◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇vol.342-2016.06.27
      
   ☆☆☆ Weekly Accounting Journal ☆☆☆

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こんにちは、エキスパーツリンクの紺野です。日本の会計基準は、今、IFRS
で揺れ動いています。一方で税制も改正されており、上場会社及び上場準備会
社の決算・経理実務は今後も引き続き、目まぐるしく変化していきます。これ
らのエッセンスを、上場会社及び上場準備会社の経理担当者の皆さん向けに、
出来る限り分かりやすくお伝えします。何らかの「気づき」をご提供すること
が出来れば幸いです。仕事の合間に軽くどうぞ!

文中意見にわたる部分は私どもの私見にもとづきます。このメールマガジン
の情報をもとに実務に適用される場合には、監査法人さんや顧問税理士さん等
にご確認ください。もちろん、エキスパーツリンクでもまずは無料で検討させ
ていただきます。

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ありましたら、こちらにどうぞ。紺野に直接届きます。
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◆◇今週のCONTENTS◆◇
1.[最新J-GAAP]]無形資産の評価実務-M&A会計における評価とPPA業務-
2.[監査]不正会計予測モデル
3.[NEWS]北越トレイディングの横領事件
4.[NEWS]東京都法人事業税・法人都民税の税率の改正
5.[税務]平成28年熊本地震に関する諸費用の法人税の取扱いについて
6.[編集後記]

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1.[最新J-GAAP]]無形資産の評価実務-M&A会計における評価とPPA業務-
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日本公認会計士協会(経営研究調査会)は、平成28年6月14日付けで経営研
究調査会研究報告第57号「無形資産の評価実務-M&A会計における評価とPPA
業務-」を公表しています。

http://www.hp.jicpa.or.jp/specialized_field/20160621c80.html

これは、公認会計士がPPA目的(Purchase Price Allocation:M&Aにおける取
得原価の配分目的)で無形資産の評価を委嘱された場合に、評価業務を実施し、
その評価を依頼人に報告するための実務を中心にまとめたものです。

PPAは、M&Aにおいて取得企業が被取得企業を買収した際に支払った買収対価
を、被取得企業に存在する資産、負債に配分し、財務諸表に計上する一連の作
業をいいます。

ですから、このPPAはM&Aプロセスの中では、ディールが終了した後、すなわ
ちクロージング後に行われる作業に位置づけられます。

これによって、「顧客価値」ですとか、「ブランド」といった資産が貸借対照
表に計上されることになるわけですね。

例えば、
「買収対価」+「有利子負債」
      -「ネット運転資本」
      -「有形固定資産」

に対して、

「顧客価値」や「ブランド」が多額に計上されますと、「のれん」は小さくな
るのですが、
「顧客価値」や「ブランド」が小さいか、計上されない場合は、「のれん」は
大きくなるわけです。

一般的には、
前者は、今まで顧客基盤やブランド、技術力を蓄積してきた成熟企業を買収
した場合にみられ、

後者は、ベンチャー企業の買収のケースに多くみられる
とされています。

我が国には、公認会計士が無形資産の価値を評価する際に準拠しなければなら
ない「基準」や「マニュアル」がない。そこで、その評価実務をまとめたのが
この研究報告だそうです。

評価の例なども掲載されていますので、大変参考になると思います。

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2.[監査]不正会計予測モデル
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新日本有限責任監査法人は、2016年7月より、将来の不正会計を予測する仕
組みを導入するとリリースしています。

http://www.shinnihon.or.jp/about-us/news-releases/2016/2016-06-22.html

「不正会計予測モデルとは、過去に重要な虚偽表示のあった財務諸表の特徴に
照らして、将来の重要な虚偽表示や有価証券報告書の訂正が生じる可能性を予
測するものです。過去5年分の金融関連各社を除く上場企業の財務諸表を中心
とする企業情報に基づき、機械学習の技術を用いてモデルを構築しています。
今後は、不正会計予測に関する研究の第一人者である首藤准教授の協力のもと、
会計監査人の経験則などと組み合わせ、モデルの精度の向上に取り組みます。」

「不正会計予測モデルによって統計的に示されるリスク値を監査チームと共有
し、上場会社等の会計監査の重要な虚偽表示リスクの識別に役立てることで、
深度ある監査を行います。また契約の受嘱や更新におけるリスク分析にも活用
し、品質管理の高度化を図っていきます。」

ということです。研究の成果を現場に役立てるのはとてもいいことですね。

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3.[NEWS]北越トレイディングの横領事件
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本当に多くないでしょうか。横領事件。舛添前都知事が小さく見えます。

北越紀州製紙の子会社北越トレイディングの総務部長が、業務上横領の容疑で
警視庁に逮捕されています。総額24億円です。
http://www.hokuetsu-kishu.jp/pdf/OSIRASE/20160601_release01.pdf

こちらに詳細な取材記事があります。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48936

「身長165cmくらいのぽっちゃり体型。おとなしくて地味なタイプです。人と
ごはんを食べていても、うなずいて聞いていることが多かった」

「羽染さんは動物のビーバーにすごくよく似ています。前歯が出ていてコソコ
ソしている雰囲気がいかにもそれっぽい」

「隠蔽工作は巧妙だった。小切手を振り出したままでは銀行からの借入額と帳
簿の数字が合わなくなるため、架空の在庫や前払い費用を計上。その後、小切
手のやり取りが財務に反映されないような工夫をしたうえ、虚偽の決算書を作
成して銀行に提出していた。」

「Aさんはよく店内で、『ねえねえ、お給料出たんでしょ。お小遣いちょうだ
いよ』とねだったり、注文のときに『はい、羽染が洗心(高級日本酒)注文しま
した。洗心入りました!』とはやしたり、調子のいい感じがしました。そうい
う愛もあるのかもしれませんが……」」

「「羽染さんはそのラウンジに行くと、ほぼ毎回のように50万円支払わされ
ていたらしい。羽染さんだけで月に250万~300万円の売り上げがあったと言わ
れています。Bさん自身、『うちは羽染さんがいれば一生安泰』と公言してい
た。」

「羽染容疑者は、会社に対して「解約した」と報告した口座をひそかに使い続
け、横領を行っていた。容疑者がたまたま会社を休んだ日、取引がないはずの
その銀行から返済予定表が届いたのだ。後日、そのことを問い質された羽染容
疑者は、ついに長年着服を続けていたことを告白し、横領を認めたのである。」

何か切なくなりますね。こういう人はいずれ発覚するのはわかってやっている
んでしょうから、60歳まで続けられたというのは想定どおりなのかもしれませ
ん。それにしても2000年から2015年までで、総額24億7600万円が発覚しない
なんて、会社の内部統制、監査役、会計監査は一体どうなっていたんでしょう。

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4.[NEWS]東京都法人事業税・法人都民税の税率の改正
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東京都は、法人事業税(所得割・収入割)、法人都民税法人税割の税率につい
て改正し、公表しました。本改正を盛り込んだ条例は、平成28年6月21日に
公布されています。

http://www.tax.metro.tokyo.jp/oshirase/2016/20160621_hojinkaisei.pdf

平成29年4月1日以後に開始する事業年度
(法人事業税)
外形標準課税適用法人・改正後
 所得割 年400万円以下の所得             1.995
     年400万円を超え年800万円以下の所得     2.835
     年800万円を超える所得又は軽減税率不適用法人 3.78

平成29年4月1日以後に開始する事業年度
(法人都民税法人税割)
改正後
 23区内に事務所等がある場合
 不均一課税適用法人の税率[標準税率] 7.0%
 超過税率              10.4%

 市町村に事務所等がある場合
 不均一課税適用法人の税率[標準税率] 1.0%
 超過税率              2.0%

ご確認ください。

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5.[税務]平成28年熊本地震に関する諸費用の法人税の取扱いについて
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国税庁は、平成28年6月16日、法令解釈通達「平成28年熊本地震に関する諸
費用の法人税の取扱いについて」を公表しています。

http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kobetsu/hojin/160614/index.htm

以下がその項目です。
(災害損失特別勘定への繰入額の損金算入)
(被災資産の修繕費用等の見積りの方法)
(災害損失特別勘定の益金算入)
(修繕等が遅れた場合の災害損失特別勘定の益金算入の特例)
(災害損失特別勘定を設定した場合の災害損失の範囲)
(修繕費用等の支出がある場合の災害損失の額の計算)
(繰延資産の基因となった資産について損壊等の被害があった場合)
(損壊した賃借資産等に係る補修費)
(被災者用仮設住宅の設置費用)

うち、(災害損失特別勘定への繰入額の損金算入)について、軽くお伝えします。

法人が、被災事業年度等において、被災資産の修繕等のために要する費用の見
積額として次の(1)又は(2)に掲げる金額のうちいずれか多い金額の合計額以下
の金額を災害損失特別勘定として経理したときは、その災害損失特別勘定とし
て経理した金額は、当該被災事業年度等の所得の金額の計算上、損金の額に算
入します。

※ただし、保険金等により補填される金額がある場合には、当該金額の合計額
を控除した残額までということになります。

(1) 被災資産の被災事業年度等終了の日における価額がその帳簿価額に満た
ない場合のその差額に相当する金額
(2) 被災資産について、災害のあった日から1年を経過する日までに支出する
と見込まれる修繕費用等の見積額(被災事業年度等終了の日の翌日以後に
支出すると見込まれるものに限る。)
イ 被災資産の取壊し又は除去のために要する費用
ロ 被災資産の原状回復のために要する費用(被災資産の被災前の効用を維
持するために行う補強工事、排水又は土砂崩れの防止等のために支出す
る費用を含む。)
ハ 土砂その他の障害物の除去に要する費用その他これらに類する費用
ニ 被災資産の損壊又は価値の減少を防止するために要する費用

いつもどおり、端折って書いていますので、適用にあたっては原文にあたって
ください。

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6.[編集後記]
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公認会計士試験で答案用紙が1枚なくなったそうです。
http://www.fsa.go.jp/cpaaob/kouninkaikeishi-shiken/tantou28-2jian.html

「5月29日(日)の試験当日、企業法の試験終了後、試験室において、試験業務
受託事業者の試験官が受験者から答案用紙を回収し、枚数確認の上、答案枚
数を記載した回収用封筒に入れて密封しました。」

「5月30日(月)、当該回収用封筒は、密封されたまま答案用紙の読取業務受託
事業者に搬送され、読取業務受託事業者において、回収用封筒を開封の上、
読取作業を開始したところ、回収用封筒に記載された答案枚数と読取枚数が
相違していることを認識したものです。」

今後、回収用封筒の密封・開封に当局が立会うこととするとのことですが、何
とも後味が悪い感じがします。当該答案用紙を提出した受験者については、合
格として取り扱うことになったそうです。何やら、本人も複雑なのではないで
しょうか。短答式ですからまだいいですけど、本試験でこのようなことが起き
たら本当に大変なことです。受験者は人生かけてますからね。

公認会計士紺野良一事務所のHPを作りましたので、是非ご覧ください。

トップページ
http://kaishaho-kansa.com/
個人会計士による会社法監査
http://kaishaho-kansa.com/audit/personal/

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*発行人: エキスパーツリンク
 公認会計士・税理士・公認内部監査人(CIA)inactive 紺野良一
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