◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇vol.313-2015.11.23
      
   ☆☆☆ Weekly Accounting Journal ☆☆☆

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こんにちは、エキスパーツリンクの紺野です。日本の会計基準は、今、IFRS
で揺れ動いています。一方で税制も改正されており、上場会社及び上場準備会
社の決算・経理実務は今後も引き続き、目まぐるしく変化していきます。これ
らのエッセンスを、上場会社及び上場準備会社の経理担当者の皆さん向けに、
出来る限り分かりやすくお伝えします。何らかの「気づき」をご提供すること
が出来れば幸いです。仕事の合間に軽くどうぞ!

文中意見にわたる部分は私どもの私見にもとづきます。このメールマガジン
の情報をもとに実務に適用される場合には、監査法人さんや顧問税理士さん等
にご確認ください。もちろん、エキスパーツリンクでもまずは無料で検討させ
ていただきます。

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◆◇今週のCONTENTS◆◇
1.[税務]スカーレット・レターを政府が検討?
2.[税務]優良申告法人
3.[監査]新日本監査法人の処分、結論出ていない
4.[税務]延払基準
5.[編集後記]

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1.[税務]スカーレット・レター を政府が検討?
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スカーレット・レター

アメリカの小説にこのような題名のものがあるようです。映画にもなっていま
す。日本語で言えば、緋色の文字ということになります。

その昔、清教徒は姦通者に懲罰として赤い色のアルファベットの「A」の一文
字を胸につけさせたようです。これにより、違反者・汚い者を特定することで
孤立感と屈辱を味わわせる目的だったようです。

これを日本政府が検討している、というと、なんのこと?、と思ってしまいま
すが、財務省の田中一穂事務次官によると、

「実は『スカーレット・レター』と呼んでいるのですが、利益を設備投資に
 回さない、人件費を上げない、それでいて海外のM&Aにつぎ込むような企業
 を『赤』や『青』に色分けして各々に課税する。薄く広くですが。まあ警告
 の意味ですが、検討しているといえば、検討しています」

ということなんです。つまり、内部留保課税ですね。ため込んで、利益剰余金
が積みあがっている会社にさらに課税しようというわけです。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/46483

現時点では留保金課税の仕組みは、特定同族会社に限定されていますが、特定
同族会社以外にも適用されるのでしょうか。ところで「スカーレット・レター」
なんて言葉使う必要あるんでしょうか。つるしあげるということですよね。そ
んな色分けなんかせずに、一定の基準にかかったら普通に課税するというだけ
でいいように思います。

確かに、内部留保は非常に多額に積みあがっています。もう少し雇用や設備投
資に回してもらえれば、自社の商品の購入にもつながるのではないかと思って
しまいます。一方で、この内部留保を使った寄附を通じて、格差の是正や、そ
れこそ、一億総活躍社会につなげることはできないものかとも思いますね。

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2.[税務]優良申告法人
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優良申告法人という制度をご存知でしょうか。

その名のとおり、適切な申告、納税をしている法人さんのことなんですが、そ
の基準は以下のとおりです。

(1) 机上審査における基準
(2) 当期調査における基準

(1) の机上審査における基準は、
法人税について、5年間継続して青色申告を行っているとか、各種申告のいず
れかにおいて、e-taxを利用しているとか、直近3年間の法人税の申告所得金
額が、所轄国税局管内の有所得1法人あたりの平均申告所得金額等以上の水
準であること、又は、直近3年間の消費税額が所轄国税局管内の納税法人1
法人あたり平均消費税額以上の水準であること、などです。

(2) の当期調査における基準は、
法人税、消費税、源泉所得税について、申告漏れ割合が、一定水準以下である
とか、使途不明金がないとか、などです。

これらを満たすと「優良申告法人として表敬される」ことになります。

そもそも、「表敬」ってなんでしょうか。調べると「敬意を表すること」なん
ですね。ここでは所轄の税務署長から「表敬状」が授与されます。

「表敬」されるとどのようないいことがあるのでしょうか。

一般には、社会的信用が増すといわれていますね。「優良申告法人」で検索す
るとホームページなどで表敬を受けたことを紹介している会社さんが多いです
ね。

さて、この優良申告法人の事務運営指針は、昨年6月30日に、指針の見直しが
行われ、本年7月1日以降から適用されています。

見直しされた点は、

・申告所得金額が平均所得金額以上の水準であるとする場合の対象期間が従来
 は直近5年だったのが、3年になったこと
・法人税の申告所得金額のみでなく、消費税の納税額基準でもよいとされたこ
 と

などです。

さらに変わった点としては、

・その表敬から原則5年後に「個別指導」が行われることになったこと

です。

この「個別指導」とは、調査により優良申告法人として表敬された法人を対象
に、表敬後も、引き続き適正な申告納税のための会計・経理体制が構築・維持
されているかなどといった一定の基準を「調査」ではなく、「行政指導」によ
り判定するものです。

行政指導の結果、一定の基準を満たせば、引き続き他の納税者の模範としてふ
さわしい法人として表敬されることになります。

表敬されたら、税務調査はない、というわけではないようですが。優良申告法
人であれば、税務調査にくる可能性は、一般的には低くなっているといえるん
でしょうね。

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3.[監査]新日本監査法人の処分、結論出ていない
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東芝問題での新日本監査法人の処分の行方ですが、

11月19日には、読売が、「金融庁は業務改善命令の処分を行う方針を固め
た」と報じています。

http://www.yomiuri.co.jp/national/20151118-OYT1T50142.html?from=y10

一方で、麻生大臣は、20日の閣議後会見で、「要否を含めてまだ結論は出て
いないと述べた」とされています。

http://jp.reuters.com/article/2015/11/20/aso-toshiba-idJPKCN0T908H20151120

今回の問題はまさに会計監査で見抜けなかった粉飾ということですから、世間
ではやはり、監査法人の追及が甘いのではないかという声も聞きますね。その
意味ではある程度厳しい処分は免れないと思いますが、ただ、決して片棒かつ
いでいたわけではないと思いますので、どれだけ厳しいお沙汰が下るのか、注
目しています。

そんな中、新日さんは交代のようですね。まあ、そうなるでしょうね。

東芝、監査法人の変更検討
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2640892.html

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4.[税務]述払基準
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最近出くわしたのですが、述払基準は皆様ご存知でしょうか。

機械設備、ノーハウ、船舶など、高価な資産等を長期にわたる割賦で販売をす
るような場合、原則は、引渡時に一括で収益計上するということになるのです
が、その後の割賦代金の支払期限の到来に合わせて収益を計上する述払基準と
いう基準があります。

この基準は、長期割賦販売等に該当する
資産の販売若しくは譲渡、
工事(製造を含む。)の請負
役務の提供(長期大規模工事の請負を除く)

を適用が可能です。これには以下のようなものも含まれます。

・借地権又は地役権の設定の対価として支払を受ける権利金その他の一時金の
 額で法人税法施行令第138条第1項《借地権の設定等により地価が著しく低下
 する場合の土地等の帳簿価額の一部の損金算入》の規定の適用があるもの

・建物の賃貸借契約に際して支払を受ける権利金その他の一時金の額

・ノーハウの設定契約に際して支払を受ける一時金又は頭金の額

ここで、長期割賦販売とは、上記のいずれかで、

次に掲げる要件に適合する条件を定めた契約に基づき当該条件により行われる
もの及びリース譲渡をいいます。

一 月賦、年賦その他の賦払の方法により三回以上に分割して対価の支払を受
  けること

二 その資産の販売等に係る目的物又は役務の引渡し又は提供の期日の翌日か
  ら最後の賦払金の支払の期日までの期間が二年以上であること

三 その契約において定められている資産の販売等の目的物の引渡しの期日ま
でに支払の期日の到来する賦払金の額の合計額がその資産の販売等の対価
の額3分の 2以下であること

これらに適合した場合、
長期割賦販売等の対価の額及びその原価の額(その長期割賦販売等に要した手
数料の額を含む。)にその長期割賦販売等に係る賦払金割合を乗じて計算した
金額を当該事業年度の収益の額及び費用の額とします。

つまり、
(収益)

長期割賦販売等の対価の額 × 賦払金割合 = 収益の額

(費用)

(販売等の原価の額十販売等手数料)  × 賦払金割合 = 費用の額

となります。

(※) 「賦払金割合」とは、次の算式による割合をいいます。
当事業年度中に支払期日が到来する賦払金の合計額
÷長期割賦販売等の対価の額

割賦販売ですから、引き渡し時点では、対価が収受されていないわけです。税
金払えと言われても払えないわけですからね。割賦販売をご検討の方は、ご確
認ください。

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5.[編集後記]
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皆さんふるさと納税はお済ですか。
うちの事務所でも流行ってきてまして、うなぎやら、ウイスキーやら、お礼の
品をもらっているようです。私はまだ済ませていないので早めにやっておきた
いと思っています。
今年4月1日以降は、いわゆる納税ワンストップ特例制度がありますので、以
下の要件を満たす場合は、確定申告が不要となっていますのでね。検討されて
みてはいかがでしょうか。

・2015年1月1日から3月31日までにふるさと納税をしていない人
・寄付を行った年の所得について確定申告をする必要がない人
・1年間のふるさと納税納付先自治体が5つまでの人

この場合、所得税からは控除されずに、翌年の住民税から全額控除されること
になっています。

公認会計士紺野良一事務所のHPを作りましたので、是非ご覧ください。

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*発行人: エキスパーツリンク
 公認会計士・税理士・公認内部監査人(CIA) 紺野良一
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