【Weekly accounting journal】vol.138
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇vol.138-2012.06.19
☆☆☆ Weekly Accounting Journal ☆☆☆
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こんにちは、エキスパーツリンク/エキスパーツ税理士法人の紺野です。日本
の会計基準は、今、IFRSで揺れ動いています。一方で税制も改正されており、
上場会社及び上場準備会社の決算・経理実務は今後も引き続き、目まぐるしく
変化していきます。これらのエッセンスを、上場会社及び上場準備会社の経理
担当者の皆さん向けに、出来る限り分かりやすくお伝えします。仕事の合間に
軽くどうぞ!
文中意見にわたる部分は僕の私見にもとづきます。このメールマガジンの情報
をもとに実務に適用される場合には、監査法人さんや顧問税理士さん等にご確
認ください。もちろん、エキスパーツリンク/エキスパーツ税理士法人でもま
ずは無料で検討させていただきます。
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◆◇今週のCONTENTS◆◇
1.[IFRS]溝が埋まらないIFRS「中間的論点整理(案)」
2.[税務]消費税増税なるか?
3.[NEWS]再生可能エネルギー固定価格買取制度の減免申請の確認
4.[税務]問題49
5.[編集後記]
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1.[税務]溝が埋まらないIFRS「中間的論点整理(案)」
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平成24年6月14日に行われた金融庁企業会計審議会企画調整部会合同会議にお
いて、『国際会計基準(IFRS)への対応のあり方についてのこれまでの
議論(中間的論点整理)(案)』が示されています。
http://k.d.combzmail.jp/t/2732/b077tkv0yjz7964u50nJJ
全体的には意見が書かれただけで何等の一致点もみえないかのような印象を受
けますね。正しいと思えるものと、どうかなあと思えるものと、あります。い
くつか紹介すると、
『(経済活動に資する会計)
(抜粋)
○ 少子高齢化が進む中で、わが国が今後とも経済成長を確保していくために
は、高付加価値が期待できる製造業の存在が引き続き重要である。わが国
は欧米主要国と比べて製造業の割合が高く、金融に重きを置いている国と
は事情が異なる。会計基準の検討に当たっては、産業構造や雇用構造に配
慮することが必要である。
○ わが国において今後も技術開発、研究開発投資が促進されることによって、
産業競争力の強化と雇用の創出が図られていくことが重要であり、わが国
の会計基準もこれに資するものでなければならない。
○ わが国で成熟した労使関係を持つ企業においては、企業収益等の情報を労
使で共有して、それに基づき賃金等の労働条件を協議・決定している。I
FRSのような会計基準の下、資産・負債の増減で利益が決 められるよ
うになると、労使の努力が財務情報に適切に反映されず、労働者は生産性
向上の意欲を失いかねない。これは、国益にとって望ましくないことであ
る。』
IFRS=時価主義
↓
製造業には適さない
という単純な論調ですが、そもそもIFRS下の製造業で時価評価が強制される
ようなものがあるか?過去何度も紹介しているように固定資産は原価モデル
と再評価モデルの選択ができます。再評価モデルを選択する会社は少数です。
開発費の資産計上という問題もありますが、実際は資産計上の要件を満たさ
ないとして計上されていないケースも多いと聞きますし、仮に資産計上され
たとしても労働者が生産性向上の意欲を失うのでしょうか???
『○ 日本基準や日本的なものを温存しなければならないということであれば、
どういうものが日本的なものなのか、何が具体的に問題となるのか等を
明確に議論する必要がある。
○ わが国の経済活動や企業経営が他の国々と比べて特異であるから、会計基
準はそれに関連付けて作成されるべきである、という立場はとるべきでな
い。
○ 経済活動を忠実に描写するためのルールが会計基準であり、会計が描写し
た経済活動の結果を、経営者がどう判断するかということは会計基準の問
題ではない。』
その通りですね。日本文化擁護論みたいな言い方は、会計とは次元の異なる
世界の話のように思えます。
また、会計基準によって出てきた数値は、ルールに従って描写された「現実」
です。大事なのは経営者や投資家がその「現実」がどのようなルールに従って
表現されたものなのかを理解したうえで、そこから何を学び、どのような行動
をとるかということであり、ルールを議論しすぎても仕方ないように思います。
ルールによって差が生じますが、あくまで現実のキャッシュフローをどのよう
に切り取り、表現するかという程度の違いのはずですからね。
『(会計基準における基本的概念)
(抜粋)
○ 長期的な投資、収益を重視する日本のゴーイングコンサーン的な経営は世
界に誇れるものであり、今後とも堅持されるべきである。
○ 企業会計においては、企業売買ということを前提にするよりも、ゴーイン
グコンサーンとして長期的に利益をあげるという視点を重視すべきである。
○ これほど長くデフレが続く日本において時価会計を導入することは問題で
ある。会計制度が企業の行動に影響を及ぼす可能性がある。』
IFRSといっても資産負債の評価としては非上場の株式以外は現行あるいは今後
導入される日本基準と大きく変わらないと思うのですが、どうしてこのように
極端な議論になってしまっているのか。会計専門家はもうすこし、そんなに時
価会計でもないですよという話を強調すべきなのではないでしょうか?
いずれにしても、アメリカが一歩踏み出さなければ日本では何も決まらなそう
な感じですね。大臣が変わりどう変わるのか。
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2.[税務]消費税増税なるか?
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日々状況が刻々と変わっているようですので、このメルマガ執筆時点から発行
時点までに変化があるかもしれませんが、その場合はご容赦ください。
消費税増税関連法案の修正をめぐる民主、自民、公明3党の協議が決着しまし
たね。消費税の増税が、与野党の合意で実現される見通しとなりました。
合意の内容。確認しておきましょう。
http://k.d.combzmail.jp/t/2732/b077vkv0yjz7964u50CYX
【税制分野】について書いてみます。
(所得税)
最高税率の引き上げなど累進性の強化に係る具体的な措置の検討
・政府案
→課税所得5,000万円超について45%
・公明党提案(これを踏まえつつ検討を進める)
→課税所得3,000万円超について45%、課税所得5,000万円超について50%
(資産税)
相続税の課税ベース、税率構造等、および贈与税の見直し→平成25年改正にお
いて必要な法制上の措置を講ずる(基礎控除の引き下げ等)。
(消費税)
低所得者対策
→給付付税額控除等の施策の導入について総合的に検討する。
→複数税率の導入について総合的に検討する。
簡素な給付措置については、消費税率(国・地方)が8%となる時期から低所得者
に配慮する給付付税額控除等および複数税率の検討の結果に基づき導入する施
策の実現までの間の暫定的及び臨時的な措置として実施する。
等々ですね。
いよいよ消費税増税のようです。
顧客に転嫁できるのか、できない場合、仕入先に転嫁できるのか、検討が必要
と思います。高額消費・投資は2014年3月までにするべきでしょうし、人件費な
ど不課税仕入は可能なら派遣など課税仕入にするほうが有利かもしれません。
2015年は期の途中で税率が変わるんでしょうね。処理も厄介かもしれません。
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3.[NEWS]再生可能エネルギー固定価格買取制度の減免申請の確認
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平成23年8月から電気事業者に対して、再生可能エネルギー電気の国が定める
期間・価格での買い取り(固定価格買取制度)が義務付けられているそうです。
一定の要件を満たす電気使用量が極めて大きい需要家は、その申請により、サ
ーチャージの支払額の減免が認められているそうで、このサーチャージの減免
措置の申請に当たって必要とされる書類の一部記載内容については公認会計士
又は税理士による確認が求められることとなったようです。
この場合の報告書の記載例が日本公認会計士協会により公表されています。
http://k.d.combzmail.jp/t/2732/b077xkv0yjz7964u501lt
こういう仕事もあるんですね。
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4.[税務]問題49
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[問49]
法人税務上、入会金について、正しいのはどれ?
a.
ア.ゴルフクラブ(法人業務のために入会)の法人会員入会金は資産計上が必要
で償却できない。
イ.レジャークラブ(有効期間あり。) の入会金 (脱退時に返還されない。)
は資産計上が必要で償却できない。
ウ.社交団体の入会金は交際費処理が必要。
b.
ア.ゴルフクラブ(法人業務のために入会)の法人会員入会金は資産計上が必要
で償却できない。
イ.レジャークラブ(有効期間あり。) の入会金 (脱退時に返還されない。) は
資産計上が必要だが、繰延資産として償却できる。
ウ.社交団体の入会金は交際費処理が必要。
c.
ア.ゴルフクラブ(法人業務のために入会)の法人会員入会金は資産計上が必要
だが、繰延資産として償却できる。
イ.レジャークラブ(有効期間あり。) の入会金 (脱退時に返還されない。)
は資産計上が必要だが繰延資産として償却できる。
ウ.社交団体の入会金は交際費処理が必要。
[答]
a.→ http://k.d.combzmail.jp/t/2732/b077zkv0yjz7964u50PFm
b.→ http://k.d.combzmail.jp/t/2732/b0770kv0yjz7964u60daR
c.→ http://k.d.combzmail.jp/t/2732/b0771kv0yjz7964u60FNG
[前回の解答]
前回の正答はcです。
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5.[編集後記]
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私は、会計を長く勉強してきて、それを生業としているわけですが、こういっ
ては元も子もないですが、会計は単なるツールにすぎないと考えています。会
計は、経済活動によりすでに確定したキャッシュフローをどう配分して、今持
っている資産負債をどう表現するかということであり、読み手はこの結果につ
き、ルールを理解して現状を把握する必要があります。
ここからが大事なんです!読んだ後、どのような手を打つか。固定資産投資が
重すぎて、資金がなかなか回収できていないのかもしれません。売掛金の回転
期間が長く、資金の手当てをしなければならないかもしれません。無駄な経費
が発見されるかもしれません。人件費が重すぎるのかもしれません。
基本的にキャッシュフローを配分する作業はあくまで意思決定のための情報を
収集して整理する作業にすぎません。開示や税務はもちろん対応する必要があ
るのですが、これは当然の義務、コンプライアンスであり、これ自体を目的と
は考えないほうがよいと思っています。
従って、会計作業自体にあまりリソースを投入すべきではなく、CFOの仕事は
もちろんコンプライアンス対応はありますが、それ以上に、如何にキャッシュ
フロー改善につなげるかを日々模索すること。ここにCFOの仕事の真骨頂があ
ると思っています。
特に会計のルールをどうするかにやたら時間をかけすぎるのはいかがなもので
すか。ねえ。
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*発行人: エキスパーツリンク
公認会計士・税理士・公認内部監査人(CIA) 紺野良一
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