【Weekly accounting journal】vol.168~非支配株主との取引は資本取引~
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇vol.168-2013.01.22
☆☆☆ Weekly Accounting Journal ☆☆☆
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こんにちは、エキスパーツリンク/エキスパーツ税理士法人の紺野です。日本
の会計基準は、今、IFRSで揺れ動いています。一方で税制も改正されており、
上場会社及び上場準備会社の決算・経理実務は今後も引き続き、目まぐるしく
変化していきます。これらのエッセンスを、上場会社及び上場準備会社の経理
担当者の皆さん向けに、出来る限り分かりやすくお伝えします。仕事の合間に
軽くどうぞ!
文中意見にわたる部分は僕の私見にもとづきます。このメールマガジンの情報
をもとに実務に適用される場合には、監査法人さんや顧問税理士さん等にご確
認ください。もちろん、エキスパーツリンク/エキスパーツ税理士法人でもま
ずは無料で検討させていただきます。
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◆◇今週のCONTENTS◆◇
1.[最新J-GAAP]非支配株主との取引は資本取引となります。
2.[最新J-GAAP]当期純利益が大きく変わります。
3.[税務]中小企業交際費全額損金算入!
4.[最新J-GAAP]問題80
5.[編集後記]
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1.[最新J-GAAP]非支配株主との取引は資本取引となります。
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企業結合会計基準関係の改正公開草案ですが、少しずつ詳細をご紹介したいと
思います。
まず、「非支配株主との取引は資本取引となります。」ということなのです
が、具体的にみてみましょう。
(1)追加取得
まずは追加取得ですが、
(現行)
「子会社株式(子会社出資金を含む。以下同じ。)を追加取得した場合には、
追加取得した株式(出資金を含む。以下同じ。)に対応する持分を少数株主
持分から減額し、追加取得により増加した親会社の持分(以下「追加取得持
分」という。)を追加投資額と相殺消去する。追加取得持分と追加投資額と
の間に生じた差額は、のれん(又は負ののれん)として処理する。」
とされていました。これが、
(公開草案)
「子会社株式(子会社出資金を含む。以下同じ。)を追加取得した場合には、
追加取得した株式(出資金を含む。以下同じ。)に対応する持分を非支配株
主持分から減額し、追加取得により増加した親会社の持分(以下「追加取得
持分」という。)を追加投資額と相殺消去する。追加取得持分と追加投資額
との間に生じた差額は、資本剰余金とする。」
となります。すなわち、
(現行)
少数株主持分 ××× / CASH ×××
のれん ×××
だったのが、
(公開草案)
非支配株主持分 ××× / CASH ×××
資本剰余金 ×××
となります。
※これらは連結財務諸表上で直接行われるべき会計処理をイメージしたもの
であり、個別財務諸表を合算した後の連結修正仕訳とは異なることにご注意
ください。
(2)一部売却
(現行)
「子会社株式を一部売却した場合(親会社と子会社の支配関係が継続してい
る場合に限る。)には、売却した株式に対応する持分を親会社の持分から減
額し、少数株主持分を増額する。売却による親会社の持分の減少額(以下
「売却持分」という。)と投資の減少額との間に生じた差額は、子会社株式
の売却損益の修正として処理する。また、売却に伴うのれんの償却額につい
ても同様に処理する。」
(公開草案)
子会社株式を一部売却した場合(親会社と子会社の支配関係が継続している
場合に限る。)には、売却した株式に対応する持分を親会社の持分から減額
し、非支配株主持分を増額する。売却による親会社の持分の減少額(以下
「売却持分」という。)と売却価額との間に生じた差額は、資本剰余金とす
る。また、売却した株式に対応するのれんの未償却額についても同様に処理
する。
(現行)
CASH ××× / 少数株主持分 ×××
/ のれん ×××
/ 子会社株式売却損益 ×××
だったのが、
(公開草案)
CASH ××× / 非支配株主持分 ×××
/ のれん ×××
/ 資本剰余金 ×××
となるわけです。
※これらは連結財務諸表上で直接行われるべき会計処理をイメージしたもの
であり、個別財務諸表を合算した後の連結修正仕訳とは異なることにご注意
ください。
この考え方は「経済的単一体説」によっているといわれています。
連結の考え方としては、大きく二つあります。「親会社説」と「経済的単一
体説」です。
「親会社説」
連結財務諸表を親会社の財務諸表の延長線上に位置づけて、親会社の株主の
持分のみを反映させる考え方
「経済的単一体説」
連結財務諸表を親会社とは区別される企業集団全体の財務諸表と位置づけて、
企業集団を構成するすべての連結会社の株主の持分を反映させる考え方
とされています。僕なりに言うと、親会社の株主に帰属する持分をより意識
しているのが親会社説で、非支配持分も含めてすべてのグループの状況をよ
り意識しているのが経済的単一体説という感じでしょうか。
というわけですので、今後は支配獲得した会社の少数(非支配)株主持分を追
加取得して負ののれんが出て利益が計上されるというようなことはなくなり
ますし、子会社株式を売却しても支配が継続している限り連結では損益は出
ない(個別ではでます)ということになります。
また、ちょっと違和感ありますけど、連結貸借対照表の資本金は親会社のそ
れと一致しますけど、資本剰余金は親会社のそれとは一致しないということ
になりますね。
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2.[最新J-GAAP]当期純利益が大きく変わります。
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次は当期純利益です。
(現行)
「・税金等調整前当期純利益に法人税額等(住民税額及び利益に関連する金額
を課税標準とする事業税額を含む。)を加減して、少数株主損益調整前当期純
利益を表示する。
・少数株主損益調整前当期純利益に少数株主損益を加減して、当期純利益を表
示する。」
とされていますが、
(公開草案)
「・税金等調整前当期純利益に法人税額等(住民税額及び利益に関連する金額
を課税標準とする事業税額を含む。)を加減して、当期純利益を表示する。
・2 計算書方式の場合は、当期純利益に非支配株主に帰属する当期純利益を加
減して、親会社株主に帰属する当期純利益を表示し、1 計算書方式の場合は、
当期純利益の直後に親会社株主に帰属する当期純利益及び非支配株主に帰属す
る当期純利益を付記する。」
とされます。
これ、結構大きいんじゃないでしょうか。
考えてみれば、現行の方法では同じ規模、業種の2つの会社グループがあって
も、少数(非支配)株主持分が多い会社グループと少数(非支配)株主持分がいな
い会社グループでは、少数株主損益調整前当期純利益は同水準だが、当期純利
益は大きく異なるなんてことがありうるわけです。基本的には財務諸表読者は
当期純利益を見てきたはずですから、ここに大きなワナがあったわけです。
非支配株主に帰属する当期純利益、親会社株主に帰属する当期純利益も記載さ
れるわけですから、従来と変わらない数値は把握されるのですが、経営者の立
場としては「当期純利益」が変わるわけですから、経営のスタンスも変わって
くる面がありますよね。従来は親会社株主持分を意識して経営していましたが、
非支配株主持分も含めた全社的な利益をより強く意識することになるはずです。
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3.[税務] 中小企業交際費全額損金算入!
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交際費全額損金算入できたら飲食店の景気がかなり良くなるのではないでしょ
うか?
そんな話を仲間うちですることがありますが、少し拡充するかもしれないとい
うニュースです。
「政府・与党は20日、中小企業を対象に交際費の全額を、法人税がかからない
損金に算入できるようにする方針を固めた。」
とのことです。
(日経有料会員限定記事)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS20008_Q3A120C1EE8000/
具体的には中小企業(資本金1億円以下の法人)は年600万円までの交際費はその
9割が損金算入可能なのですが、年600万円の上限を引き上げるとともに9割と
いわず全額損金算入していいよ!ということですね。
個人事業主は交際費を全額損金算入できますのでこれを軌を一にするというこ
とでしょうね。
もう少し大きな会社まで拡大されるといいのですが、それはないかな。
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4.[最新J-GAAP]問題80
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[問80]
現行会計基準とこの度の企業結合会計基準等改正の公開草案における概念の対
応として正しいものはどれ
「現行の少数株主持分は(ア)、少数株主持分損益は(イ)。現行の少数株主損益
調整前当期純利益は(ウ)、当期純利益は(オ)。」
a.(ア)非支配株主持分として表示され
(イ)情報として開示されなくなる
(ウ)当期純利益として表示され
(エ)情報として開示されなくなる
b.(ア)情報として開示されなくなり
(イ)非支配株主に帰属する当期純利益として表示される
(ウ)当期純利益として表示され
(エ)情報として開示されなくなる
c.(ア)非支配株主持分として表示され
(イ)非支配株主に帰属する当期純利益として表示される
(ウ)当期純利益として表示され
(エ)親会社株主に帰属する当期純利益として表示される
[答]
a. http://clap.mag2.com/hesouwraga?a
b. http://clap.mag2.com/hesouwraga?b
c. http://clap.mag2.com/hesouwraga?c
[前回の解答]
前回の正答はbです。
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5.[編集後記]
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実はうちの息子が中学受験真っ最中です。親としては、どうしてもだらけてい
るところばかり目についてやきもきしているところです。僕自身も中学受験し
ましたが、随分と様子が変わっているのに驚きます。まず昔と決定的に違うの
は、同じ学校の受験が複数回できるということですよね。A校1回目、2回目と
いった感じです。そんなの常識だよと思う方も多いかと思いますが、僕的には
かなりの違いに驚いています。なぜか中学受験は2月1日からの数日間に集中
しますので、第一志望、第二志望、第三志望の学校の受験日をいつにするのか
など戦略が重要になってきます。通常は第一志望の受験は、その学校の初日の
受験日に行うことになるような気がしますが、必ずしもそうではなく過去の各
受験日の偏差値などをみて、自らの実力に照らし、合格しやすい日に受験する
よう工夫し、研究、対策が必要です。一応受験日受験校は決めましたので、あ
とは体調管理して頑張って欲しいものです。それと雪が怖いですね。降らない
といいんですけど。
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*発行人: エキスパーツリンク
公認会計士・税理士・公認内部監査人(CIA) 紺野良一
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