◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇vol.345-2016.07.19
      
   ☆☆☆ Weekly Accounting Journal ☆☆☆

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こんにちは、エキスパーツリンクの紺野です。日本の会計基準は、今、IFRS
で揺れ動いています。一方で税制も改正されており、上場会社及び上場準備会
社の決算・経理実務は今後も引き続き、目まぐるしく変化していきます。これ
らのエッセンスを、上場会社及び上場準備会社の経理担当者の皆さん向けに、
出来る限り分かりやすくお伝えします。何らかの「気づき」をご提供すること
が出来れば幸いです。仕事の合間に軽くどうぞ!

文中意見にわたる部分は私どもの私見にもとづきます。このメールマガジン
の情報をもとに実務に適用される場合には、監査法人さんや顧問税理士さん等
にご確認ください。もちろん、エキスパーツリンクでもまずは無料で検討させ
ていただきます。

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◆◇今週のCONTENTS◆◇
1.[NEWS]東芝パソコン事業のバイセル取引は粉飾ではないのか?
2.[税務]法人税基本通達の改正
3.[最新J-GAAP]上場子会社株式の減損とのれんの関係
4.[編集後記]

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1.[NEWS]東芝パソコン事業のバイセル取引は粉飾ではないのか?
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東芝の不正会計問題で、証券取引等監視委員会と検察当局が異例の応酬を続け
ています。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160718-00000059-san-soci

パソコン事業のバイセル取引についてですが、以下のような状況になっていま
す。

証券取引等監視委員会
「明らかな粉飾」とみて金融取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)罪で刑
事告発を目指す。

検察
証拠上、疑問点が多いと否定的。

証券取引等監視委員会も、バイセル取引の違法性についての監視委員会の見解
を発表しようとしたが、検察と対立していると誤解される可能性があるとして
直前になってとりやめています。

この記事でおさらいすると、
「バイセル取引は、東芝が調達したパソコンの部品を、組み立てを委託する台
湾のメーカーにいったん売却し、後から完成品を買い戻す手法。部品の調達
価格が外部に漏れないよう原価に一定金額を上乗せした価格で販売し、その
分を上乗せした価格で買い取っていたが、東芝はこの取引を悪用。決算期末
に大量の部品を販売することで、一時的に得られる上乗せ分を利益として計
上していた。」
ということなのです。

これ、一般的には、未実現利益だとして、明らかな粉飾であるとされています。
記事にもそう書いてあります。

それではなぜ、訴追できないのでしょう。

委託先への売却取引は違法性なく成立しているので、それを形式的に忠実に会
計処理すればこうなるわけです。しかしながら、買戻し義務があるのであれば
収益は実現していないという結論になり、収益計上は認められないはずですが、
その義務があることを明確に詰め切れなかったのですかね。

「(1)100円で仕入れた材料を105円で売りました。(2)委託した加工終了後110
円で買い戻します。」という場合で考えてみます。

買戻し義務があることを詰め切れなければ、(1)と(2)は法的には別の取引です
から、総額主義の原則などから考えれば、否定しきれない面もでてきてしまう
のですかね。個人的には、東芝のパソコン部品なのですから、実質的に考えて、
買戻し義務があるのは明らかなように思うので、ここは粉飾であるとの結論を
期待したいところです。

ところで、未実現利益として控除しているところもあるようにうかがいますが、
本当に未実現利益なのでしょうか。個人的には、連結グループ外への販売であ
る以上、未実現という見方はなじまないように感じます。未実現とはグループ
内にとどまっているがゆえに未実現なのですが、このケースではグループ外に
移管されているわけです。

個人的には、時点の問題はさておき、そもそも在庫のオフバランスを認めてい
いのかという疑問があります(原価のマイナスであれ、収益計上であれ)。個人
的には、未実現ではなく、そもそもこの在庫のオフバランスを認めないとすべ
きなのだと考えています。

実態に目を向けるべきという会計の原則から考えれば、実質的に引き取り義務
はあるのだから、(1)と(2)は一体と考えるべきだと思います。私個人的に
は、この105円は将来の引き取りのときに返す必要のある「預り金」だと思い
ます。そして台湾の委託先にパソコンの部品が移ったとしても、実質的に東芝
がリスクを負担している、すなわち、東芝の在庫であることに変わりはないと
いう処理をすべきように思います。従って、販売は成立しているが未実現利益
として利益を繰り延べるのではなく、そもそも販売は会計上は成立しておらず、
105円は預り金として処理し、110円の引き取り義務が生じた際に、105円を充
当する。以下のようなイメージです。

(1) 未収入金 105円 / 預り金 105円
(2) 外注費  5円(在庫計上) / 未払金 110円
預り金 105円

入金のタイミングや、相殺の仕方により、変わってくると思いますが、その主
旨はそもそも(1)の時点では販売を認識しないということです。それともこう
いう主旨のことを未実現と表現しているのでしょうか?

実際は100円に対して105円どころではなく、何倍もの価格で売却していたよう
ですので、悪質ですね。

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2.[税務]法人税基本通達の改正
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国税庁は、平成28年6月28日、法人税基本通達の一部を改正しています。
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/hojin/kaisei/160628/index.htm

主な改正点は、次のとおりです。

(法人税基本通達関係)
(1)役員給与の損金不算入(改正)
 事前確定届出給与の内容に関する税務署長への届出が不要となる給与の対象
に将来の役務提供に係る一定の特定譲渡制限付株式等による給与が加えられ
ました。
 利益連動給与の算定の基礎となる利益に関する指標の範囲に、利益の額に有
価証券報告書に記載されるべき事項による調整を加えた指標等が含まれるこ
ととされました。

これを受けて、以下のように通達が新設されています。

・過去の役務提供に係るもの(基通9-2-15の2 新設)
事前確定届出給与の届出省略の対象となる特定譲渡制限付株式による給与に
ついては、将来の役務提供の対価としてその役員に生ずる債権と引換えに交
付されるものによる給与に限られていることから、過去の役務提供に係る債
権と引換えに交付される譲渡制限付株式による給与は事前確定届出給与に該
当せず損金不算入であることを明らかにしています。

・利益の状況を示す指標の意義(基通9-2-17の2 新設)
利益連動給与の算定の基礎となる利益の状況を示す指標は、利益に関するも
のに限ることとされており、売上、株価、配当、キャッシュ・フロー等は、
利益の状況を示す指標には該当しないことを明らかにしています。

・利益の状況を示す指標に含まれるもの(基通9-2-17の3 新設)
利益の状況を示す指標は、利益の額に有価証券報告書に記載されるべき事項
による調整を加えた指標のほか、これに準ずる指標が含まれることとされて
おり、この準ずる指標に有価証券報告書の任意的記載事項に基づく指標や利
益の額に費用又は収益の額を加減算して得た指標が含まれることを明らかに
しています。

(租税特別措置法関係)
(1)特定多国籍企業グループに係る国別報告事項の提供(新設)
平成28年度税制改正において、連結総収入金額1,000億円以上の多国籍企業
グループに対して、国ごとの収入金額、利益及び納付税額等を記載する「国
別報告事項」の提供が義務付けられました。

これを受けて次のように通達が新設されています。

・総収入金額の範囲(措通66の4の4-1 新設)
国別報告事項の提供義務は、多国籍企業グループの総収入金額が 1,000億
円以上の場合に生じ、この総収入金額の定義は、「連結財務諸表における売
上金額、収入金額その他の収益の額の合計額」とされており、総収入金額の
範囲には売上高のほか、受取利息及び有価証券利息、受取配当金、有価証券
売却益、為替差益、引当金戻入益、持分法による投資利益、固定資産売却益、
負ののれん発生益などの科目により、連結財務諸表に計上した全ての収益の
額が含まれることを明らかにしています。

・総収入金額の円換算(措通66の4の4-2 新設)
外国の多国籍企業グループの総収入金額は外国通貨で表示されることから、
1,000 億円以上の判定における円換算は、直前の最終親会計年度終了の日
の電信売買相場の仲値によることを明らかにしています。

(2)中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例(改正)
平成28年度税制改正において、対象法人が中小企業者等のうち事務負担に
配慮する必要がある法人(常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人
)に限定されました。

これを受けて、次のように通達が改正されました。
・事務負担に配慮する必要があるものであるかどうかの判定の時期(措通67の
5-1 改正)
従業員数基準の判定は、その法人が少額減価償却資産の取得等をした日及び
事業供用した日の現況により行うことが原則ですが、資本金基準とは異なり、
従業員数の変動は日常的に起こり得ることやその把握には事務負担を要する
ことから、法人が期末時の現況により判定することとしている場合には、そ
の事業年度を通じて従業員数基準を満たしているものとみなして取り扱うこ
とを認める旨を明らかにしています。

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3.[最新J-GAAP]上場子会社株式の減損とのれんの関係
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平成28年7月13日の企業会計基準委員会で、基準諮問会議からの新規テーマ
の提言がありました。

https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/minutes/20160713/20160713_02.pdf

これに先立つ基準諮問会議では、以下のような審議がなされています。

https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/minutes/20160713/20160713_01.pdf

(1)子会社、関連会社株式の減損とのれんの減損の関係
→基準諮問会議として、新規テーマとする提言を行う。

(2)マイナス金利に係る種々の会計上の論点への対応
→基準開発の要否及び時期についてASBJの判断にゆだねる。

(3)「経営者が会計方針を適用する過程で行った判断」及び「見積りの不確実
性の発生要因」に関する注記情報の充実
  →次回以降、新規テーマの提言を行うか否か決定する。

現行の基準では、上場子会社株式等を個別財務諸表上減損した場合には、必ず
のれんを償却する必要があります。

資本連結実務指針の32には、以下のような記述があります。

「子会社ごとののれんの純借方残高(連結原則に基づいて会計処理している場
合には、借方残高(のれん)と貸方残高(負ののれん)との相殺後)につい
て、親会社の個別財務諸表上、子会社株式の簿価を減損処理(金融商品会計
実務指針第91項、第92項及び第283-2項から第285項に従う処理をいう。)
したことにより、減損処理後の簿価が連結上の子会社の資本の親会社持分
額とのれん未償却額(借方)との合計額を下回った場合には、株式取得時
に見込まれた超過収益力等の減少を反映するために、子会社株式の減損処
理後の簿価と、連結上の子会社の資本の親会社持分額とのれん未償却額
(借方)との 合計額との差額のうち、のれん未償却額(借方)に達するま
での金額についてのれん純借方残高から控除し、連結損益計算書にのれん償
却額として計上しなければならない。」

これにつき、1)基準の建付けの不備、2)株価のみに基づくのれんの評価への懸
念、3)最適な評価手法の選択の必要性、4)IFRSとの整合性により、結論として
当該規定の削除を要請しているようです。

個別と連結の整合性を考えればこれはこれでいいようにも思いますが、のれん
は確かに株価だけで評価していいものかということになりますね。上場子会社
と非上場子会社と分けて考える必要があるかもしれません。

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4.[編集後記]
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先日、うちのうさぎが手術を受けました。やはりありました。写真でみせても
らいましたが、大きな梅干し位の腫瘍が三つあったようで、子宮と卵巣ととも
に摘出してもらいました。こんな大きなものが入っていたのかと思うと、いた
たまれない気持ちになりました。獣医の先生によると、手術もその後の経過も
良好ということで、手術二日後には退院してうちに帰ってきました。ただやは
り食欲が以前とは比べものにならない位、少なく、おとなしくしている時間も
多いです。薬も手術前はえさにまぜてあげればよかったのですが、なかなか食
べない(食べないわけではありません。時間をたっぷりかけて食べている感じ
です。)ので、口からいれてあげたほうがよさそうです。チャレンジしてみま
す。でもこれで、寿命が延びたはずですので、早く回復して又元気な姿をみせ
てほしいものです。

公認会計士紺野良一事務所のHPを作りましたので、是非ご覧ください。

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 公認会計士・税理士・公認内部監査人(CIA) 紺野良一
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