◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇vol.279-2015.03.26
      
   ☆☆☆ Weekly Accounting Journal ☆☆☆

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こんにちは、エキスパーツリンクの紺野です。日本の会計基準は、今、IFRS
で揺れ動いています。一方で税制も改正されており、上場会社及び上場準備会
社の決算・経理実務は今後も引き続き、目まぐるしく変化していきます。これ
らのエッセンスを、上場会社及び上場準備会社の経理担当者の皆さん向けに、
出来る限り分かりやすくお伝えします。仕事の合間に軽くどうぞ!

文中意見にわたる部分は僕の私見にもとづきます。このメールマガジンの情報
をもとに実務に適用される場合には、監査法人さんや顧問税理士さん等にご確
認ください。もちろん、エキスパーツリンクでもまずは無料で検討させていた
だきます。

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◆◇今週のCONTENTS◆◇
1.[税務]国際税務入門7
2.[税務]3月決算の会社さんは、所得拡大の「上乗せ」にご注意ください!
3.[最新J-GAAP]評価性引当額の内訳開示
4.[税務]スマホから納税証明書
5.[編集後記]

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1.[税務]国際税務入門7
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 国際税務担当飯田の記事です。

OECDモデル租税条約では、給与所得に関しても規定があります。基本的に、
給与、賃金、その他これらに類する報酬については、勤務が相手国内において
行われない限り相手国では免税となります。また、相手国で勤務した場合でも、
以下の点を要件として相手国での課税を免除しようとするものです。

a.相手国での滞在が課税年度または継続する12か月を通じて、合計183日以下
であること
b.相手国の居住者でない者から給与が支払われること
c.給与が相手国内にある恒久的施設によって負担されること

 例えば、スペイン法人の社員(スペイン居住者)が日本法人に3週間出張し、
会議や商談等に出席するとします。また、当該3週間分の給与はスペイン法人か
ら毎月スペインで支払われる給与に含まれているとします。さらに、このスペ
イン人の社員は個人で事業を行っているわけではありませんので、日本に恒久
的施設を持っていないという前提で考えます。
 
日本-スペイン租税条約第15条では、スペインの居住者が源泉地国である日本で
の勤務で得た給与等に関する所得に関して、日本では、その勤務がその年にお
いて183日を超えない限り、日本での課税が免除されます。これが「短期滞在
者免税」(183日ルール)と言われるものです。
 我が国のほとんどの租税条約では183日ですが、タイとの条約は180日、イ
ンドとの租税条約では2年間を通じて合計183日と規定されています。

183日をどのようにして数えるかについては、相手国によって2つのタイプが
あります。

1つは、暦年で区切って判定するものです。もう1つは、日米租税条約第14条
2(a)のように、その滞在期間の開始または終了があれば、その開始の日1年終
了までの1年のいずれの期間でも、183日を超えてはいけないというものです。
少し複雑なので注意が必要です。

http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/gensen/06/52.htm 

また、病気で出国できなかった場合や、国外の2点間の移動中にトランジット
で滞在した日数は除かれます。

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2.[税務]3月決算の会社さんは、所得拡大の「上乗せ」にご注意ください!
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所得拡大促進税制も二年目に入っているわけですが、「上乗せ」制度確認して
おきましょう。

この3月決算の会社さんにご注意いただきたいのは、

「3月末締め決算の企業で適用1年目(平成26年3月期)の際に旧制度におけ
る要件を満たさなかったものの、同年度について新制度(要件緩和後)の基準で
要件を満たす場合、2年目の適用の際に、1年目の控除額を上乗せして控除で
きる可能性があります。」

という話なんです。

要するに前年とれなかった分と合わせて二年分とれますよ。ということですね。

改正前後の要件を確認しておきましょう。

(改正前)
(1) 当期の「雇用者給与等支給増加額」/「基準雇用者給与等支給額」 ≧ 5%
(2) 当期の「雇用者給与等支給額」 ≧ 前期の「雇用者給与等支給額」
(3) 当期の「平均給与等支給額」 ≧ 前期の「平均給与等支給額」
(平均給与等支給額の対象給与等 → 日雇い労働者を除く国内雇用者への給与等)

(改正後)
(1) 当期の「雇用者給与等支給増加額」/「基準雇用者給与等支給額」 ≧ 2%
(2) 当期の「雇用者給与等支給額」 ≧ 前期の「雇用者給与等支給額」
(3) 当期の「平均給与等支給額」 > 前期の「平均給与等支給額」
(平均給与等支給額の対象給与等 → 継続雇用者への給与等(適用年度及びその
前年度の両方で支給を受けた国内雇用者への給与等)

要は、緩和されているわけですけど、この改正後の要件は、平成26年4月1日
以後に終了する適用年度について適用されています。

ですから、3月決算の会社さんで、平成26年3月期において、改正前の要件は
満たしていないけれども、改正後の要件は満たしているという場合、平成26
年3月期においては、所得拡大促進税制の適用を受けることが出来なかったん
ですね。

ところが、平成27年3月期において、適用2年目の事業年度においても改正後
の要件を満たしている場合、平成27年3月期のもののみならず、平成26年3
月期のものも取り戻すことができるんです。

ただし、平成26年3月期において、改正前の要件を満たしているにも関わらず、
適用しなかった場合は、平成27年3月期において改正後の要件を満たしていた
としても、平成27年3月期の分は控除できるものの、平成26年3月期の分は
だめです。

つまり、

(上乗せ可能パターン)
H26/3
改正前の要件 ×
改正後の要件 ○
H27/3
改正後の要件 ○

(上乗せ不能パターン(1))
H26/3
改正前の要件 ○→適用して申告していない
H27/3
改正後の要件 ○

(上乗せ不能パターン(2))
H26/3
改正前の要件 ×
改正後の要件 ○
H27/3
改正後の要件 ×

ということですね。ちなみに、前期(26/3)の段階で、翌期(27/3)に上乗せが
確実に見込まれるのであれば、繰延税金資産を計上していたはずです。これを
取り崩しことになりますね。

ただ、前期では繰延税金資産を積んでいなかった会社さんでも、要件を満たし
ていれば、適用ができますので、是非ご確認ください。

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3.[最新J-GAAP]評価性引当額の内訳開示
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ASBJは、平成27年3月17日、第17回税効果会計専門委員会を開催していま
す。ここで、評価性引当額の内訳の開示と、繰越欠損金の情報開示等が検討さ
れたようです。経営財務No.3205から記載します。

(評価性引当額の内訳の開示)

評価性引当額って、例えば、土地の減損とか、投資有価証券評価損とか、スケ
ジューリングが不能なものについて、繰延税金資産を計上しないものがあるじ
ゃないですか、あれですね。あれを開示すべきかどうか、ということです。

「繰延税金資産のどの部分に不確実性やリスクがあるのか、経営者がどのよう
に回収可能性の判断を行ったか理解し難い。」

「回収可能性に関する将来予測の材料として評価性引当額の内訳の開示を要請
する声が多く出ていた。」

「繰延税金資産のどの部分が計上不能か、繰越欠損金のうちどの程度を回収可
能と判断したか等が明確になり、利用者の理解可能性が高まると考えられる」

読む人が読めば、業績予測などとの整合性も見えてくるのかもしれませんね。
こうなってくると、より慎重な対応をすべきかもしれません。

(繰越欠損金)
次の情報を開示する案が示されています。
・税務上の繰越欠損金の額
・計上している繰延税金資産の額
・税務上の繰越欠損金の繰越期限
・繰延税金資産の計上根拠

「ASBJは繰越欠損金に関する情報開示について、利用者が繰延税金資産に関す
る不確実性やリスクを検討可能となるため、有用であるとの考えを示した。」
としています。

より慎重な対応が必要かもしれませんね。本当に。

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4.[税務]スマホから納税証明書
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スマホから納税証明書の交付請求ができるようになったようですよ。
http://www.e-tax.nta.go.jp/topics/topics_270323_e-taxsoftsp_shomei.htm

この場合のメリットは

・手数料が安価
・窓口で書面により請求する場合と比べ、短い時間で受けとることができる

ようです。どうなんでしょう?便利なのか?

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5.[編集後記]
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花粉等しんどいですが、頑張って仕事しています。
昨年、日本公認会計士協会に設けられた海外会計・監査調査研究基金資産(岡
本ファンド)による海外派遣として、シンガポールに研修で行ってまいりまし
たが、その報告が会計・監査ジャーナルの2015年4月号に掲載されています。
その頃にもご報告したかもしれませんが、シンガポールの概要、経済状況、税
制・会計制度、金融制度などなど、多岐にわたり研修を国内とシンガポールで
受けてまいりました。また、現地でご活躍されている日本人会計士、税理士の
方々にも多くご挨拶させていただきまして、大変有意義な時間を過ごすことが
できました。私どもが直接シンガポールにブランチを持っているというわけで
はありませんが、何かシンガポールに係ることがございましたら、御紹介等さ
しあげることは出来るようになり、実績も出はじめました。是非この研修を今
後の実務に役立てたいと考えています。

公認会計士紺野良一事務所のHPを作りましたので、是非ご覧ください。

トップページ
http://kaishaho-kansa.com/
個人会計士による会社法監査
http://kaishaho-kansa.com/audit/personal/

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*発行人: エキスパーツリンク
 公認会計士・税理士・公認内部監査人(CIA) 紺野良一
*URL: http://www.expertslink.jp
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