◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇vol.309-2015.10.26
      
   ☆☆☆ Weekly Accounting Journal ☆☆☆

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こんにちは、エキスパーツリンクの紺野です。日本の会計基準は、今、IFRS
で揺れ動いています。一方で税制も改正されており、上場会社及び上場準備会
社の決算・経理実務は今後も引き続き、目まぐるしく変化していきます。これ
らのエッセンスを、上場会社及び上場準備会社の経理担当者の皆さん向けに、
出来る限り分かりやすくお伝えします。何らかの「気づき」をご提供すること
が出来れば幸いです。仕事の合間に軽くどうぞ!

文中意見にわたる部分は私どもの私見にもとづきます。このメールマガジン
の情報をもとに実務に適用される場合には、監査法人さんや顧問税理士さん等
にご確認ください。もちろん、エキスパーツリンクでもまずは無料で検討させ
ていただきます。
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ありましたら、こちらにどうぞ。紺野に直接届きます。
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◆◇今週のCONTENTS◆◇
1.[税務]株主活動と重複活動
2.[税務]違法な国家補助
3.[開示]企業の開示情報、書式統一へ
4.[開示]監査法人難民
5.[監査]会計監査の在り方に関する懇談会
6.[編集後記]

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1.[税務]株主活動と重複活動
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親会社から海外子会社への役務の提供のうち、その活動が株主活動または重複
活動に該当する場合はグループ内役務提供にならず、対価を徴収する必要はな
いと聞きました。株主活動と重複活動とは、はどのようなものを指すのでしょ
うか。

株主として法令上の権利の行使や義務のための活動については、経済的又は商
業的価値を有しているとは言えないため、グループ内役務提供には該当しませ
ん。

親会社が海外子会社に対する活動のうち、以下のようなものは株主活動に該当
します。

(1) 親会社が実施する株主総会の開催や株式の発行など、親会社が遵守すべき
法令に基づいて行う活動
(2) 親会社が金融商品取引法に基づく有価証券報告書等を発行するための活動

但し、親会社が子会社に対して行う特定の業務に係る企画、緊急時の管理、技
術的助言、日々の経営に関する支援等は、株主としての地位を有する者が専ら
株主として自らのために行うものとは認められないことから、株主活動には該
当しません。

また、親会社が海外子会社に対する投資の保全を目的として行う活動で、かつ、
その子会社にとって経済的または商業的価値を有するものは役務の提供に該当
します。

また、重複活動は、海外の子会社のために行っているものではないという理解
から、役務提供に該当しないことになります。

例えば、日本の親会社が海外の子会社に対して何かを行うとき、海外の子会社
でも同じ活動を自らの費用負担で行っているものについては、それがチェック
目的のために2回行っているというものでなければ、日本の親会社が自らのた
めに行う活動であろうという判断です。

役務提供取引に該当するかの判断は、株主活動または重複活動に該当しないか
どうかを確認する必要があります。

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2.[税務]違法な国家補助
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国家補助とは、一定の企業に直接供与される補助金や、特定の企業に対して選
択的な恩恵を与える租税の軽減等をいいます。後者を税務上の国家補助という
ようです。

EUでは、加盟国はEC(欧州委員会)による事前の許可なしには、EU域内の一定
の企業に対して、補助金や租税負担の軽減等の国家補助を供与することはでき
ません。

事前の許可なしに供与された補助は、法令違反となり、供与を受けた企業は、
当該補助の返済を義務づけられます。これをECではBEPSの一環と考えているよ
うです。

具体的にはこちらをご参照ください。
https://www.pwc.com/jp/ja/taxnews/pdf/pwc-eu-fiscal-state-aid-jp.pdf

で、この21日、欧州連合(EU)欧州委員会(EC)は、

スターバックスなどがEU加盟国から適用されていた優遇課税について、違法な
国家補助に該当するとの判断を示しました。これにより欧州委員会は優遇を認
めていたオランダに追徴するよう命令をだします。この追徴金額は、2000万
から3000万ユーロに達する見込みです。

また、フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)にはルクセンブル
クが優遇措置を実施していますが、欧州委員会は、両国が二社に対し人為的に
低めの課税制度を適用し、違法な選別的な税制上の優遇を提供したと判断し、
同様に追徴を命じるようです。この追徴額も同程度になるようです。

http://www.jiji.com/jc/zc?k=201510/2015102100830&g=int

オランダは「国際標準に沿った取り決めだ」と反発。スタバも法的手段に訴え
る可能性を示唆しているようです。

ベステアー欧州委員(競争政策担当)は「大企業であろうと多国籍企業であろう
と、すべての企業が公正に税を負担すべきだとの明確なメッセージだ」と強調
しているとのことです。

ごもっともと思いますが、「後出し」はなしだと思うのですが。どうなんでし
ょうか。

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3.[開示]企業の開示情報、書式統一へ
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金融庁金融審議会では総会を開き、投資家に必要な情報を分かりやすく提供す
るため、上場企業が開示する有価証券報告書や決算短信などの書式統一に向け
た検討に着手します。

http://www.jiji.com/jc/zc?k=201510/2015102200605&g=eco

議事次第はこちら
http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/soukai/siryou/20151023.html

企業の情報開示については、投資家が必要とする情報を効果的かつ効率的に提
供するため、金融審議会において、企業や投資家、関係省庁等を集めた検討の
場を設け、会社法、金融商品取引法、証券取引所上場規則に基づく開示を検証
し、重複排除や相互参照の活用、実質的な監査の一元化、四半期開示の一本化、
株主総会関連の日程の適切な設定、各企業がガバナンス、中長期計画等の開示
を充実させるための方策等を含め、統合的な開示の在り方について今年度中に
総合的に検討を行い、結論を得る。

としています。

ここにも出てきていますが、株主総会の日程についても、6月下旬に集中し
ている企業の株主総会の日程を分散化させる方策も議論されます。

基準日を4月にずらして、総会の7月開催を企業に促すようです。この7月開催
により、会社法と金融商品取引法に基づく監査手続を実質的に一元化できるメ
リットがあるとのことです。

年度末では一番早く期限がくるのは短信ですよね。監査対象ではありませんが。
表示の監査は一元化されるかもしれませんが、短信までのバタバタは企業側も
監査側もかわらないかもしれませんね。

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4.[開示]監査法人難民
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週刊ダイヤモンドの記事から
「三大監査法人の一つである監査法人トーマツが今、企業の“選別”を進めて
いる。それによって割を食う企業が出始めている。さらに、この波はトーマツ
だけでなく監査業界全体に及んでいる。今後、監査を受けたくても受けられな
い“監査難民”のベンチャーが続々と生まれることにつながりかねない事態に
ある。」

http://diamond.jp/articles/-/80189

記事によると、2015年の監査退任者数ランキングで、トーマツは圧倒的にトッ
プであるそうです。

トーマツは、「契約先の選定は以前から品質管理基準に沿った形で行っている。
(審査強化は)公認会計士協会の指示に応じている」とのことです。

新日本とあずさについては、

新日本は東芝の不正会計問題で、行政処分を免れない情勢で、仮に新規契約の
停止が半年以上の処分となれば、トーマツ退任企業の受け皿になれなくなりま
す。

あずさはすでにキャパオーバーとのことです。

記事では中小監査法人も簡単には引き受けられないということが言われていま
すが、中小は逆にチャンスですよね。

しかし、監査報酬2倍をつきつけるというのは、やり方としてどうなんでしょ
うね。

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5.[監査]会計監査の在り方に関する懇談会
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会計監査の在り方に関する懇談会の議事要旨が公表されていますね。

http://www.fsa.go.jp/singi/kaikeikansanoarikata/gijiyousi/20151006.html

かなり長々としています。

私は感じるのですが、粉飾を生じさせるのは、監査人さえごまかせばどうにか
なる、という企業側の意識ではないでしょうか。

つまり、企業側の粉飾に対する罪の意識が低いのではないでしょうか、という
ことです。

私見では、監査の在り方を議論するのはいいですけど、監査の前に、当事者の
意識を変えるような施策をうつべきだと思うのですが。

この議論のなかでいわれていますが、若い監査人ではだめだろうとか、よほど
勇気がある人でなければ組織的な不正には立ち向かえないだろうとか、監査の
懇談会だから当然なのですが、監査人がもっとしっかりしなければならない、
あるいは監査制度をもっとしっかりしなければならない、的なお話が多いよう
に思います。しかしそれはそうかもしれませんけど、いくら勉強したって、い
くら経験を積んだって、そこまで完璧な監査人に全員がなれるとは思えません。
会計士はあくまで会計士で警察官ではありません。そんなに優秀で強い会計士
がでてこなければ監査は成功しないということであれば、それはそもそも制度
的に破たんしているのではないでしょうか。

私は、粉飾なんかやったら、多額の賠償を背負うことになる、とか、世間に全
く顔向けできないとか、いう意識をもっと経営者、及び実務担当者にもたせる
ことが大事なのではないかと思います。

そのためには、一定の罰則などの規律も必要ですが、企業側への教育をしてい
かなければいけないように思っています。会計を軽視しているんですよね。粉
飾なんかやる経営者も現場の人間も。この「軽視」にそもそもの重大な問題が
あるように思います。

会計士はまじめだから、監査が失敗すれば、監査がいけなかったとだけ考えが
ちですが、もちろんその考えは重要ですが、やっぱり、やる人が悪いんですよ
ね。一義的には。

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6.[編集後記]
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中年フリーター。
現在、35歳から54歳の非正規雇用のいわゆるフリーターの人たちが270万人
にのぼるそうです。中でも一番多いのは1993年大学卒の方だそうで、正に私の
年代です。正社員との年収格差は300万円を超えるそうですし、いつ仕事がな
くなるかわからない不安定な状態なわけですから、非常に不安だと思います。
この方々は当然、消費は切り詰めているわけです。日本は意図的ではないにせ
よ、このような方々を増やすような社会の運営の仕方をしてきてしまったわけ
で、結果的に、社会全体の需要を細らせてしまっているわけですよね。一方で、
企業の内部留保はつみあがっているといいます。その増えた内部留保の一部で
も、より大胆に、昇給や雇用増加による人件費の増加にまわしていければ、消
費はもっと増えるのではないかなと思います。
下流老人、子供の貧困、中年フリーターなど、一億総活躍大臣が取り組むべき
問題は非常に多いのではないでしょうか。

公認会計士紺野良一事務所のHPを作りましたので、是非ご覧ください。

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個人会計士による会社法監査
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*発行人: エキスパーツリンク
 公認会計士・税理士・公認内部監査人(CIA) 紺野良一
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