◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇vol.286-2015.05.14
      
   ☆☆☆ Weekly Accounting Journal ☆☆☆

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こんにちは、エキスパーツリンクの紺野です。日本の会計基準は、今、IFRS
で揺れ動いています。一方で税制も改正されており、上場会社及び上場準備会
社の決算・経理実務は今後も引き続き、目まぐるしく変化していきます。これ
らのエッセンスを、上場会社及び上場準備会社の経理担当者の皆さん向けに、
出来る限り分かりやすくお伝えします。何らかの「気づき」をご提供すること
が出来れば幸いです。仕事の合間に軽くどうぞ!

文中意見にわたる部分は私どもの私見にもとづきます。このメールマガジン
の情報をもとに実務に適用される場合には、監査法人さんや顧問税理士さん等
にご確認ください。もちろん、エキスパーツリンクでもまずは無料で検討させ
ていただきます。
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◆◇今週のCONTENTS◆◇
1.[税務]国際税務入門14
2.[ディスクローズ]コーポレートガバナンス・コード
3.[税務]国税庁HPの改正のお知らせ
4.[税務]美術品等についての減価償却資産の判定に関するFAQ
5.[編集後記]

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1.[税務]国際税務入門14
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 国際税務担当飯田の記事です。

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トリーティーショッピング

ある国との租税条約を利用することにより税金が低減できる場合、その国にペ
ーパーカンパニーを設立することによって、その法人は租税条約を利用するこ
とができます。

例えば、A国の法人がB国の法人に金銭の貸付を行なうとします。A国とB国と
の間には租税条約が存在しないため、B国法人が支払う貸付金の利子はB国の
国内法により、20%の源泉税が課されるとします。この場合、A国の法人がB
国と租税条約を締結しているC国に子会社を設立し、当該C国子会社を通じて
B国法人に貸付を行なうと、B国とC国間の租税条約上の軽減税率(仮に5%と
します)が適用され、A国法人は税率差相当の税負担を免れることができま
す。これをトリーティーショッピング(条約漁り)といいます。

このような行為に対して、租税条約上、条約濫用を防止するための措置が講じ
られています。具体的には、主として取引形態や目的に着目した導管取引や濫
用目的取引に対する規定や、条約適用の相手国居住者等の類型に着目した特典
制限条項などです。これらの規定は条約濫用防止規定と呼ばれています。

例をあげると、日米租税条約では使用料が源泉地国で免税となりますが、以下
のように一定条件を満たす法人等について、この条約の特典を受ける権利が与
えられることを定めています。

1.適格者基準
一方の締約国の居住者である(1)個人、(2)政府などの公的機関、(3)一
定の公開会社、(4)一定の公開会社に直接又は間接的に50%以上の持分を保有
される会社、(5)一定の年金基金、(6)株式の50%以上を上記の(1)~(5)
に直接又は間接に所有されている法人等であること。

2.能動的事業基準
一方の締約国の居住者が居住地国において事業を行っていること、かつ、条約
相手国において取得する所得が当該事業に関連又は付随していること。

日本企業が上場企業であれば上記1.の(3)、上場企業の子会社や個人オーナ
ー系の日本企業であれば上記の1.の(4)または、(6)に該当し、日本企業
が海外子会社から投資所得を回収する際に適格者基準を満たすため、租税条約
の特典を享受することができることになります。
実務上は、これらの要件を満たしているということを証明するために、「租税
条約に関する届出書」および「特典条項に関する付表」を税務署に提出するこ
とになります。
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2.[ディスクローズ]コーポレートガバナンス・コード
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2015年5月13日、コーポレートガバナンス・コード出ました。コーポレート
ガバナンス・コード原案からの変更はないようです。

東京証券取引所では、「コーポレートガバナンス・コード」を取引所の有価証
券上場規程の別添として定めるとともに、関連する上場制度の整備を行ってい
ます。

コーポレートガバナンス・コード及び改正後の有価証券上場規程等は2015年
6月1日から適用されます。

http://www.jpx.co.jp/equities/listing/cg/index.html

こちらの改正概要が端的で分かりやすいかと思います。
http://www.jpx.co.jp/rules-participants/rules/revise/index.html

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○ 改正概要(備 考)
1.コードの策定に伴う制度整備
(1)コードを実施しない場合の理由の説明
・上場会社は、コードを実施しない場合には、その理由を説明するものとし
ます。

(2)コードを実施しない場合の理由の説明の媒体
・「コードを実施しない場合の理由の説明」は、コーポレート・ガバナンス
報告書に記載するものとします。

(3)コードの尊重
・「上場会社コーポレート・ガバナンス原則」の尊重規定は、コードの趣旨
・精神の尊重規定に置き換えます。

2.独立役員の独立性に関する情報開示の見直し
・上場会社が独立役員を指定する場合には、当該独立役員と上場会社との間
の特定の関係の有無及びその概要を開示するものとします。

○ 施行日
・本年6月1日から施行します。
・1.(2)の改正を反映したコーポレート・ガバナンス報告書は、本年6
月1日以後最初に開催する定時株主総会の日から6か月を経過する日まで
に当取引所に提出するものとします(「コーポレート・ガバナンスに関す
る報告書記載要領(2015 年6 月改訂版)」参照)。
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コーポレートガバナンス報告書の記載要領も更新されていますので、ご参照く
ださい。「NEW」の部分です。

http://www.jpx.co.jp/equities/listing/cg/tvdivq0000008j85-att/tvdivq000000uvc4.pdf

コーポレートガバナンス・コードの詳細は、上記のリンクから原典にあたって
いただきたいのですが、目についたところを挙げておきます。

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原則1-4 いわゆる政策保有株式
上場会社がいわゆる政策保有株式として上場株式を保有する場合には、政策保
有に関する方針を開示すべきである。また、毎年、取締役会で主要な政策保有
についてそのリターンとリスクなどを踏まえた中長期的な経済合理性や将来の
見通しを検証し、これを反映した保有のねらい・合理性について具体的な説明
を行うべきである。
上場会社は、政策保有株式に係る議決権の行使について、適切な対応を確保す
るための基準を策定・開示すべきである。

原則1-7 関連当事者間の取引
 ~省略~、取締役会は、あらかじめ、取引の重要性やその性質に応じた適切
な手続を定めてその枠組みを開示するとともに、その手続を踏まえた監視(取
引の承認を含む)を行うべきである。

補充原則3-2 1 監査役会は少なくとも下記の対応を行うべきである。
(1) 外部会計監査人候補を適切に選定し外部会計監査人を適切に評価するた
めの基準の策定

原則4-8 独立社外取締役の有効な活用
~省略~独立社外取締役をすくなくとも2名以上選任すべきである。
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ご参考ください。

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3.[税務]国税庁HPの改正のお知らせ
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国税庁は法人税関係法令の改正の概要を公表していますので、ご参考ください。
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/01.htm#a-06

内容は基本的には改めて繰り返すまでもないかとは思いますが、このメルマガ
であまり言及してこなかったものについていくつかご紹介しておきます。

(1) タックスヘイブン適用除外無申告のケースに宥恕規定

 タックスヘイブン合算課税及び資産性所得の部分合算課税の適用除外ですが、

 従来は、「確定申告書にこれらの規定の適用がある旨を記載した書面を添付
 し、かつ、その適用があることを明らかにする書類その他の資料を保存して
 いる場合に限り、適用する。」
 とされていましたが、

 改正により、「適用除外基準の適用がある旨を記載した書面の添付がない確
 定申告書の提出があり、又はその適用がある旨を明らかにする資料等の保存
 がなかった場合においても、税務署長がその添付又は保存がなかったことに
 ついてやむを得ない事情があると認めるときは、その書面及び資料等の提出
 があった場合に限り、適用除外基準を適用することができる」
 とされました。

 じゃ出さなくていいの?ということではありません。あくまで「やむを得な
 い事情があると認めるとき」ですから、ご注意ください。

(2) タックスヘイブントリガー税率の変更

 特定外国子会社等に該当することとされる著しく低い租税負担割合の基準
 (いわゆるトリガー税率)が、20%未満(改正前20%以下)に変更されました。

 これは英国が2015年4月より法人税率を20%に引き下げましたので、これに
 配慮したもののようです。

 特定外国子会社等の2015年4月1日以後に開始する事業年度から適用されま
 す。

ご参考ください。

ちなみに、消費税の改正の概要も出ていますので、ご参考ください。上記と同
じリンクでたどりつけます。

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4.[税務]美術品等についての減価償却資産の判定に関するFAQ
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国税庁のHPに
「美術品等についての減価償却資産の判定に関するFAQ」が出ています。
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/hojin/bijutsuhin_FAQ/index.htm#q2

気になったものをかなり端折ってエッセンスを挙げておきます。ご参考くださ
い。必ず原典をご確認ください。

(Q4)平成27年1月1日より前に取得したものの扱い
(A) 平成27年1月1日以後最初に開始する事業年度から定額法又は200%定率法
により減価償却を行う。

(Q5)平成27年1月1日より前に取得した美術品等について、中古資産の耐用年
  数は適用可能ですか。
(A) 適用できません。

(Q6) 平成27年1月1日より前に取得したものを、適用初年度に減価償却資産
  の再判定を行わなかった場合、その後は減価償却はできなくなるのか。
(A) できません。

(Q7)美術品等で減価償却資産に該当するものの法定耐用年数は何年ですか。
(A) 室内装飾品のうち主として金属製のもの 15年
  室内装飾品のうち主として金属製のもの  8年

(Q8)倉庫等に保管しているものは事業の用に供していることにならないのでし
ょうか。
(A) その休止期間中必要な維持管理が行われており、いつでも展示可能な状態
にあるものは事業の用に供していることになります。

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5.[編集後記]
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仕事と子育ての両立支援に積極的な企業に送られる「くるみん」とその最高ラ
ンクである「プラチナくるみん」はご存じですか。先日、山形銀行さんと、ホ
シザキ東北さんが「プラチナくるみん」に認定されたようですね。この「く
るみん」の認定を受けると税制優遇措置があるんですよね。ご存じでしょう
か。一定の期間に取得・新築・増改築した建物等について、認定を受けた日を
含む事業年度において、普通償却限度額の32%の割増償却を受けることがで
きます。この取り扱いは、平成27年度税制改正において、対象資産を見直す
等の改正を行ったうえで、平成30年3月31日まで3年間延長されています。

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/shokuba_kosodate/kurumin/

こちらでもマークにキャラクターのようなものが使われていますよね。なんか
クリオネみたいにもみえましたが。

公認会計士紺野良一事務所のHPを作りましたので、是非ご覧ください。

トップページ
http://kaishaho-kansa.com/
個人会計士による会社法監査
http://kaishaho-kansa.com/audit/personal/

公認会計士・税理士・公認内部監査人(CIA) 紺野良一

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 公認会計士・税理士・公認内部監査人(CIA) 紺野良一
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