◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇vol.260-2014.11.12
      
    ☆☆☆ Weekly Accounting Journal ☆☆☆

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こんにちは、エキスパーツリンク/エキスパーツ税理士法人の紺野です。日本
の会計基準は、今、IFRSで揺れ動いています。一方で税制も改正されており、
上場会社及び上場準備会社の決算・経理実務は今後も引き続き、目まぐるしく
変化していきます。これらのエッセンスを、上場会社及び上場準備会社の経理
担当者の皆さん向けに、出来る限り分かりやすくお伝えします。仕事の合間に
軽くどうぞ!

文中意見にわたる部分は僕の私見にもとづきます。このメールマガジンの情報
をもとに実務に適用される場合には、監査法人さんや顧問税理士さん等にご確
認ください。もちろん、エキスパーツリンク/エキスパーツ税理士法人でもま
ずは無料で検討させていただきます。

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◆◇今週のCONTENTS◆◇
1.[税務]移転価格リスク認識の必要性その2寄附金課税
2.[税務]外形標準増税
3.[最新J-GAAP]「修正国際基準(案)」に対する意見
4.[税務]減税幅に関する2つの記事
5.[税務]問題171
6.[編集後記]

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1.[税務]移転価格リスク認識の必要性その2寄附金課税
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またまた、国際税務担当の飯田の記事です。よろしくお願いします。

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今回も引き続き移転価格リスクについてお話します。

日本の親会社が海外の子会社に出張し、技術指導等の役務を提供しているに
も関わらず対価を受け取っていなかったり、海外子会社に対して無利息で資
金を貸し付けてはいないでしょうか。

これらの取引は、移転価格の調査ではなく一般の法人税の調査においてもチ
ェックされます。具体的には以下のような項目です。

(1)海外子会社支援のための価格改定を行っている。

(2)海外子会社支援のための利益供与を行っている。

(3)子会社が負担すべき広告宣伝費を親会社が支払っている。

(4)赤字子会社に対して、ロイヤルティ等を免除している。

(5)子会社に貸付をする際、無利息で貸付を行っている。

(6)親会社からの技術指導に対して適切な料金を受け取っていない。

(7)親会社からの海外出張費用の子会社負担分を交通費のみとしている。

これらの取引が有償で行われていたのであれば、その対価が妥当かどうかと
いう移転価格の議論になりますが、対価の受取を全く行っていない場合は、
国外関連者に対する寄附金と認定され、その全額が損金不算入となります。

移転価格課税を行うのは、主に国際税務の専門官であり、その人員は限られ
るため、中小・中堅企業は関係ないと思っている方が多いように思います。
しかし、一般の法人税調査において、国外関連者間取引について寄附金とし
て課税を行うケースは多いため注意が必要です。海外子会社からの対価の回
収については、社内体制を整備することが重要です。

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2.[税務]外形標準増税
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外形標準が増税の方向ですね。

外形標準の税率がどのように決められているかを確認しておきましょう。

軽減税率不適用法人を前提とすると、平成26年10月1日以後に開始する事業
年度(地方法人税の導入によって所得割の税率があがります。)で、

所得割   4.66%
付加価値割 0.504%
資本割   0.21%

です。地方法人税導入前は、所得割は3.26%でした。

これは地方法人税の導入により、事業税が少々復元されたものですが、
地方法人税前と地方法人税後では実は事業税+地方法人特別税の率は変わ
っていません。

(地方法人税後)
4.66% + 4.3%(事業税標準税率) × 67.4% = 7.5582 ≒ 7.56%

(地方法人税前)
3.26% + 2.9%(事業税標準税率) × 148% =7.552 ≒ 7.56%

です。すなわち、外形標準課税法人にとって、事業税(+地方法人特別税)
率は7.56%なのです。

それでは、これはどこから来ているかというと、外形標準導入前の税率は
10.08%でしたから、

10.08% × (1-1/4) = 7.56 %

なのです。

つまり、外形標準課税法人は、従来の所得割の4分の1が外形標準課税に移
行されているのです。

これを前提にこちらの記事をみてみましょう。
http://mainichi.jp/select/news/20141111k0000m020118000c.html

「政府・与党は10日、法人事業税(地方税)のうち赤字企業にも課税す

「外形標準課税」を、来年度から2年程度かけて2倍に拡充する方向で最
終調整に入った。」
「政府・与党は事業税に占める外形の割合を現在の4分の1から2分の1
に倍増させ、」

としています。ですから、現在の「所得割の4分の1が外形標準課税に移行
している状態」から、「所得割の2分の1が外形標準課税に移行している状
態」にしようとしているわけです。

単純に考えたら、10.08% × 1/2 = 5.04%
になるようにするんでしょうから、

事業税の所得割は、超過税率 4.66% × 1/2 ÷ 3/4 = 3.10666 ≒ 3.12%
         標準税率 4.3% × 1/2 ÷ 3/4 = 2.86666 ≒ 2.87%
ということでしょうかね。

これで、地方法人特別税とあわせますと、
3.12% + 2.87%×67.4% = 5.05% ≒ 5.04%

となります。

一方で、外形標準の付加価値割と資本割は増加する、倍増すると言われて
いますから、

付加価値割 1.008%(=0.504%×2)
資本割   0.42%(=0.21%×2)

ですかね。つまり、

所得割   3.12%
付加価値割 1.008%
資本割   0.42%

でしょうか。こんなあたりになるということなのでしょう。あくまで予想
ですので、悪しからず。

で、この場合、疑問が二つあります。

○そもそも、これは実効税率を下げたことになるのでしょうか?
これも二つの意味があります。一つは、資本金1億円以下の中小企業は下
がらないということです。
二つ目は、まあ、一応の算式上はさがるのでしょう。しかし、当り前ですけ
ど、
本当の税金負担としては、その下がった分と外形標準が増加した分を比較し
てみないとわかりませんよね。

○資本金を1億円以下にして、外形標準を逃れたほうがいいのでしょうか?
これについては、外形標準課税は付加価値割と資本割の増加額と、所得割の
減少額を比較した場合、どちらが得なのかという考察をしてみないとわかり
ません。別途まとめてみたいと思っています。

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3.[最新J-GAAP]「修正国際基準(案)」に対する意見
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日本公認会計士協会(IFRS特別委員会)では、企業会計基準委員会から出された
「修正国際基準(国際会計基準と企業会計基準委員会による修正会計基準によ
って構成される会計基準)(案)」に対する意見を取りまとめ、平成26年10
月31日付けで企業会計基準委員会に提出しています。

http://www.hp.jicpa.or.jp/specialized_field/post_1771.html

どれもやや否定的な意見のようですね。

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4.[税務]減税幅に関する2つの記事
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日経新聞の2つの記事によると、
宮沢経済産業相は、「10日の経団連との会合で2015年度に2.5%以上の法人税
率の引き下げ幅を目指すと発言した」とされていますが、

有料記事
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDF11H03_R11C14A1EAF000/

一方の麻生副総理、財務・金融相については、経団連の榊原会長との会談にお
いて、「麻生氏から具体的な引き下げ幅の言及はなかった」とされています。
また、麻生氏は11日午前の閣議後の記者会見で、「財源の状況を見極めながら
今後検討していくものであり、現時点で2%や3%といえる段階ではない」と
されています。

有料記事
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL11HBR_R11C14A1000000/

簡単ではなさそうですね。

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5.[税務]問題171
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[問171]
接待ゴルフに関する税務処理のうち、正しいのはどれ?

a.ゴルフ場利用税        租税公課
接待者送迎のための交通費   交際費
特定の部署のコンペ代     交際費
http://clap.mag2.com/hesouwraga?a

b.ゴルフ場利用税        交際費
接待者送迎のための交通費   交際費
特定の部署のコンペ代     福利厚生費
http://clap.mag2.com/hesouwraga?b
c.ゴルフ場利用税        交際費
接待者送迎のための交通費   交際費
特定の部署のコンペ代     交際費
http://clap.mag2.com/hesouwraga?c

[答]
[前回の解答]
前回の正答はa。

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6.[編集後記]
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移転価格については、飯田も言っていることですが、近年では、数億円から数
十億円の取引を行う中堅企業でも調査の対象となっています。今まであまり気
にされていなかった企業様も、課税されてからでは遅いですから、今のうちに、
対策を始められることをおすすめします。エキスパーツ税理士法人では、中堅
企業様あてに、初歩的なところからの解説をさせていただくセミナーを予定し
ています。是非この機会にセミナーを受講されて、今後の対策開始の第一歩と
されることをおすすめします。

エキスパーツ税理士法人では、11月25日に移転価格のセミナーを実施します。
http://www.expertslink.jp/seminar/20141125/

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*発行人: エキスパーツリンク
 公認会計士・税理士・公認内部監査人(CIA) 紺野良一
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