◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇vol.263-2014.12.04
      
  ☆☆☆ Weekly Accounting Journal ☆☆☆

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こんにちは、エキスパーツリンク/エキスパーツ税理士法人の紺野です。日本
の会計基準は、今、IFRSで揺れ動いています。一方で税制も改正されており、
上場会社及び上場準備会社の決算・経理実務は今後も引き続き、目まぐるしく
変化していきます。これらのエッセンスを、上場会社及び上場準備会社の経理
担当者の皆さん向けに、出来る限り分かりやすくお伝えします。仕事の合間に
軽くどうぞ!

文中意見にわたる部分は僕の私見にもとづきます。このメールマガジンの情報
をもとに実務に適用される場合には、監査法人さんや顧問税理士さん等にご確
認ください。もちろん、エキスパーツリンク/エキスパーツ税理士法人でもま
ずは無料で検討させていただきます。

◆◇今週のCONTENTS◆◇
1.[税務]海外出向者に対する格差補填
2.[法務]復興特別法人税の課税事業年度にご注意
3.[税務]法人減税と見込まれる会計処理
4.[最新J-GAAP]新規テーマ
5.[最新J-GAAP]会計制度委員会報告等の改正
6.[税務]問題174
7.[編集後記]

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1.[税務]海外出向者に対する格差補填
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国際税務担当飯田の記事です。
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日本の親会社から海外の子会社に従業員を出向させる場合、親会社と海外子会
社との給与水準の違いから、その差額について親会社が出向者に対し給与の一
部を補填するケースがあると思います。

出向と格差補填とは
出向とは、出向元法人との雇用契約を残したまま、出向先法人との雇用契約を
締結し役務を提供することです。従業員は出向元・出向先それぞれと労働契約
関係が生ずることになりますが、出向者は出向先に対して役務を提供している
ため、出向者に対する給与は出向先が負担するのが原則です。
とは言うものの、特に新興国では給与水準が日本と比べて低いということもあ
り、同じ職位の従業員の給与でも、海外子会社が出向者に対して親会社と同水
準の給与を支給することは難しいと思います。そのため、出向元である親会社
が給与水準の差をなくすために、出向者の給与の一部を負担することがありま
す。これを格差補填と言います。

格差補填金に関する税務上の取り扱い
法人税基本通達9-2-47では、出向元法人が出向先法人との間の給与の差の部分
として負担した金額について、両者の給与条件の格差を補填するものとして以
下のような場合にのみ、出向元法人の損金に算入してもよいとされています。

1.出向先の法人が経営不振等で出向者に賞与を支給することができないため出
 向元法人が当該出向者に対して支給する賞与の額
2.出向先の法人が海外であることにより出向元法人が支給する留守宅手当
 
 海外子会社への出向者に対しての格差補填は、多くの場合2.が該当すると思
いますが、留守宅手当をいくらでも親会社側で損金に算入できるわけではあり
ません。
あくまでも出向先で給与負担ができない事情がある場合、その合理的な金額が
損金に算入できるのであって、格差の金額を考慮せず、単純に出向者給与額を
親子間で折半するといった贈与的な性格のものは、格差補填には該当せず、海
外子会社への寄附金として全額損金不算入になるおそれがあります。反対に、
現地国で支給する給与の額が大きい場合、現地国において損金が否認される可
能性があります。

日本側では、出向者の雇用契約の内容、海外子会社の就業規則、出向先におけ
る職責別の給与水準等を総合的に勘案し、損金算入が可能な金額を算定する必
要があり、海外子会社側で現地の給与水準を大きく上回る給与を支給する場
合は、現地水準以上の人件費を負担する理由を説明できるようにする必要があ
ります。
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2.[法務]復興特別法人税の課税事業年度にご注意
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国税庁のお知らせのなかに以下のようなものがあります。

復興特別法人税申告書の課税標準法人税額(15欄)の計算誤りにご注意くださ
い(法人の納税者の方へ)

https://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h25/kazeihyojun/index.htm

復興特別法人税は、指定期間が平成24年4月1日から平成26年3月31日ま
でとなっており、基本的にはこの期間内に開始した事業年度に課税されるわけ
です。

ただし、いくつかのケースにおいては、期間按分により計算を行う必要が出て
くるのでご注意ください。

(新設法人の場合)
指定期間内に設立された法人は、指定期間内の日の属する事業年度を課税事業
年度としますが、最後の課税事業年度については、最後の課税事業年度開始の
日から指定期間の末日までの期間までとなります。

例えば、平成24年7月1日に設立された12月決算の法人については、

24年12月期(6か月)
25年12月期(12か月)
26年12月期(12か月)

が指定期間内に開始した事業年度ということになるので、この三期について課
税されそうな感じがしますが、26年12月期については、平成26年1月1日か
ら26年3月31日までの期間だけが課税対象事業年度となります。このため、月
割り按分で算出することになります。この例でいうと、3/12を乗じるというこ
とになります。

(事業年度変更の場合)
事業年度の変更その他の事由により、各課税事業年度の月数の合計が24月
を超える法人は、指定期間内に最初に開始する事業年度開始の日から同日以後
2年を経過する日までの期間内の日の属する事業年度を課税事業年度とし、最
後の課税事業年度については、最後の課税事業年度開始の日から当該法人の指
定期間内に最初に開始する事業年度開始の日以後2年を経過する日までの期
間、ということになります。

例えば、9月決算の会社が、平成25年9月30日決算を最後に、3月月決算に
変更したという場合、

25年9月期(12か月)
26年3月期(6か月)

だけが対象のようですが、27年3月期のうち、26年4月1日から26年9月30
日までの期間が課税対象期間となり、この分はやはり、月割按分により算定す
ることになります。

詳細は上記のリンクから確認してください。

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3.[税務]法人減税と見込まれる会計処理
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消費税増税先送りの裏で、法人減税の検討は進んでいます。この場合にどのよ
うな会計処理が必要か考えてみます。

法人実効税率は約35%と言われていますが、これを段階的に20%台に引き下げ
るということになります。

従って一見、今の所得よりも将来の所得のほうが税金が減るということになる
ようですが、そう単純でもありません。

外形標準課税の拡大
繰越欠損金控除の縮小
株式配当の非課税制度の縮小

が見込まれているからです。

税率が下がるということは、単純には税効果会計の実効税率が下がるというこ
とになるわけですから、これにより繰延税金資産負債が影響を受けます。

さらに、将来の課税所得を見積もって回収可能額を算定している場合は、この
将来の課税所得を見積もるにあたって、上述の変更による影響を考慮する必要
が出てきます。

繰越欠損金控除については、現在課税対象の8割まで控除できることになって
いますが、これが5割まで縮小されることになるようですので、将来の課税所
得で繰越欠損金を回収することを見込んで繰延税金資産を計上している場合は、
この分だけ繰延税金資産が減額されることになるでしょう。

株式配当の非課税制度の縮小も将来の益金不算入額が減少する可能性がありま
すので、これが導入されれば、将来の課税所得の見積りに影響することになり
ます。これにより繰延税金資産が減額されることになるでしょう。

もうお馴染みと思いますが、改正税法が決算日までに公布されている場合には、
新税率で算出することになりますので、今後の動向にはご注意ください。

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4.[最新J-GAAP]新規テーマ
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平成26年12月1日、基準諮問会議は、企業会計基準委員会に新規テーマに関
する提言を提出しています。

加速型自社株買いの会計処理
権利確定条件付で従業員等に有償で発行される新株予約権の企業における会計
処理

詳細は、こちらをご参照ください。
https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/minutes/20141201/20141201_01.pdf

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5.[最新J-GAAP]会計制度委員会報告等の改正
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日本公認会計士協会(会計制度委員会)では、下記の委員会報告等の改正を11
月28日付けで公表しています。

(1)会計制度委員会報告第3号「ローン・パーティシペーションの会計処理及
  び表示」
(2)会計制度委員会報告第5号「連結財務諸表におけるリース取引の会計処理
に関する実務指針」
(3)会計制度委員会報告第7号「連結財務諸表における資本連結手続に関する
実務指針」
(4)会計制度委員会報告第7号(追補)「株式の間接所有に係る資本連結手続
に関する実務指針」
(5)会計制度委員会報告第8号「連結財務諸表等におけるキャッシュ・フロー
計算書の作成に関する実務指針」
(6)会計制度委員会報告第9号「持分法会計に関する実務指針」
(7)会計制度委員会報告第12号「研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関
する実務指針」
(8)会計制度委員会報告第14号「金融商品会計に関する実務指針」
(9)「研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関するQ&A」
(10)「土地再評価差額金の会計処理に関するQ&A」

これは現行の関連法令との整合性を図る修正、字句・体裁修正等であり、委
員会報告等の現行の取扱いを変更するものではないため、公表日(平成26年
11月28日)から適用とされています。

ご確認ください。

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6.[税務]問題174
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[問174]
マイナンバー制度について誤った記述はどれでしょうか?

a.個人情報保護法では、5000を超える個人情報を取扱う事業者に義務を課すの
に対して、番号法では、個人番号を取扱うすべての事業者を対象としている。
http://clap.mag2.com/hesouwraga?a

b.個人番号利用事務等に従事する者が、正当な理由なく、特定個人情報ファイ
ルを提供した場合の法定刑として、4年以下の懲役または200万円以下の罰
金又は併科が用意されている。
http://clap.mag2.com/hesouwraga?b

c.民間事業者は個人番号関係事務実施者に該当することはない。
http://clap.mag2.com/hesouwraga?c

[答]
[前回の解答]
前回の正答はb。

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7.[編集後記]
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消費税は平成29年4月からの増税となりました。まだ2年半ありますけど、
また増税です。一方で、法人税は来年度は2.5&以上引き下げ、五年程度で6%
弱引き下げるということが見込まれています。いろいろな考え方はあるのでし
ょうけれども、単純にみると、法人は税金が安くなり、個人は消費税負担が増
すということになりますね。アベノミクスにより、今現在恩恵を受けているの
は、円安によって最高益を更新している自動車や電機などの大手輸出企業です。
これらの会社は法人減税も見込まれるわけですから、生み出した付加価値は内
部留保といわず、従業員、下請け企業、株主などに積極的に配分していただき
たいものです。これが消費需要を喚起するきっかけになるわけですから。本当
にこのサイクルが適切に回っていかなければ、アベノミクスは失敗かもしれま
せん。賃金は上がっているといっていますが、実質賃金は下がっているわけで
すから。

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*発行人: エキスパーツリンク
 公認会計士・税理士・公認内部監査人(CIA) 紺野良一
*URL: http://www.expertslink.jp
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