◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇vol.323-2016.02.01
      
   ☆☆☆ Weekly Accounting Journal ☆☆☆

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こんにちは、エキスパーツリンクの紺野です。日本の会計基準は、今、IFRS
で揺れ動いています。一方で税制も改正されており、上場会社及び上場準備会
社の決算・経理実務は今後も引き続き、目まぐるしく変化していきます。これ
らのエッセンスを、上場会社及び上場準備会社の経理担当者の皆さん向けに、
出来る限り分かりやすくお伝えします。何らかの「気づき」をご提供すること
が出来れば幸いです。仕事の合間に軽くどうぞ!

文中意見にわたる部分は私どもの私見にもとづきます。このメールマガジン
の情報をもとに実務に適用される場合には、監査法人さんや顧問税理士さん等
にご確認ください。もちろん、エキスパーツリンクでもまずは無料で検討させ
ていただきます。

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◆◇今週のCONTENTS◆◇
1.[税務]ローカルファイルはどのように作成するのか
2.[NEWS]東芝関連リンク集
3.[監査]公認会計士協会の対応
4.[監査]日本公認会計士協会の指導及び監督について
5.[最新J-GAAP]売上高新会計基準意見公募
6.[編集後記]

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1.[税務]ローカルファイルはどのように作成するのか
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ローカルファイルはどのように作成するのか -移転価格文書の要旨-

移転価格文書の冒頭では、分析の対象となる国外関連取引の内容、対象となる
関連者、検証する事業年度や選定した独立企業間価格の算定方法を記載します。
また、分析結果の要約についても記載します。

例えば以下のような形式で構いません。

作成例)
1.本報告書の要旨
本分析では、株式会社EL(以下「ELJ」)とインドネシア共和国に所在するEL
インドネシア(以下「ELI」)間における取引に関して、我が国における移転
価格税制「租税特別措置法第66条の4」の合理的解釈に基づき、以下の取引に
関する取引価格の妥当性を検証することを目的とする。

1-1 本分析の対象となる取引
(1)検証対象取引
A.ELJ社におけるELI社に対する大豆加工品の販売取引
B.ELJ社におけるELI社に対する技術指導等の役務取引
以下、対象となる取引を記載します。

(2)分析対象年度
第XX期(201X年3月期)
対象年度を記載します。

1-2独立企業間価格の算定方法
ELIを検証対象企業とし、総費用営業利益率を利益水準指標とする取引単位
営業利益法(TNMM)。
検証対象とする企業(どの会社を検証するのか)と、採用した独立企業間価
格の算定方法を記載します。

1-3 検証結果
検証対象企業ELIのXX年加重平均総費用営業利益率は表I-XのとおりX.X%で
あった。これは、表I-Xで示す加重平均値の75%点と中位値の間の値である。
よって、EL社とELI社との取引価格は、我が国における移転価格税制上、問題
ないものと判断する。
分析については専門家の助力が必要となりますが、検証対象企業の利益水準が
移転価格上問題のない範囲に収まっているかを記載します。

次回は事実関係の確認事項について説明します。

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2.[NEWS]東芝関連リンク集
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まだまだ、東芝関連ニュースの勢いはおとろえません。

日経記事はこちら
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL22HGN_S6A120C1000000/

金融庁のホームページにアクセスできないですね。「アノニマス」でしょうか。
記事によると、課徴金は、21億1100万円で、納付期限は3月23日だそうです。

「金融庁は同監査法人の担当社員が「相当の注意を怠った」として、重大な虚
偽のある財務書類を重大な「虚偽のないものとして証明した」と指摘した。」

とのことです。しかしアノニマス困りますね。

原発で損失計上検討 米子会社は1600億円
http://mainichi.jp/articles/20160124/k00/00m/020/072000c

「子会社の米原子力大手「ウェスチングハウス(WH)」関連の資産価値を
2015年度中にも引き下げ、損失計上することを検討していることが23
日分かった。」
「15年9月末時点で、東芝のWH関連ののれん代は3441億円ある。WHは
12〜13年度に原発の新規建設事業などの収益性が低下したとして、計約
13.2億ドル(現在の為替レートで1600億円弱)の損失を計上した。し
かし、親会社である東芝の連結決算では既存原発の保守点検や燃料など他事業
も含めると原発事業は「堅調」と判断し、損失計上を見送った。」

ウェスチングハウスグループ及び東芝連結の双方で、上記ののれんがあります。
ウェスチングハウス個別では減損したけど、東芝連結では取り消したということ
ですね。連結財務諸表においては、他の資産又は資産グループのキャッシュフロ
ーから概ね独立したキャッシュフローを生み出す最少の単位が各連結会社(在外
子会社を含む)の個別財務諸表における資産のグルーピングと異なる場合には、
連結財務諸表においてグルーピングの単位が見直されることになります。既に
2016年3月期は5500億円の赤字となることが発表されています。それでも債務
超過にはならないでしょうけれども、きついですね。

ホリエモン的常識
東芝の不正会計、監査法人に対する厳罰は仕方ない。でも問題ありの両刃の剣
かな
http://diamond.jp/articles/-/85091

全体的によくわかってらっしゃるように感じましたがいかがでしょうか。
「経験上の一般論で言えば、監査法人に監査されるかどうかで、企業の経理責
任者・担当者の緊張度合いは格段に上がります。また、数字は会社の本質を
表すもの。嘘をつき続けることも、監査法人を騙し続けることも、そうそう
はできないと思います。」

しかし、東芝は残念ながら、監査で発覚したのではなく、内部通報なんですよ
ね。

金融庁審査会、大手監査4法人の検査厳格化へ
http://www.yomiuri.co.jp/economy/20160127-OYT1T50004.html?from=tw

「現在は隔年で立ち入り検査を行っているが、検査の翌年に新たに簡易検査を
実施し、問題点の改善が進んでいるかどうかを確認する。」

厳格化の流れになるだろうなとは社会全体がそう思っているでしょうから驚き
はありませんが、監査法人ばっかりいじめていませんかね。ホリエモンさんお
っしゃるとおり、監査法人も委縮してしまいます。経営者不正なんですから、
経営者にも目を向けるべきですよね。

東芝、監査を厳格化 不適切会計受け「あらた」起用
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ27HXE_X20C16A1TI1000/

「27日、2016年3月期で契約を打ち切る新日本監査法人に代わり、来期から
PwCあらた監査法人を起用すると発表した。約5年ごとに監査法人を見直
すことも検討する。」

「あらた」でしたね。5年ごとの監査法人交代はなかなか画期的であります。
まあ、5年位で変えたほうがいいのかもしれません。

東芝、歴代社長らへの請求は32億で収まらず
http://toyokeizai.net/articles/-/102646?page=2
経営者への責任追及という意味では、いい動きなのではないでしょうか。こう
いうことをすればこうなるという、いい教訓を残しているのかもしれません。

「東芝は1月27日、旧役員に対して提起している損害賠償請求訴訟の請求額
を当初の3億円から10倍以上の32億円に増やすと発表した。」

「大幅に増額をしたのは、有価証券報告書に虚偽記載があったとし、金融庁か
ら納付命令を受けていた73億7350万円の課徴金を国庫に納付したこと。監
査法人から2015年8月~9月に発生した過年度決算訂正に係る監査費用20
億7152万円の支払いを済ませたことで、新たに損害として認識されたた
めだ。」

この過年度決算訂正の監査費用、新日本に対する課徴金の額に近いですね。こ
れで払えばいいわけですか。

旧役員に気をつかってしまうのかもしれませんが、やはりここは厳格に対処す
べきなのでしょう。気の毒かもしれませんが、やはり当事者が一番の責任をと
るべきです。

新日本監査法人、業務改善計画を提出
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGC29H0Z_Z20C16A1EE8000/

「~新日本監査法人は29日、金融庁に業務改善計画を提出した。」

「経営会議や監査の質をチェックする専門委員会などに外部有識者8人を招き、
監査体制を立て直す。」

「2月1日付で新理事長に就く辻幸一氏は東芝の不祥事を見抜けなかった背景
について「地位に安住し、組織改革をする意識が希薄だった」と述べた。」

かなりたたかれましたけど、やはり新日本監査法人は日本を代表する監査法人
として立て直してほしいものです。中央青山はこの局面で瓦解しました。

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3.[監査]公認会計士協会の対応
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日本公認会計士協会は、2016年1月27日、会長通牒平成28年第1号「公認会
計士監査の信頼回復に向けた監査業務への取組」を公表しています。

http://www.hp.jicpa.or.jp/ippan/jicpa_pr/news/files/0-99-0-2-20160127.pdf

(1)リスク・アプローチに基づく監査
(2)職業的専門化としての懐疑心
(3)経営者による内部統制を無効化するリスク
(4)会計上の見積りの監査
(5)監査チーム内の情報共有
(6) 審査
(7) 監査時間・期間の確保

ほぼ従来から言われていることかと思います。公認会計士としては、より強く
認識しなければならないでしょう。内部統制無効化リスクが項目として挙げら
れているのが少し目新しいでしょうか。

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4.[監査]日本公認会計士協会の指導及び監督について
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日本公認会計士協会は、平成28年1月27日、以下の文書を公表しています。

http://www.hp.jicpa.or.jp/ippan/jicpa_pr/news/files/3-99-0b-2-20160127.pdf

「日本公認会計士協会では、平成 27 年7月 21 日付け「Press Release
「当協会の調査について」」にてお知らせいたしました上場企業における会計
不祥事に係る監査実施状況に関し監査業務審査会において調査した結果、当該
企業の監査を実施した会員について、改善を要する事項があったものと認めま
した。
今後、日本公認会計士協会では、当該会員から改善の状況について報告を受
け、その状況を確認し、必要な指導及び監督をして参ります。
さらに、当該会員の監査における会則及び規則違反事実の有無や懲戒処分を
相当とするかについて審議を進めることといたしました。」

これはご案内の通りですよね。

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5.[最新J-GAAP]売上高新会計基準意見公募
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ASBJは2月に売上高の計上に関する新しい基準(収益認識基準)への意見公募を
始めます。

http://www.nikkei.com/article/DGKKZO96528020V20C16A1DTA000/

事例集がでます。幅広い業種に影響を及ぼしますので、これは注視していきま
す。IFRSや米国会計基準では2018年1月から新基準が導入されます。皆様も
ご留意ください。

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6.[編集後記]
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ちょっとニュース多すぎですね。そういう時期なんでしょうね。記事として載
せきれないものがありますので、来週にまわします。
法定調書、償却資産税は今日が期限ですが大丈夫でしょうか。私たちはなぜか
11月12月の決算会社が多く、12月1月は決算でバタバタしているなかで、こ
れらの作業がありますので、なかなか大変です。そんななかで気温の変化も
激しいと、どうも体がついていかないようで、私はここのところ、風邪っぽ
い、状況が続いています。葛根湯飲んでどうにかごまかしていますが、皆さん
もお体にはお気をつけて。

公認会計士紺野良一事務所のHPを作りましたので、是非ご覧ください。

トップページ
http://kaishaho-kansa.com/
個人会計士による会社法監査
http://kaishaho-kansa.com/audit/personal/

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*発行人: エキスパーツリンク
 公認会計士・税理士・公認内部監査人(CIA)inactive 紺野良一
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