、まずは神社でお神輿を出します。今年は本祭りなので、
神輿が出ます。2億円もするものだそうで、なかなか立派です。少しずつ要領
を覚えなければいけないのですが、そう簡単に覚えられるものでもありません。
次に御幸所のセットアップ。提灯つけたり、紅白幕を飾ったり。ボロかった提
灯は買い替えたそうで、きれいになっていてうれしかったです。御幸所の場所
を提供してくれているお宅も、昨年ご主人が亡くなっていて、いつまで使わせ
てもらっていいのか、不安な状況だそうです。今年はさらに日曜日の朝、神輿
が出る前に担ぎ棒の結び方を見て欲しいと言われ、見に行きました。ただ一回
みたからってわかるものではありません。途中からビデオとりましたけど、ま
だまだ私のような若造がやるようなことではないような気がします。

公認会計士紺野良一事務所のHPを作りましたので、是非ご覧ください。

トップページ
http://kaishaho-kansa.com/
個人会計士による会社法監査
http://kaishaho-kansa.com/audit/personal/

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*発行人: エキスパーツリンク
 公認会計士・税理士・公認内部監査人(CIA)inactive 紺野良一
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