◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇vol.142-2012.07.17
      
    ☆☆☆ Weekly Accounting Journal ☆☆☆

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
こんにちは、エキスパーツリンク/エキスパーツ税理士法人の紺野です。日本
の会計基準は、今、IFRSで揺れ動いています。一方で税制も改正されており、
上場会社及び上場準備会社の決算・経理実務は今後も引き続き、目まぐるしく
変化していきます。これらのエッセンスを、上場会社及び上場準備会社の経理
担当者の皆さん向けに、出来る限り分かりやすくお伝えします。仕事の合間に
軽くどうぞ!

文中意見にわたる部分は僕の私見にもとづきます。このメールマガジンの情報
をもとに実務に適用される場合には、監査法人さんや顧問税理士さん等にご確
認ください。もちろん、エキスパーツリンク/エキスパーツ税理士法人でもま
ずは無料で検討させていただきます。

◆◇今週のCONTENTS◆◇
1.[税務]復興特別所得税の区分処理と端数処理はちょっと面倒
2.[IFRS]SECのIFRS最終報告書?
3.[税務]消費税の経過措置
4.[最新J-GAAP]問題53
5.[編集後記]

===================================
1.[税務]復興特別所得税の区分処理と端数処理はちょっと面倒
===================================
細かいですけど、これおさえないといけないですよね。

国税庁は平成24年6月29日、「平成24年版 法人税申告書の記載の手引」を
公表しています。このなかで、源泉徴収された所得税と復興特別所得税の区
分処理や端数処理の方法についての取扱いや計算例が示されています。

ア.所得税及び復興特別所得税の合計額の 2.1/102.1に相当する金額の50 銭
  以下を切り捨て、50 銭超を切り上げた金額を復興特別所得税の額としま
  す。

イ.所得税及び復興特別所得税の合計額からア.により計算した復興特別所
  得税の額を控除した金額を所得税の額とします。

所得税及び復興特別所得税の按分計算は、原則として支払を受けるごとに行う
こととなりますが、「預貯金の利子及び合同運用信託の収益の分配1」に係るも
のについては、平成25年1月1日以後に支払を受けるべきものにつき期末に一
括して按分計算を行っても差し支えありません。

ということになっています。

しかしこの例では、簡単に源泉所得税額と復興特別所得税の合計が与えられて
から計算がスタートしていますが、実務的には、まず通帳に印字された利息の
額から源泉された額(源泉所得税、復興特別所得税、利子割)の合計値を算出す
ることから始まるように思うのですが、、、。以下、あまり紹介されていない
ようなので、とりあえず私見なのですが。

つまり、従来、利息として80,000円通帳に入金されたとすると、
80,000円/0.8*0.15=15,000円(源泉所得税)
80,000円/0.8*0.05=5,000円(利子割)

として計算して、利息の総額は100,000円なんだなと計算していたと思うんです
けど、これが、微妙な数値になるはずです。

この例でいうと、入金されるのは79,685円ですよね。多分。これをどうするの
か。こうやるんじゃないでしょうか。

79,685円/0.79685*0.15*1.021=15,315円(源泉所得税+復興特別所得税)
79,685円/0.79685*0.05=5,000円(利子割)

0.79685ってどう出しているかというと、
1-0.15*1.021-0.05=0.79685
というわけです。

で、上述の手引きに従えば、この15,315円に対して
15,315円*2.1/102.1=315円(復興特別所得税)
15,315円-315円=15,000円(源泉所得税)

となるのでは?そうだと思うんですけど、、、。

これ結構厄介ではないでしょうか。24年中の収入は復興特別所得税が課されま
せんが、25年1月以後の収入は復興特別所得税が課されますからね。注意が必
要です。

===================================
2.[IFRS] SECのIFRS最終報告書?
===================================
また遠のいたということなんでしょうね。SECが国際会計基準に関する最終報
告書を出しました。

http://k.d.combzmail.jp/t/2732/b0zq1wv0yjpp19pucmQGY

報告書自体はこちらです。
http://k.d.combzmail.jp/t/2732/b0zq2wv0yjpp19pucmHEd

ニューヨークタイムスが要約してくれています。
http://k.d.combzmail.jp/t/2732/b0zq3wv0yjpp19pucmV3H

断片的ですが、抜粋してみます。

>>>
As expected, the report contained no recommendations, but its
general tone was far more cautious than proponents of the use
of international standards had hoped.

>>>
adopting them as authoritative in the United States was
“not supported by the vast majority of participants in the U.S.
capital markets.”

>>>
It appears that whatever happens, international rules will not be
adopted automatically in the United States when they are
enunciated by the international board.

>>>
If the United States does not adopt international rules _ or at
least the bulk of them _ that could slow the adoption process
in other countries, particularly Japan.

そのとおりですね。日本では遅れるのが必至でしょう。忘れられそうですね。
ところで、主任会計士のクローカー氏辞めたんですよね。民間企業に移籍する
とのことですが。

===================================
3.[税務]消費税の経過措置
===================================
消費税法施行令の改正政令の附則ですね。
今の法案が通れば、消費税率は、平成26年3月31日までの譲渡等については、
5%で、平成26年4月1日から8%となるわけですが、この扱いには経過措置が
あります。

ア.請負工事等に関する経過措置
平成8年10月1日(前回引上げ時の指定日)から平成25年10月1日(「指定日」
)の前日までの間に締結した工事・製造の請負に係る契約(これに類する政令
で定める契約を含む。)に基づき、26年4月1日以後にその契約に係る課税資
産の譲渡等を行う場合、その課税資産の譲渡等については改正前5%(ただし、
指定日以後に対価が増額された場合には増額前の部分に限る)が適用されます。

イ.資産の貸付けに関する経過措置
平成8年10月1日から指定日の前日(平成25年9月30日)までの間に締結した
資産の貸付に係る契約に基づき、26年4月1日前から同日以後引き続きそ
の契約に係る資産の貸付けを行っている場合で、契約の内容が次の1及び2、
又は1及び3の要件に該当するときは、26年4月1日以後の貸付けに係る消
費税は改正前の5%が適用されます。
ただし、指定日以後に対価の額の変更があった場合、変更後の資産の貸付けに
ついては改正後の税率が適用されることになります。
1貸付期間とその間の対価の額が定められていること
2事情の変更等で対価の額の変更が求めることができる旨の定めがないこと
3契約期間中にいつでも解約の申入れをすることができる旨の定めがないこと、
その他対価に関する契約の内容が政令で定める要件に該当していること

ウ.旅客運賃等に関する経過措置
旅客運賃、映画等の入場料金その他不特定多数の者に対する譲渡に係る対価で
政令で定めるものを平成26年4月1日前に領収している場合で、その対価の
領収に係る資産の譲渡等が26年4月1日以後の場合、改正前の5%が適用され
ます。

これらの扱い。シミュレーションしてみてください。実はあまりかわらなかっ
たりするかもしれませんけど。

===================================
4.[最新J-GAAP]問題53
===================================
[問53]
「外貨建有価証券について、実質価額の著しい低下により評価額の引下げが求
められる場合には、当該外貨建有価証券の実質価額は、(ア)を(イ)により円換
算した額による。」とされている。

時価を把握することが極めて困難と認められる外貨建株式について、株式の実
質価額が著しく低下したかどうかは、(ウ)と(エ)とを比較して判断する。この
(ウ)の算定に当たり資産等の時価評価のための資料が合理的に入手できる場合
には、時価評価に基づく評価差額等を加味して(ウ)を算定する。

[答]
a.(ア)外国通貨による実質価額
(イ)決算時の為替相場
(ウ)外貨建ての実質価額
(エ)外貨建ての取得原価
→ http://k.d.combzmail.jp/t/2732/b0zq4wv0yjpp19pucmRWD

b.(ア)外国通貨による取得原価
 (イ)決算時の為替相場
(ウ)邦貨換算後の実質価額
(エ)邦貨換算後の取得原価
→ http://k.d.combzmail.jp/t/2732/b0zq5wv0yjpp19pucmMT2

c.(ア)外国通貨による実質価額
 (イ)決算時の為替相場
(ウ)外貨建ての取得原価
(エ)外貨建ての実質価額
→ http://k.d.combzmail.jp/t/2732/b0zq6wv0yjpp19pucm9cM

[前回の解答]
前回の正答はaです。

===================================
5.[編集後記]
===================================
移転価格税制の対応、どうされていますか?この税制は大手税理士法人の移転
価格チーム位しか対応できないと言われている、、、と、少なくとも私たちは
思っておりまして、私たち弱小税理士法人ではなかなか実務感が養えないなか、
当局は移転価格税制に係る課税強化の姿勢を鮮明に打ち出しており、税務調査
を強化していますし、その対象も一部の大企業だけではなくなってきています。
私たちも国際的にネットワークを持つ事務所さんと連携しながら(ビッグ4では
ないですよ)、少しずつですが、力をつけていきたいと思っていまして、事例
も出てきそうです。今や中規模小規模の会社さんでも国際的に立ち回る時代で
すからね。頼りになる事務所になるためには避けて通れないですね。頑張りま
す!

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
*発行人: エキスパーツリンク
 公認会計士・税理士・公認内部監査人(CIA)
  ・ディスクロージャー上級実務士  紺 野 良 一
*URL: http://k.d.combzmail.jp/t/2732/b0zq7wv0yjpp19pucmNLk
 →決算・開示サポート、内部統制、会計に強い税理士をお求めならこちら
*ブログ:http://k.d.combzmail.jp/t/2732/b0zq8wv0yjpp19pucmxdK
*会社設立をお考えなら: http://k.d.combzmail.jp/t/2732/b0zq9wv0yjpp19pucmnAg
*E-mail:
 →転送はご自由に!バンバン転送しちゃってください。
*解除はこちらから
 → http://k.d.combzmail.jp/t/2732/b0zqawv0yjpp19pucm6ll
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~