◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇vol.308-2015.10.19
      
   ☆☆☆ Weekly Accounting Journal ☆☆☆

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こんにちは、エキスパーツリンクの紺野です。日本の会計基準は、今、IFRS
で揺れ動いています。一方で税制も改正されており、上場会社及び上場準備会
社の決算・経理実務は今後も引き続き、目まぐるしく変化していきます。これ
らのエッセンスを、上場会社及び上場準備会社の経理担当者の皆さん向けに、
出来る限り分かりやすくお伝えします。何らかの「気づき」をご提供すること
が出来れば幸いです。仕事の合間に軽くどうぞ!

文中意見にわたる部分は私どもの私見にもとづきます。このメールマガジン
の情報をもとに実務に適用される場合には、監査法人さんや顧問税理士さん等
にご確認ください。もちろん、エキスパーツリンクでもまずは無料で検討させ
ていただきます。
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ありましたら、こちらにどうぞ。紺野に直接届きます。
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◆◇今週のCONTENTS◆◇

1.[税務]企業グループ内役務提供
2.[監査]シャープに8億円支払求め提訴
3.[最新J-GAAP]繰延税金資産の見直しは期首の剰余金だけではなく損益も
4.[税務]電気通信利用役務の提供に係る消費税まとめ
5.[編集後記]

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1.[税務]企業グループ内役務提供
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当社は海外子会社に対して経営、財務等に関する指導等を行っています。親会
社が子会社を指導するのは当然と考えていますが、対価を徴収する必要はある
のでしょうか。

親会社が行う役務提供活動が「経済的価値または商業的価値」を有する場合、
その対価を算定して徴収する必要があります。
経済的価値または商業的価値を有する活動とは、親会社からの役務提供がなか
ったとした場合、対価を支払って第三者に依頼するか、または自ら当該業務を
行う活動を言います。
役務提供取引に関する独立企業間価格の算定方法は、原則として独立価格比準
法と同等の方法あるいは原価基準法と同等の方法となっています。ただし、企
業グループ内での役務提供取引については、本来の業務に付随する役務提供お
よび本来の業務の付随する役務提供以外の役務提供のうち一定の基準を満たす
ものについては、その役務の総原価の額(つまり、利益を乗せなくてもよい)
を用いることができます。
 本来の業務に付随する役務提供とは、役務提供を主たる事業としていない者
が本来の業務に付随または関連して行う役務提供のことを言います。また、本
来の業務に付随する役務提供以外の役務提供のうち、一定の要件とは、以下の
(1)~(5)の要件をすべて満たすものを指します。

(1)役務の内容が以下のいずれかであること
イ 予算の作成又は管理
ロ 会計、税務又は法務
ハ 債権の管理又は回収
ニ 情報通信システムの運用、保守または管理
ホ キャッシュフローまたは支払能力の管理
へ 資金の運用又は調達(事務処理上の手続きに限る)
ト 従業員の雇用、配置または教育
チ 従業員の給与、保険等に関する事務
リ 広告宣伝(製造、購買、物流又はマーケティングにかかる支援を除く)
ヌ その他一般的事務管理

(2)役務が法人または国外関連者の事務活動の重要な部分に関連していないこ

(3)役務提供に要した費用が法人または国外関連者の当該役務提供を行った事
業年度の原価または費用の相当部分を占めていないこと

(4)役務提供を行う際に自己の無形資産を使用していないこと

(5)役務提供に関連する直接費用および間接費用の計算が、当該役務提供に係
る従業者の従事割合や使用資産の使用割合等、合理的な配分割合に依って
いること

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2.[監査]シャープに8億円支払求め提訴
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このニュース、個人的に気になりました。
http://www.asahi.com/articles/ASHBG42SNHBGPTIL00N.html?ref=rss

「機械製造会社「片岡製作所(京都市)」が8億410万円の支払いを求める訴訟
を大阪地裁に起こした」とのことです。

片岡製作所
「太陽電池を生産するための機械設備を発注されたが、代金を受け取っていな
 い」

シャープ
「13日の第1回口頭弁論で請求を退けるよう求めた」

片岡製作所
「2008年ごろにシャープからイタリアの工場に置く太陽電池の生産設備に関す
 る発注を受けた」
「園田シャープの担当者と口頭で合意し、11年10月に設備は完成した」
「シャープの経営悪化が表面化した14年に「発注していない」などとして正式
 に支払いを拒まれた」
「納品直前に正式な発注書を交わす慣習だった」

下請法の適用があるような状況かどうかはわかりませんが、通常シャープのよ
うな大企業であれば発注書は必ず出さなければいけないような仕組みになって
いなければいけないと思います。それはそうなっていたのかもしれませんが、
問題はそのタイミングですよね。「従来から納品直前に正式な発注書を交わす
慣習だった」という証言は、これだけで内部統制の不備といえるのではないで
しょうか。口頭で発注ができていたということですから。どうもJ-SOXってき
ちんと機能しているのかどうか不安になることがあります。ただ現状追認型の
文書を作ればいいというものではないはずなのですが。評価の対象に入ってい
ないのでしょうか。
このような慣習。実は他の業界でも聞いたことがあるように思います。なぜ、
納品直前なのでしょうか。要求品質水準を満たしていない可能性があるからで
しょうか。発注そのものを取り消す可能性があるからでしょうか。いずれにし
てもこの慣習自体改める必要があると思います。

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3.[最新J-GAAP]繰延税金資産の見直しは期首の剰余金だけではなく損益も
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繰延税金資産の回収可能性の見積方法を定めた委員会報告の見直しが進んでい
る話は何度もお伝えしていますが、この見直しは基本的により多くの繰延税金
資産が計上できるようになる方向で検討されています。そしてこの多く計上さ
れたことによる差額は、適用初年度の期首の利益剰余金に加減するものとされ
ていました。

この差額について損益に計上すべき場合もあるとして検討がすすみつつあるよ
うです。

具体的には、今回の見直しのうち、以下の項目については、会計基準等の改正
に伴う会計方針の変更として取り扱うということです。すなわち、期首の利益
剰余金に加減することで処理します。

(1)(分類 2)に該当する企業において、スケジューリング不能な将来減算一時
  差異について回収可能であることを合理的に説明できる場合には回収可能
  性があるとする取扱い
(2)(分類 3)に該当する企業において、おおむね 5 年を明らかに超える見
  積可能期間(例えば 7 年超など)においてスケジューリングされた一時
  差異等に係る繰延税金資産が回収可能であることを合理的に説明できる場
  合には回収可能性があるとする取扱い
(3)(分類 4)の要件に該当する企業であっても、将来において 5 年超にわ
  たり一時差異等加減算前課税所得が安定的に生じることを合理的に説明で
  きる場合には(分類 2)に該当するものとする取扱い

これ以外の場合、すなわち、以下の場合については見積の変更として損益で処
理するというものです。

(4)(分類 1)から(分類 5)の分類ごとに要件を定め、各分類の要件に該当
  しない場合、各分類に示された要件からの乖離度合いが最も小さいと判断
  されるものに必ず分類する取扱い
(5)(分類 2)及び(分類 3)に係る分類の要件について、会計上の利益から
  課税所得に変更する取扱い
(6)(分類 4)の要件に該当する企業であっても、合理的に説明できる場合に
  は(分類 3)に該当するものとする取扱い

実務的にうまく区分できるのか、疑問が残りますが。
https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/minutes/20151009/20151009_09.pdf

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4.[税務]電気通信利用役務の提供に係る消費税まとめ
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何度も紹介してきましたが、平成27年10月1日から、電気通信利用役務の提
供に係る消費税の課税方式が改正されています。私自身もどうも整理しきれ
ない面があるのですが、税務通信(No.3379)にまとめ記事が出ていましたの
で、最低限お伝えしたいところだけ抜き出しておきたいと思います(一部変え
ています)。

○課税売上割合が95%以上の国内事業者の取扱い

(国内事業者が、国外事業者(外国法人の日本支店含む)から提供を受けた場合)
(1)事業者向け取引 課税取引:特定課税仕入れはなかったものとされる
(2)消費者向け取引 課税取引:登録国外事業者からの課税仕入れのみ仕入税額
              控除の対象

(国内事業者が、国外事業者(外国法人の日本支店含む)に提供した場合)
(3)事業者向け取引 不課税取引
(4)消費者向け取引 不課税取引

※特定課税仕入れとは、事業者向け電気通信利用役務の提供及び特定役務の提
 供に係る課税仕入れです。

(事業者向け電気通信利用役務の提供を受けた場合の仕訳)
(例)国外事業者にサーバー利用料(請求金額100,000円)を支払った場合
・支払時に消費税を認識しない場合
 支払時 サーバー利用料 100,000 / 預金 100,000
 決算時 仕訳なし
 →要は今と変わらないということです。

・支払時に仮勘定で消費税を認識する場合
 支払時 サーバー利用料 100,000 / 預金 100,000
     仮払金      8,000 / 仮受金 8,000
 決算時 仮受金      8,000 / 仮払金 8,000

(消費者向け電気通信利用役務の提供を受けた場合の仕訳)
(例)国外事業者からデジタルコンテンツ(請求金額1,000円)を購入した場合
・登録国外事業者からの購入
 支払時 仕入      926 / 預金 1,000
  仮払消費税等   74
 決算時 「仮払消費税等74」は仕入税額控除の対象

・登録国外事業者からの購入
 支払時 仕入      926 / 預金 1,000
  仮払消費税等   74
 決算時 「仮払消費税等74」は仕入税額控除の対象外(控除対象外消費税等)

○課税売上割合が95%未満の国内事業者の取扱い
リバースチャージです。
(事業者向け電気通信利用役務の提供を受けた場合の仕訳)
(例)国内事業者(課税売上割合80%)が国外事業者にサーバー利用料(請求金額
  100,000円)を支払った場合(サーバー利用料:共通対応)
・支払時に消費税を認識しない場合
 支払時 サーバー利用料 100,000 / 預金 100,000
 決算時 租税公課 1,600 / 未払消費税等1,600 (100,000×8%×20%)

・支払時に仮勘定で消費税を認識する場合
 支払時 サーバー利用料 100,000 / 預金 100,000
     仮払金      8,000 / 仮受金 8,000
 決算時 仮受金      8,000 / 仮払金 8,000
     租税公課 1,600 / 未払消費税等1,600

(消費者向け電気通信利用役務の提供を受けた場合の仕訳)
(例)国外事業者からデジタルコンテンツ(請求金額1,000円)を購入した場合
・登録国外事業者からの購入
 支払時 仕入      926 / 預金 1,000
  仮払消費税等   74
 決算時 「仮払消費税等74」は仕入税額控除の対象

・登録国外事業者からの購入
 支払時 仕入      926 / 預金 1,000
  仮払消費税等   74
 決算時 「仮払消費税等74」は仕入税額控除の対象外(控除対象外消費税等)

このほかにも、そもそもの電気通信利用役務の範囲など、確認、検討すべき項
目は多いと思われますので、一度通信費などを再確認されるべきと思います。
ご注意ください。金額は小さいんでしょうけれども、、、。

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5.[編集後記]
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ほぼ毎日サントリーの特茶飲んでます。
日本の消費者庁が認めているのだから、効果あるんだろうな。という、なんと
いいますか、日本の行政機関に対する信頼感みたいなものから飲み始めたので
すが、それなりに効果が出ているような気がしています。飲み始めて、、もう
四か月位たつのかな。食事を減らして、毎日ウォーキングもしているのですが、
体脂肪率は3%程度さがりましたし、体重は5kg位落ちました。食事とウォーキ
ングによる効果だけなのかもしれませんが。
実はこれ以外にも昼食後には特保コーラを飲んでいます。カロリーゼロだし、
脂肪の吸収を抑えるわけですから。特茶で減らして特保コーラで吸収を抑える
というわけです。
体重体脂肪は大体目標達成しましたので、今後はこれを維持しなければですね。
まだまだ特茶と特保コーラ飲み続けることになりそうです。

公認会計士紺野良一事務所のHPを作りましたので、是非ご覧ください。

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*発行人: エキスパーツリンク
 公認会計士・税理士・公認内部監査人(CIA) 紺野良一
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