◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇vol.302-2015.09.07
      
   ☆☆☆ Weekly Accounting Journal ☆☆☆

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こんにちは、エキスパーツリンクの紺野です。日本の会計基準は、今、IFRS
で揺れ動いています。一方で税制も改正されており、上場会社及び上場準備会
社の決算・経理実務は今後も引き続き、目まぐるしく変化していきます。これ
らのエッセンスを、上場会社及び上場準備会社の経理担当者の皆さん向けに、
出来る限り分かりやすくお伝えします。何らかの「気づき」をご提供すること
が出来れば幸いです。仕事の合間に軽くどうぞ!

文中意見にわたる部分は私どもの私見にもとづきます。このメールマガジン
の情報をもとに実務に適用される場合には、監査法人さんや顧問税理士さん等
にご確認ください。もちろん、エキスパーツリンクでもまずは無料で検討させ
ていただきます。
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ありましたら、こちらにどうぞ。紺野に直接届きます。
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◆◇今週のCONTENTS◆◇
1.[税務]第三者が介在する取引も移転価格税制の対象となるか?
2.[税務]消費税軽減税率のゆくえ
3.[税務]税制改正要望
4.[開示]会計基準の選択に関する基本的な考え方について
5.[監査]会計士協会、不正リスク把握、全上場企業の会計士を調査
6.[最新J-GAAP]収益認識基準の開発進む
7.[編集後記]

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1.[税務]第三者が介在する取引も移転価格税制の対象となるか?
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我が社は商社を通じて海外子会社との取引を行っていますが、この海外取引も
移転価格税制の対象となる可能性があるのでしょうか。

移転価格税制では、取引の実態の着目し、たとえ関連者間取引に第三者が介在
しても、取引価格に対するコントロールが当事者間に存在している場合には、
その取引を国外関連者間取引とみなすことになっています。

例えば、輸出や輸入取引を商社を通じて間接的に行う場合など、海外子会社と
の取引を資本関係のない第三者を介して行うことがあります。移転価格税制で
は、国外関連者への所得移転を漏れなく対象とするために、このような非関連
者を介した取引であっても、取引の条件及び対価の額が日本の親会社と海外子
会社との間で決められているなど、実質的に直接取引しているのと変わらない
と認められる場合には、当該取引を移転価格税制の提供対象としています。

したがって、商社が、貿易業務のみを代行している場合は当然として、いわゆ
る仕切取引を行っている場合でも、海外子会社と取引されることがあらかじめ
決まっており、またその取引価格まで日本の親会社と海外子会社で決定されて
いるときには、移転価格税制の対象となりますので注意が必要です。

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2.[税務]消費税軽減税率のゆくえ
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平成29年4月の消費税10%増税は予定通り行われるのか?

財務省は、低所得者対策として、給付金を支給する案を検討しているようです。
http://www.sankei.com/economy/news/150905/ecn1509050013-n1.html

(軽減税率)
・公明党が軽減税率導入を強く求めている。
・事業者の事務負担が増える。
・恩恵が高所得者にも及ぶ。

(給付金支給)
・自民党は容認するとみられる。
・公明党は買い物時の負担軽減が実感できないとして反発する可能性あり。
・給付の要件や世帯ごとの給付金額などの制度設計が課題となる。

ということのようですね。

ただ、「給付の要件や世帯ごとの給付金額などの制度設計」は結構難しいよう
に思いますね。また、これを恒久的なものにするのかどうかなど検討すべき課
題は多いように思います。

ちなみに、税率が8%になったときにも「臨時福祉給付金(簡素な給付措置)」と
いうものが行われています。
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/rinjifukushikyuufukin/

このようなイメージなのでしょうかね。

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3.[税務]税制改正要望
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財務省のHPに平成28年度税制改正要望が掲示されました。

http://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2016/request/index.htm

そうだそうだ~と思ったものについて、挙げてみます。

・「攻めの経営」を促す役員給与等に係る税制の整備(経済産業省)
→我が国企業が「稼ぐ力」向上させ、中長期的な収益性・生産性を高めてい
くことが必要。以上の問題意識から、コーポレートガバナンスが強化され
ている上場企業等を対象に、役員給与の損金算入が認められる範囲の見直
し等を講じ、売上高やROE等の利益以外の指標や、中長期の指標への対応
を含め、多様な業績連動報酬や株式報酬の導入を促進し、企業経営者に
「攻めの経営」を促す。

・車体課税の抜本的見直し(経済産業省)

・子育て支援に要する費用にかかる税制措置の創設(厚生労働省)

・税制全体のグリーン化の推進(環境省)
→持続可能な社会を構築するため、低炭素・循環型・自然共生など幅広い環
境分野において税制全体のグリーン化を推進。

なかなか実現はしなさそうですが、今後の動向に注視したいと思います。

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4.[開示]会計基準の選択に関する基本的な考え方について
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上場会社は、2015年3月末の年度決算に係る決算短信から、「会計基準の選択
に関する基本的な考え方」において、IFRSの適用に関する検討状況を開示して
います。

株式会社東京証券取引所は、2015年3月決算会社(早期適用含む)の「会計基
準の選択に関する基本的な考え方」の開示内容について、分析を行い、これを
公表しています。
http://www.jpx.co.jp/news/1020/20150901-01.html

結果の概要は、以下のとおりです。
・「基本的な考え方」において、IFRSの適用を予定している旨を記載した
会社(IFRS適用予定会社)は21社。
・既にIFRSを適用している会社(68社)、IFRSの適用を決定した会社
(23社)、IFRS適用予定会社の合計は112社。2015年6月末時点におけ
る時価総額の合計は147兆円であり、東証上場会社の時価総額(607兆円)
に占める割合は24%。
・「基本的な考え方」において、IFRSの適用に関する検討を実施している
旨を記載した会社は194社。

IFRSの適用も拡大してきていますね。JMISはどうなるのでしょうか。

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5.[監査]会計士協会、不正リスク把握、全上場企業の会計士を調査
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日本公認会計士協会は、全上場企業の監査を担う会計士対象に、過去に不正・
不適切会計などを疑われるような事態がなかったかを調査します。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASGC03H1H_T00C15A9EE8000/

匿名のアンケートだそうですが、これで出てくるようでは、逆に会計士業界の
信頼性が疑われることになりそうです。

東芝事件を受けて行われるのでしょうけれども、監査人が意図的に見逃してい
たのではないかという世間の疑いを晴らすために行うということなのでしょう
か。

基本的に監査人が意図的に見逃したということはないはずです。監査は優秀な
会計士によって行われていたはずなので、まずは、なぜ、発見できなかったの
か、そこに焦点を当ててほしいものです。

監査制度や監査人を貶めるのではなく、よりよい監査を目指すようにしてほし
いものです。

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6.[最新J-GAAP]収益認識基準の開発進む
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ASBJは、8月24日に収益認識専門委員会を開催し、IFRS15号の概要を把握し、
これを我が国に適用した場合の実務上の論点などを抽出している段階です。
https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/minutes/20150826/20150826_index.shtml

実務上の論点としてとりあげるのは次の24事例のようです。これ、興味ある
ので次回以降、とりあげてまいります。

(1) 機械の販売契約と保守サービス契約との複合契約に係る会計処理
(2) リテンション(留保金)がある場合-代金の一部が留保される場合の会計
   処理
(3) 百貨店・総合スーパー等のテナント売上及びいわゆる消化仕入(業種にか
   かわらず同様の取引を含む。)の表示方法
(4) 買戻条件付販売契約-有償支給取引
(5) ポイント引当金に係る会計処理
(6) フランチャイズ料-フランチャイズ加盟料の会計処理
(7) 前受使用許諾料及びロイヤルティ-返還不要の使用許諾料又はロイヤル
ティが入金されたが、重要な履行義務を負っている場合
(8) ガソリン税や酒税等の表示方法
(9) 取引金額が修正される可能性のある取引-将来の値引額又は値増額を合
理的に見積もることができる場合の会計処理
(10) 売価未確定と考えられる可能性がある取引形態の場合-値引負担又は価
格保証を行っている場合の会計処理
(11) 割賦販売の会計処理
(12) 返品の可能性がある取引形態の場合(業界にかかわらず同様の取引を含む。
)の会計処理
(13) クーリングオフが適用される販売
(14) 出版物及びそれに類似するものの購読契約等-放送局等によるテレビコ
マーシャルの放映に係る会計処理
(15) オンライン・ゲーム内におけるポイントの販売収益
(16) 顧客使用のソフトウェアの開発料-内容の異なる複数のサービスを1つ
の契約で行う場合
(17) 物品の販売の実現時点
(18) 仕向地持込渡条件の製品輸出取引に係る会計処理
(19) 旅客輸送事業の輸送収入
(20) 入会金及び会費
(21) 買戻条件付販売契約-買手が売戻権を有している場合の会計処理
(22) 継続的関与のある場合-買戻権等あり
(23) 委託販売に類似した取引-買手が在庫リスクを有していない場合の会計
処理
(24) 請求済未出荷販売

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7.[編集後記]
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EU諸国で、難民があふれ、大変なことになっています。
特にハンガリーに多くの難民が押し寄せ、オーストリアを経由してドイツに向
かっています。このあたりの地理についてはどうも弱いものですから、再度、
地図をみたりして確認していますが、シリアなど中東や、リビアなどアフリカ
からヨーロッパを目指す難民が大問題になりつつあります。イタリアやギリシ
ャにたどりついた難民は、やはり比較的豊かなドイツを目指すことが多いよう
です。で、特にギリシャ経由の難民なんでしょうけど、多くがハンガリーから
列車でオーストリアを経由して、ドイツを目指しているというわけですね。ハ
ンガリーが強行姿勢をとって批判されていますが、ハンガリーの人口は、990
万人程度ですから、数万人も入ってくるとなればそれなりに影響が大きいんで
しょうね。日本もかやの外ではないかもしれません。地中海経由で欧州に入っ
た難民が今年に入って36万人ということで、更なる増加が見込まれていますの
で。。。

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