◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇vol.251-2014.09.03
      
   ☆☆☆ Weekly Accounting Journal ☆☆☆

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
こんにちは、エキスパーツリンク/エキスパーツ税理士法人の紺野です。日本
の会計基準は、今、IFRSで揺れ動いています。一方で税制も改正されており、
上場会社及び上場準備会社の決算・経理実務は今後も引き続き、目まぐるしく
変化していきます。これらのエッセンスを、上場会社及び上場準備会社の経理
担当者の皆さん向けに、出来る限り分かりやすくお伝えします。仕事の合間に
軽くどうぞ!

文中意見にわたる部分は僕の私見にもとづきます。このメールマガジンの情報
をもとに実務に適用される場合には、監査法人さんや顧問税理士さん等にご確
認ください。もちろん、エキスパーツリンク/エキスパーツ税理士法人でもま
ずは無料で検討させていただきます。

********************************************************************
【上場会社・上場準備会社グループ経営支援】
エキスパーツリンク/エキスパーツ税理士法人は「監査人ではない」会計・
税務専門家として、会社側の視点にたった各種支援を行っています。

◎監査人ではない会計・税務専門家に相談したい等
→経営企画・CFO支援
http://www.expertslink.jp/managementsupport/advice/

◎決算・開示・税務業務の一部を専門家に外注したい等
→決算・開示サポート
http://www.expertslink.jp/managementsupport/finalaccounts/

◎担当者の実力の底上げを図りたい等
→社内勉強会・研修会
http://www.expertslink.jp/managementsupport/study/

◎問題の多い子会社を監査して適切な財務諸表を作り上げて欲しい等
→任意監査
http://www.expertslink.jp/managementsupport/audit/

◎税務顧問の変更をお考えなら
→エキスパーツ税理士法人
http://expertslink-tax.jp/

ご意見、ご質問はこちらまで
info@expertslink.jp

********************************************************************

◆◇今週のCONTENTS◆◇
1.[税務]赤字企業は重く、黒字企業は軽く?
2.[税務]繰越欠損金控除、黒字の6割!
3.[IFRS]すかいらーくIFRSで再上場
4.[最新J-GAAP]改正企業結合会計基準の早期適用が多い理由
5.[税務]問題162
6.[編集後記]

===================================
1.[税務]赤字企業は重く、黒字企業は軽く?
===================================
何度かお伝えしてきているところではありますが、平成26年8月29日の日経
朝刊の記事から、例の法人税減税と赤字企業の負担増の話です。

有料記事
http://www.nikkei.com/paper/article/?ng=DGKDASDF28H16_Y4A820C1MM8000

まとめますと、
・事業税のうち、外形標準の資本割と付加価値割の占める割合を2015年度
から2倍以上に増やす。
・法人実効税率を1.5%分以上下げる(所得割の話でしょうね)。
・赤字企業は重く、黒字企業は軽くする。

・政府は法人実効税率を現在の約35%から数年の間に20%台まで下げる方針。
経済財政諮問会議の民間議員は15年度に2%以上の引き下げを提言している。

・外形標準課税を法人事業税の2分の1まで広げる案と、8分の5まで広げる
案がある。

・資本金1億円以下の中小企業にも外形標準課税を入れるべきだという声もあ
る。

ということですね。「外形標準課税が広がれば、収益の高い企業は税負担が減る
ため、投資の拡大などの効果が期待できる。赤字企業にとっては、できるだけ
早く黒字に転じようとする意欲が高まる」とのことです。

確かに、中小企業のなかには、租税負担を回避するため、赤字になるように決
算を組むところもあるでしょう。しかし、負担能力に応じて課税するという基
本的命題に反しているように思いますし、好きで赤字を出しているわけでもな
い企業も多いでしょう。そのような企業の課税を強化することになってしまえ
ば、泣きっ面にハチ、弱いものいじめになってしまわないか、非常に危惧され
ます。赤字企業は全体の7割といわれています。

そんなやり方なら、税率下げなくてもいいんじゃないでしょうか?

===================================
2.[税務]繰越欠損金控除、黒字の6割!
===================================
1.の続きみたいな話ですが、「政府は、法人税率下げの財源をつくるため
に、企業の繰越欠損金制度を縮小する方針だ」とのことですね。「2015年度
から」。

有料記事
http://www.nikkei.com/paper/article/?ng=DGKDASDF29H1I_Z20C14A8EA1000

一方、「企業から不満が出る恐れもあるため、負担軽減につながる見直しも検
討する。赤字を繰り越せる期間を9年から10年以上に延長する。経済界は中
長期での税負担が変わらないよう12年への延長を求めている。」

「政府は法人実効税率を今後数年で、6%程度下げる方向を打ち出してい」ます。
上記1の話などをあわせると減税初年度の税率下げ(2%)については、当面の
財源にはほぼ目途がつくそうです。

会計面でいうと、繰延税金資産の計算にあたり、法定実効税率が変わり、回収
可能性を検討する際に、将来の課税所得から繰越欠損金を控除できる割合を従
来の8割から6割に減じなければなりませんね。繰延税金資産はまた取崩にな
るでしょう。

===================================
3.[IFRS]すかいらーくIFRSで再上場
===================================
東京証券取引所は、8月28日、すかいらーくの再上場を承認しました。10月
9日に東証1部又は2部に上場するとのことです。2006年9月にMBOで上場廃
止になって以来、8年ぶりです。

http://toyokeizai.net/articles/-/46589

面白いことにIFRSなんですよね。IFRS適用会社が上場する初のケースとなり
ます。

なぜ、IFRSなのか?
この記事にもありますが、MBOで生じたのれんが多く、
「毎期75億円ののれん償却が販管費に計上され、営業利益以下を押し下げ
ていた。さらに、のれんは貸借対照表(バランスシート)の資産側に計上され
ており、毎期減少していく。当期利益の積み上げと、負債の圧縮が進まなけれ
ば、のれんの減少しだいで債務超過に陥る可能性もあった。」

「こうした財務上の問題に対して、すかいらーくの谷真社長は昨年7月に
「国際会計基準になれば(のれん償却が不要になるため)考え方も変わってい
く」と、東洋経済の取材に答えている。日本会計基準を国際会計基準に変える
“力技”で懸案を払拭したわけだ。」

“力技”かどうかはわかりませんが、確かにのれんは多いですね。BSみてみま
した。

2014/6第2四半期で、
流動資産     28,370百万円
非流動資産    271,899
 (うち、のれん 146,320)
資産合計     300,269

流動負債     49,975百万円
非流動負債    171,513
負債合計     221,488
資本       78,781
負債及び資本   300,269

のれん、多い~。資本の約倍です。のれんの減損テストの検証が最も重要な
監査手続となりそうですね。

===================================
4.[最新J-GAAP] 改正企業結合会計基準の早期適用が多い理由
===================================
これ、面白いですね。経営財務No.3177からお伝えします。

・過去の期間のすべてに新たな会計方針を遡及適用した場合の適用初年度の期
首時点の累積的影響額を適用初年度の期首の資本剰余金および利益剰余金に
加減し、当該期首残高から新たな会計方針を適用する方法(会計基準58-2
項(3))を原則とし、

・適用初年度の期首から将来にわたって適用する方法(会計基準58-2項(4))も
認めています。

で、この27年3月期第1四半期における早期適用会社の適用状況ですが、45
社が早期適用しています。

あ、この基準は、平成27年4月1日以後開始事業年度の期首からが原則で、
平成26年4月1日以後開始事業年度の期首から早期適用できます。

それで、この45社のうち、数えたら、上記の58-2項(3)の方法で適用してい
るのが、11社、58-2項(4)の方法で適用しているのが、34社ということであ
ります。

この処理なんでみんな急いで適用しているのか?

「のれんが減る傾向がみられる」からなんですね。

例えば、三菱UFJフィナンシャル・グループでは
のれんが266,925百万円減少
資本剰余金が346,454百万円減少
利益剰余金が95,134百万円増加
第1四半期連結累計期間の経常利益及び税金等調整前四半期純利益はそれぞれ
4,750百万円増加
しています。

影響おおきいですねえ。

振り返ってみましょう。

子会社株式を追加取得した場合には
 追加取得した株式に対応する持分を非支配持分から減額し、
 追加取得により増加した親会社の持分を追加投資額と相殺消去する。
 追加取得持分と追加投資額との間に生じた差額は資本剰余金とする。

としていますので、単純にいうと、

資本剰余金 ○○ / 子会社株式 ○○
非支配持分 ○○

というわけです。いままでは、この資本剰余金部分が、従来はのれんだった
わけで、その後、償却をしていたわけです。

58-2項(3)の方法は、これをさかのぼってなかったことにするわけですか
ら、影響は大きいですよね。のれんの償却や減損テストになやまされている方
は検討の余地があるのでは?

===================================
5.[税務]問題162
===================================
[問162]
地方法人税に関する記述で正しいのはどれ?

a.地方税として都道府県に納付する。
http://clap.mag2.com/hesouwraga?a
b.平成26年10月1日以後に開始する事業年度から適用される。
http://clap.mag2.com/hesouwraga?b
c.地方法人税が導入されるため、法定実効税率が上がる。
http://clap.mag2.com/hesouwraga?c

[答]
[前回の解答]
前回の正答はc。

===================================
6.[編集後記]
===================================
今日は、3と4は面白いと思います。是非お目通しを。
法人税率引き下げの件なんですが、そもそも、財源を必要とするようなら、や
らなきゃいいんじゃないかと思ったりもします。赤字企業に課税してまで、見
かけ上の税率を下げて、外国企業を呼び込む必要が本当にあるのか、疑問です。
また、「赤字企業にとっては、できるだけ早く黒字に転じようとする意欲が高
まる」という話ですが、やはり利益には課税されるわけですから、むりやり赤
字にしている企業は引き続き経費を増やして利益を圧縮するのではないでしょ
うか?また、もともと経営が苦しく純粋に赤字の企業は、利益だそうと頑張っ
ているのに、利益でる前に課税しないでくれよ、ということになるように思え
るのですが。この後者のような会社が税金を払うようにならないことを祈りま
す。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
*発行人: エキスパーツリンク
 公認会計士・税理士・公認内部監査人(CIA) 紺野良一
*URL: http://www.expertslink.jp
 →決算・開示サポート、内部統制、会計に強い税理士をお求めならこちら
*E-mail: <info@expertslink.jp>
 転送はご自由に!
*解除はこちらから
 →http://expertslink-tax.jp/mailmagazine/
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~