◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇vol.320-2016.01.12
      
    ☆☆☆ Weekly Accounting Journal ☆☆☆

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こんにちは、エキスパーツリンクの紺野です。日本の会計基準は、今、IFRS
で揺れ動いています。一方で税制も改正されており、上場会社及び上場準備会
社の決算・経理実務は今後も引き続き、目まぐるしく変化していきます。これ
らのエッセンスを、上場会社及び上場準備会社の経理担当者の皆さん向けに、
出来る限り分かりやすくお伝えします。何らかの「気づき」をご提供すること
が出来れば幸いです。仕事の合間に軽くどうぞ!

文中意見にわたる部分は私どもの私見にもとづきます。このメールマガジン
の情報をもとに実務に適用される場合には、監査法人さんや顧問税理士さん等
にご確認ください。もちろん、エキスパーツリンクでもまずは無料で検討させ
ていただきます。
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ありましたら、こちらにどうぞ。紺野に直接届きます。
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◆◇今週のCONTENTS◆◇
1.[税務]平成28年度税制改正に伴う移転価格文書化義務について
2.[NEWS]東芝関係リンク集
3.[最新J-GAAP]修正国際基準に係る会社計算規則一部改正
4.[税務]軽減税率の対象品目
5.[税務]日台租税取決め
6.[編集後記]

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1.[税務]平成28年度税制改正に伴う移転価格文書化義務について
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BEPS(税源侵食と利益移転)プロジェクトの行動計画に対応して示された
勧告を踏まえて、我が国においても移転価格文書の作成義務が課せられること
になります。

具体的には、連結収入金額が1,000億円の多国籍企業グループを対象として国
別報告事項およびマスターファイルの作成が求められます。また、一の国外関
連者との前期の取引金額(受払の合計額)が50億円以上の法人に対しては、
独立企業間価格を算定するために必要と認められる書類(ローカルファイル)
の作成が義務化されます。国別報告書およびマスターファイルは平成28年4
月1日以後に開始する最終親事業体の会計年度から、ローカルファイルにつ
いては、平成29年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。

ローカルファイルは、原則として、確定申告書の提出期限から7年間、国外関
連取引を行った法人の国内事務所に保存しなければならないことになりました。
国税当局の当該職員がローカルファイルの提出等を求めた場合、45日以内に
提出がされない場合や、ローカルファイルの作成の基礎となる資料等の提出が
60日以内に行われない場合は、推定課税・同業者調査を行うことができるこ
とになりました。

今回の税制改正により、同時文書化義務が課されたということになります。

移転価格の文書化は、国外関連者間取引を分析する作業から行うため、一朝一
夕では完成しません。初めから移転価格上妥当な文書を作成することは困難な
場合が多いことから、移転価格税制の対応は早めに着手する必要があります。
場合によっては、商流の変更など会社の経営方針に重大な影響を及ぼすことが
あります。

国別報告書、マスターファイル及びローカルファイルの内容については、次回
詳しく説明します。

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2.[NEWS]東芝関係リンク集
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新日本監査法人WEBサイト、こんなんなってるんですね。
http://www.shinnihon.or.jp/

セミナーもやってはいけないのですね。これも新規営業活動になるのでしょう
か。

改革内容で気になったのは、
○監査品質監督会議の新設
“監査品質に関する問題が発見されたパートナーへの対応を厳格にします”
とのことです。

○組織風土改革特別委員会の設置

だそうです。言われていたような顧客の流出はどの程度のものなのでしょうか。
今後新日さんの監査ももっともっと厳しくなるんでしょうね。

東芝不正で処分の新日本監査法人、解体の可能性も・・・会計士引き抜き争
奪戦が加熱
http://biz-journal.jp/2016/01/post_13163.html

既視感がありますね。

「市場参加者の憤りはなぜか粉飾を行った会社側よりも、見抜けなかった監査
 法人により強く向けられるのが常だ。企業は決算をごまかすもの、それを見
 抜くのがプロの役割、という意識が日本人全体の意識の根底にあるのかもし
 れない。」

いいとこついてますよね。専門家はすぐいじめられます。

「意図的な粉飾であれば企業側は当然会計士を論破しにかかる。決定的な証拠
 を得るために追加検証をしたくても、決定的な証拠を握っていないがゆえに
 企業側に論破されてそれ以上踏み込めないというのが、これまでの会計士と
 企業の力関係だった。東芝ほどの企業ですら粉飾が起きたのだから、力関係
 に変化が起きてしかるべきだが、「ウチは東芝とは違う」と言われればそれ
 まで。簡単に従来の力関係が変わるとは思えない。」

これですよ。やはり、これだけ監査法人を非難するのであれば、もっと強大な
権限を与えるべきですよ。あるいは、被監査会社から報酬もらう仕組みそのも
のを変えないとだめなのかもしれません。監査やってる側も報酬目当てで追加
手続をやろうとしている、なんてクライアントに思われたくないですよね。

また、会社法変更によって、監査役に会計監査人の選・解任権が与えられてい
ますので、なんか検討しないといけない、という状況になっているわけです。
これを受けて、

「担当会計士は同じ人物で監査法人だけ交代というシナリオがベストというこ
 とになり、それを承知している大手監査法人が新日本から会計士ごと引き抜
 いてクライアントを獲得しようという動きに出ているのだ。」

だそうです。由々しき事態ですね。身の振り方を考えている新日所属の会計士
も結構いるんでしょうか。

東芝不正見逃した新日本監査法人 見せかけの「重大」処分
http://dot.asahi.com/aera/2016010400057.html?page=1

「業務停止に踏み込まない甘い処分。課徴金で重く見せた」だそうです。何が
 言いたいのでしょうか。やはり東芝よりも監査法人が悪いというのでしょう
 かね。

東芝の不正、PC事業の社員らを任意聴取 監視委
http://www.asahi.com/articles/ASJ196KBYJ19UTIL01B.html

「関係者によると、監視委が注目しているのは、パソコン事業における利益の
 水増し。他事業の不正と比べて元社長らの関与が強いとされ、監視委は金融
 商品取引法違反(有価証券報告書などの虚偽記載)容疑での告発対象になる
 可能性があるとみている模様だ。」

「東芝はパソコン製造を外部の会社に委託していたが、部品は自社で調達。こ
 の部品を調達価格より高く委託先に販売し、差額分を、完成品を買い取る際
 に相殺する仕組みにしていたとされる。東芝はこれを悪用し、決算期が近づ
 くと委託先に必要以上の在庫を抱えさせ、差額を相殺するのを控えて見かけ
 上の利益を水増ししていたという。」

これ、古典的ですよね。有償支給。在庫引き取り義務があるので、外部保管在
庫とすべきなんでしょうね。金商法違反ですね。確かに。

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3.[最新J-GAAP]修正国際基準に係る会社計算規則一部改正
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連結計算書類につき、修正国際基準を採用することができるとする条項を加え
る会社計算規則の改正がなされています。

http://kanpou.npb.go.jp/20160108/20160108h06690/20160108h066900001f.html

パブリックコメント意見募集の結果
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=300080139&Mode=2
「特段の意見はない旨の御意見1件が寄せられました」そうです。採用企業は出
てくるのでしょうか。

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4.[税務]軽減税率の対象品目
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わかりにくくなってしまった軽減税率の対象品目につき、税務通信No.3390
にまとめられていましたので、記載しておきます。

対象品目は
(1)酒類及び外食を除く飲食料品の譲渡
(2)定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞の譲渡
(3)保税地域から引き取られる課税貨物(上記(1)の飲食料品)

とされています。

飲食料品の譲渡の論点としては、
・飲食料品と飲食料品以外の資産が一体となっている資産(一体商品)
・飲食料品から除かれる外食
があります。

・飲食料品と飲食料品以外の資産が一体となっている資産(一体商品)
 一体商品は飲食料品には該当しないのですが、一定金額以下(現段階では、
 「一万円以下」が想定されています。) の少額の資産であって、その資産の
 主たる部分が飲食料品から構成されているものについては、その全体を「飲
 食良品」として軽減税率の対象とするようです。

・飲食料品から除かれる外食
 食品衛生法上の飲食店営業その他のその場で飲食させるサービスの提供
 (「食事の提供」)を行う事業を営む者が、テーブル、椅子その他のその場で
 飲食させるための設備(「飲食設備」)を設置した場所で行う「食事の提供」
 その他これに類するものは飲食料品から除かれるようです。

ですから、いわゆるテイクアウト・持ち帰り・宅配は軽減税率にあたらないこ
とになります。一方で、いわゆる外食は軽減税率になります。イートインも該
当します。
よくいわれているハンバーガー店の話でいえば、テイクアウトは軽減税率では
ないですが、ハンバーガー店内での飲食は軽減税率です。コンビニのイートイ
ンも軽減税率です。

これ、レジは大変です。

このレジの更新等に996億円の予算が出されるようで、補助金として交付され
るようです。詳細は未定のようですが、以下のようなものがあることは頭に入
れておきましょう。

(小売段階の支援)
補助率 原則2/3(3万円未満のレジは3/4)
補助上限 1台当たり20万円(商品マスタの設定が必要な場合は40万円)

(流通段階の支援)
補助率 原則2/3
補助上限 1,000万円(小売事業者) 150万円(卸売事業者)

消費税増税は平成29年4月1日からです。

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5.[税務]日台租税取決め
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そもそも言い回しが他の租税条約とは違いますよね。

日本は、台湾との関係は、非政府間の実務関係としているため、台湾との間で
は租税条約を締結できないんですよね。

このため、「公益財団法人交流協会」(日本)と「亜東協会」は、民間同士の取
決めとして「日台民会租税取決め」を定め、昨年11月26日に署名しています。

http://www.koryu.or.jp/taipei/ez3_contents.nsf/04/C22CA40FA4A11E7549257F0800504E3A?OpenDocument

ここでは、日台間で支払われる配当などについて、源泉地における課税の税率
を以下のとおり引下げています。

配当 利子 使用料
10% 10% 10%

これは民間同士の取決めということになるので、その内容を日本国内で実施す
るには国内法の規定が必要となります。その法整備が平成28年税制改正で行
われることになるようです。台湾においても同様の法整備が行われます。

公益財団法人交流協会は、適用は早くても、29年1月からの実施になるので
はと考えているようです。

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6.[編集後記]
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改めまして新年あけましておめでとうございます。この三連休はようやく少し
休めていますが、またこれから忙しくなりますね。法定調書、償却資産税、確
定申告と続きますからね。ですから毎年、自分のものを先にすませてしまって
います。今年もこの三連休にほぼ終了してしまいました。まあ、個人の分の記
帳はそれほど多くないですからね。後少しの資料の入手等でもう出してしまお
うと思っています。還付ですし。早いほうがね。いいですよね。

公認会計士紺野良一事務所のHPを作りましたので、是非ご覧ください。

トップページ
http://kaishaho-kansa.com/
個人会計士による会社法監査
http://kaishaho-kansa.com/audit/personal/

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*発行人: エキスパーツリンク
 公認会計士・税理士・公認内部監査人(CIA) 紺野良一
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