【Weekly accounting journal】vol.169~税制改正大綱概観~
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇vol.169-2013.01.29
☆☆☆ Weekly Accounting Journal ☆☆☆
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こんにちは、エキスパーツリンク/エキスパーツ税理士法人の紺野です。日本
の会計基準は、今、IFRSで揺れ動いています。一方で税制も改正されており、
上場会社及び上場準備会社の決算・経理実務は今後も引き続き、目まぐるしく
変化していきます。これらのエッセンスを、上場会社及び上場準備会社の経理
担当者の皆さん向けに、出来る限り分かりやすくお伝えします。仕事の合間に
軽くどうぞ!
文中意見にわたる部分は僕の私見にもとづきます。このメールマガジンの情報
をもとに実務に適用される場合には、監査法人さんや顧問税理士さん等にご確
認ください。もちろん、エキスパーツリンク/エキスパーツ税理士法人でもま
ずは無料で検討させていただきます。
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◆◇今週のCONTENTS◆◇
1.[税務]税制改正大綱概観
2.[税務]税制改正大綱法人課税分概観
3.[税務]中小企業等の設備投資促進税制
4.[最新J-GAAP]問題81
5.[編集後記]
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1.[税務]税制改正大綱概観
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自民党、公明党の両党は平成25年1月24日、平成25年度税制改正大綱を決
定しました。
具体的にはこちら
http://www.jimin.jp/policy/policy_topics/119752.html
既に、知ってるよ。という方も多いかと思いますが、このメルマガでもご紹
介しないわけにはいきません。基本的考え方をみて、概観しましょう。
(基本的考え方)
(1)成長による富の創出に向けた税制措置
○民間投資の喚起による成長力強化
・生産等設備投資促進税制(※後述)
・太陽光・風力発電設備の即時償却制度の適用期限の延長と対象範囲の拡充
(コージェネレーション設備を追加)
・研究開発税制の総額型の控除上限額の引き上げ等(※後述)
・租税条約ネットワークの迅速な拡充
○人材育成・雇用対策
・所得拡大促進税制の創出(※後述)
・雇用促進税制の拡充(※後述)
・子や孫に対し行われる教育資金の贈与について一定の額を非課税とします。
○中小企業対策・農林水産業対策
・商業・サービス業及び農林水産業を営む中小企業等が経営改善のために店
舗改修等の設備投資を行う場合に特別償却・税額控除ができる制度を創設
します(※後述)。
・中小法人の交際費課税の特例を拡充し、800万円までの交際費支出を全額
損金算入することを可能とされます。
・相続税等の納税猶予制度(事業承継税制)は想定ほど利用が進んでいないた
め、雇用確保要件について「5年間の間、毎年8割以上」から「5年間平均
で8割」とする等の緩和が行われます。またその他の軽減措置がなされて
います。
(2)社会保障・税一体改革の着実な実施
○所得税の最高税率の見直し
所得再分配機能が低下しているため、平成27年より、現行の所得税の税率
構造に加えて、課税所得4,000万円超について45%の税率を設けられます。
○相続税・贈与税の見直し
・平成27年より、基礎控除について、「5,000万円+1,000万円×法定相続人
数」を「3,000万円+600万円×法定相続人数」に引き上げるとともに、最
高税率を55%に引き上げられます。
・小規模宅地等について、居住用宅地の限度面積を拡大するとともに、居
住用宅地と事業用宅地の完全併用を可能とされます。
・相続時精算課税制度について、贈与者の年齢要件を65歳以上から60歳以
上に引き上げ、受贈者に孫を加えられます。
○消費税引上げに伴う対応
・住宅ローン減税を平成26年1月1日から平成29年末まで4年間延長します。
平成26年4月1日から平成29年末まで4年間延長することとし、平成26
年4月1日から平成29年末までに認定住宅(長期優良住宅・低炭素住宅)
を取得した場合の最大控除額を500万円に、それ以外の住宅を取得した
場合には400万円にそれぞれ拡充されます。
その他も措置があります。
・個人住民税における住宅ローン控除の対象期間を平成26年1月1日から平
成29年末まで4年間延長することとし、その期間のうち、平成26年4月
1日から平成29年末までに住宅を取得した場合の控除限度額を、所得税
の税総所得金額等の7%(最高13.65万円)に拡充します。
・それでもなお効果が限定的な所得層に対しては、住宅取得に係る消費税
負担増をかなりの程度緩和するとされています。
○車体課税の見直し
・自動車取得税、自動車重量税について見直しがなされます。
○その他消費税引き上げに係る措置
・消費税率の10%引上げ時に、軽減税率制度を導入することがめざされます。
・より踏み込んだ転嫁対策がとられます。
(3)復興支援のための税制上の対応
上述のリンクご参照ください。
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2.[税務] 税制改正大綱法人課税分概観
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法人分、おさえておきましょう。
(1)研究開発税制
平成25年度から2年間の措置として法人税額から差し引ける控除の上限を税
額の20%から30%に引き上げられます。
平成21年4月1日から平成24年3月31日までの間に開始する各事業年度に
おいては、30%相当額でありましたが。その後は20%となっていました。
(2)生産等設備投資促進税制
平成25 年4月1日から平成27 年3月31 日までの間に開始する各事業年度
(設立事業年度を除く。)において取得等をした国内の事業の用に供する生
産等設備の取得価額の合計額が次のa.及びb.の金額を超える場合において、
その生産等設備を構成する資産のうち機械装置をその法人の国内にある事業
の用に供したときは、その取得価額の30%の特別償却とその取得価額の3%
の税額控除との選択適用ができることになります。ただし、税額控除におけ
る控除税額は、当期の法人税額の20%を限度とします。
a.減価償却資産につき当期の償却費として損金経理をした金額
b.前事業年度において取得等をした国内の事業の用に供する生産等設備の取
得価額の合計額の110%相当額
(3)所得拡大促進税制
平成25 年4月1日から平成28 年3月31 日までの間に開始する各事業年度
において国内雇用者に対して給与等を支給する場合において、その法人の雇
用者給与等支給増加額(雇用者給与等支給額から基準雇用者給与等支給額を
控除した金額)の基準雇用者給与等支給額に対する割合が5%以上であると
き(次のa.及びb.の要件を満たす場合に限ります。)は、その雇用者給与等
支給増加額の10%の税額控除ができることとなります。ただし、控除税額は、
当期の法人税額の10%(中小企業者等については、20%)を限度とされます
(所得税についても同様です。)。
a.雇用者給与等支給額が前事業年度の雇用者給与等支給額を下回らないこと
b.平均給与等支給額が前事業年度の平均給与等支給額を下回らないこと
(4)雇用促進税制
雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除制度(雇用促進税制)につ
いて、税額控除限度額を増加雇用者数1人当たり40 万円(現行20 万円)に
引き上げるほか、適用要件の判定の基礎となる雇用者の範囲について所要の
措置を講じられます。
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3.[税務]中小企業等の設備投資促進税制
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このメルマガは基本的に上場企業向けをイメージしているのですが、ちょっと
これは書かせてください。
「青色申告書を提出する中小企業等で、
経営改善に関する指導及び助言(!)を受けたものが、
平成25年4月1日から平成27年3月31日までの間に、
その指導及び助言(!)を受けて行う店舗の改修等に伴い、
器具備品及び建物付属設備の取得等をして、
指定事業の用に供した場合には、
その取得価額の30%特別償却とその取得価額の7%の税額控除との選択適用がで
きることとされます。ただし、税額控除における控除税額は当期の法人税額
の20%を限度とし、控除限度超過額は1年間の繰り越しができます。」
・中小企業等とは、資本金の額等が3,000万円以下の中小企業等に限ります。
・指定事業とは、卸売業、小売業、サービス業及び農林水産業(性風俗関連特殊
営業及び風俗営業に該当する一定の事業を除く)をいいます。
・この「経営改善に関する指導及び助言」は、商工会議所、認定経営革新等支
援機関等(!)による法人経営改善及びこれに必要な設備投資等に係る指導及
び助言をいいます。
で、この認定経営革新等支援機関等に「エキスパーツ税理士法人」も含まれて
おります。
こちらの関東経済産業局エリアご覧ください。
http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kakushin/nintei/kyoku/ichiran.htm
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4.[最新J-GAAP]問題81
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[問81]
税制改正大綱では特別償却が案として出ており、税務上以下の三つの会計処理
が考えられますが、一般に公正妥当と認められる会計基準としては、どの会計
処理が最も望ましいといえますか?
a.通常の減価償却と同様に
減価償却費 ××× / 減価償却累計額 ×××
b.特別償却積立金を用いて
減価償却費 ××× / 特別償却準備金 ×××
c.剰余金の処分も行って
繰越利益剰余金 ××× / 特別償却準備金 ×××
法人税等調整額 ××× / 繰延税金負債 ×××
[答]
a. http://clap.mag2.com/hesouwraga?a
b. http://clap.mag2.com/hesouwraga?b
c. http://clap.mag2.com/hesouwraga?c
[前回の解答]
前回の正答はcです。
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5.[編集後記]
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ご案内が遅れましたが、3.に記載のとおり、エキスパーツ税理士法人も経営
革新等支援機関等として認定されています。
この経営革新等支援機関等は、中小企業経営力強化支援法により昨年8月30日
に定められているものです。この制度は、中小企業に対して専門性の高い支援
事業を行う機関を認定するもので、税務、金融及び企業財務に関する専門的知
識や支援に係る実務経験が一定レベル以上の個人、法人、中小企業支援機関等
を、経営革新等支援機関として認定することにより、 中小企業に対して専門
性の高い支援を行うための体制を整備するものです。具体的な活動については
必ずしも明確になっていなかったのですが、今回の税制改正大綱では3.のと
おり盛り込まれました。今後も何等かの形で支援内容が充実していくものと思
います。エキスパーツ税理士法人では、当該機関としても対応してまいります
のでよろしくお願いいたします。
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*発行人: エキスパーツリンク
公認会計士・税理士・公認内部監査人(CIA) 紺野良一
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