◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇vol.318-2015.12.29
      
   ☆☆☆ Weekly Accounting Journal ☆☆☆

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こんにちは、エキスパーツリンクの紺野です。日本の会計基準は、今、IFRS
で揺れ動いています。一方で税制も改正されており、上場会社及び上場準備会
社の決算・経理実務は今後も引き続き、目まぐるしく変化していきます。これ
らのエッセンスを、上場会社及び上場準備会社の経理担当者の皆さん向けに、
出来る限り分かりやすくお伝えします。何らかの「気づき」をご提供すること
が出来れば幸いです。仕事の合間に軽くどうぞ!

文中意見にわたる部分は私どもの私見にもとづきます。このメールマガジン
の情報をもとに実務に適用される場合には、監査法人さんや顧問税理士さん等
にご確認ください。もちろん、エキスパーツリンクでもまずは無料で検討させ
ていただきます。

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移転価格文書の作成、更新はお済ですか?
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など、移転価格に関するご相談は税理士法人エキスパーツリンクにどうぞ!
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エキスパーツリンク、公認会計士紺野良一にご意見、ご要望、ご相談など
ありましたら、こちらにどうぞ。紺野に直接届きます。
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◆◇今週のCONTENTS◆◇
1.[税務]海外で作成された移転価格文書は日本でも有効か?
2.[NEWS]東芝関連リンク集
3.[監査]合意された手続業務に関する実務指針(案)
4.[監査]年金基金に対する監査に関する実務指針(案)
5.[IFRS]公開草案「IFRS第9号『金融商品』のIFRS第4号 『保険契約』と
の適用(IFRS第4号の修正案)」の和訳税制改正大綱
6.[税務]税制改正大綱から
7.[編集後記]

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1.[税務]海外で作成された移転価格文書は日本でも有効か?
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当社では、子会社が海外で作成した移転価格文書があります。これをそのまま
日本の税務当局向けの文書として使用できるでしょうか。
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海外子会社が作成した移転価格文書は、現地の移転価格税制に従って作成され
たものであり、いわば現地の税務当局向けに作成されたものです。企業グルー
プの中核である日本の親会社の移転価格ポリシーが反映されていない移転価格
文書は、現地国の都合で作成されている場合があるため、内容を検討する必要
があります。

移転価格の文書化を進めるにあたり、海外子会社が複数ある場合は、それぞれ
の関連性をよく分析したうえで検証対象取引をどのようにするか、理論の構築
をする必要があります。

海外子会社が独自に移転価格文書を作成した場合、企業グループ全体で十分な
検証が行われないまま、形式的に会社全体の営業利益率をTNMMで検証してい
る場合が多いのが実情です。
 
また、TNMMを移転価格算定方法として適用している場合、営業利益率につい
ても現地国の税務当局向けの説明となるため、たとえ海外子会社の営業利益率
が高いままになっていても、営業利益は十分に計上されているため、移転価格
上の問題はないという文書が作成されていることがあります。
 
このような移転価格文書を日本の税務当局に提出した場合、グループの移転価
格ポリシーとの整合性を問われる可能性があり、海外子会社の営業利益率が高
すぎることは、親会社の所得が海外子会社に移転していることを自ら証明する
ことにもなりかねません。

海外子会社が独自に移転価格の文書を作成している場合は、グループの移転価
格ポリシーに沿った内容になっているかを十分に検討する必要があります。

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2.[NEWS]東芝関連リンク集
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たくさん出ています。

「東芝「負の遺産」、実は1兆円超え!?」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47072

東芝公表の資料によると、
https://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/pr/pdf/tpr20151221.pdf

営業損益段階での今年度の業績悪化分 3,454億円
資産評価減             1,100億円
構造改革等の費用          2,300億円
構造改革               300億円
その他               1,100億円

この他にもウェスチング・ハウスののれんなど考えると、1兆円はあるのでは
ないかということのようです。
こうなってくると、ほかにもあるのかもしれません。

次は、
「新日本監査行政処分から見えてくる「東芝会計不正の深い闇」」
http://blogos.com/article/151577/

要約すると、

今回業務停止処分を受けた7人の公認会計士が、それ程までに無能であった
のか?
 ↓
そうは思えない。
 ↓
長年の関係の中で、東芝執行部の意向を尊重し、その会計処理を容認すると
いう暗黙の合意があったのではないか。

新日本が会計監査人として責任を問われるべきであることは明白であるのに、
東芝側が、その責任を追及しようとしないどころか、監査法人の責任問題を
意図的に回避するという不自然な対応をしてきたのは、なぜなのか
 ↓
東芝の組織の体質など根幹に関わる「米国原発子会社の減損問題を調査対象
から除外して隠ぺいする」というのが、当時の東芝の経営トップの意向であ
り、第三者委員会は、その意向にしたがい、東芝が設定したストーリーのと
おりに報告書を作成した。

という感じでしょうか。

こちらにもありますが、法人が業務改善命令、新規契約締結を禁止する業務
停止命令、課徴金を受けたということになりますと、監査役会としては、再
任の可否についての判断を適切に行わなければ、善管注意義務違反になるよ
うです。これは、大変な影響をもたらすことになりそうです。

さらには、
「最大手で、この体たらくとは」
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/20151225-OYT1T50147.html

こういわれてしまうのは当然だと思います。

もう一つ。私の古巣の元理事長。
「新日本監査法人は旧中央青山の教訓を生かせ」
http://toyokeizai.net/articles/-/98498
あまり深みのない言葉のように感じてしまったのは私だけでしょうか。

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3.[監査]合意された手続業務に関する実務指針
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日本公認会計士協会(監査・保証業務実務委員会)では、国際監査・保証基準審
議会(IAASB)が公表している国際関連サービス基準(ISRS)4400「財務情報に
関する合意された手続の実施契約」に相当する、我が国の合意された手続
(AUP)業務に関する実務上の指針の案を公表しています。

http://www.hp.jicpa.or.jp/specialized_field/main/4400.html

合意された手続に関する業務実施者の報告は、手続実施結果を事実に則して報
告するのみにとどまり、手続実施結果から導かれる結論の報告も、保証の提供
もしません。いわゆるアグリードアポンというやつですね。

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4.[監査]年金基金に対する監査に関する実務指針(案)
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日本公認会計士協会(業種別委員会)では、「業種別委員会実務指針「年金基金
に対する監査に関する実務指針」」(公開草案)及び「業種別委員会研究報告
第10号「年金基金に対する監査に関する研究報告」の改正について」(公開
草案)を公表しています。

http://www.hp.jicpa.or.jp/specialized_field/main/10_14.html

ありましたね。年金の巨額消失事件。あれを受けての対応です。しかしながら、
年金基金については、現行法令上、公認会計士等による監査が求められておら
ず、また、監査実施の前提となる財務報告の枠組みについて明らかではありま
せん。これはすぐにでもやるべきですね。

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5.[IFRS] 公開草案「IFRS第9号『金融商品』のIFRS第4号『保険契約』と
      の適用(IFRS第4号の修正案)」の和訳
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ASBJは、2015年12月24日、公開草案「IFRS第9号『金融商品』のIFRS第4号
『保険契約』との適用(IFRS第4号の修正案)」の和訳を公表しています。
https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/iasb/ed/comments20151209.shtml
ご紹介まで。

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6.[税務]税制改正大綱から
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税制改正大綱から、気になった部分をまとめます。

(1) 欠損金の繰越控除制度の見直し
 控除限度割合が小刻みに減っていくんです。この控除割合を見込んで税効
果のスケジューリングを行う必要がありますので、ご注意ください。

 (改正前)
 27年度~28年度 65%
 29年度~    50%

(改正後)
 27年度     65%
28年度     60%
 29年度     55%
 30年度     50%
 
また、27年度改正では、「29年4月1日以後開始事業年度に生じる欠損金額」
については、欠損金の繰越期間や帳簿書類の保存期間等が10年(改正前:9
年)に延長されていましたが、「30年4月1日以後開始事業年度に生じる欠損
金額」について適用されることに改められます。

(2) 企業版ふるさと納税(地方創生応援税制)
 青色申告法人が、「改正地域再生法の施行日」から「32年3月31日」まで
の間に、”地方創生推進寄附活用事業”に関連する寄附金を支出した場合、
法人事業税・法人住民税・法人税から一定額税額控除できます。ただし、
法人の本社が立地する地方自治体の事業への寄付は対象外となります。2
以上の自治体に事務所等がある法人は、法人事業税・法人住民税の控除税
額の計算で一定の按分計算を行うこととなります。

これは、

現行の寄附金の損金算入制度に加え、以下のとおり、法人事業税・法人住民税
・法人税から税額控除できるというものになります。

法人事業税 控除額     寄付額の10%

      控除税額の上限 法人事業税額の20%

法人住民税 控除額     寄付額の20%
              (道府県 5% 市町村15%、
               29年度からは、
道府県 2.9% 市町村 17.1%)

      控除税額の上限 道府県民税法人税割額の20%
              市町村民税法人税割額の20%

法人税   控除額     「法人住民税から控除しきれなかった金額」
               と
              「寄付額の10%」のいずれか少ない金額

      控除税額の上限  法人税額の5%

ということになります。ちょっと読みにくいかもしれませんが、「法人税、地
方税、合わせて3割の税額控除」と読んでいいのだと思います。損金算入よる
減税効果がそもそも3割程度あるとすれば、6割は返ってくるということにな
ります。つまり、実質負担4割程度で地方に寄付できることになります。

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7.[編集後記]
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今回も遅れてしまい申し訳ございません。「ほぼ週刊」ということでご容赦く
ださい。今年の年末は、予想以上にバタついてしまいまして。
毎年恒例の夜回りに行ってきました。二日間連続。全部で、10人位で、二班
に分かれて回りました。もちろん私が一番若手。というか、私以外は全員オー
バー70。時々オヤジギャグ的な冗談を交えながらも、キチンと仕事をこなす
姿には本当に頭が下がります。今年は、拍子木がなかったんですよね。倉庫の
奥のほうに入っていて出すの大変だとかいうことで、私は時間ぎりぎりすべり
こみで夜回りだけ参加していて、準備には参加していないものですから、そう
なんですか!みたいな感じで。やはり、あれがないとカッコつかないですね。
「ひの~ようじん!」と大きな声だすのには、やはりまだ恥ずかしさが残るも
のの、やらなきゃ、という意識から、少しずつ慣れてきましたね。
警察の方も応援に来ていて、振り込め詐欺が多発しているという話をうかがい
ました。管内で年間一億円超の被害額だそうで、驚きました。
少しは地域社会に馴染めているかな、と思いながら、夜道を歩いてきました。

公認会計士紺野良一事務所のHPを作りましたので、是非ご覧ください。

トップページ
http://kaishaho-kansa.com/
個人会計士による会社法監査
http://kaishaho-kansa.com/audit/personal/

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*発行人: エキスパーツリンク
 公認会計士・税理士・公認内部監査人(CIA) 紺野良一
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