◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇vol.164-2012.12.18
      
   ☆☆☆ Weekly Accounting Journal ☆☆☆

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こんにちは、エキスパーツリンク/エキスパーツ税理士法人の紺野です。日本
の会計基準は、今、IFRSで揺れ動いています。一方で税制も改正されており、
上場会社及び上場準備会社の決算・経理実務は今後も引き続き、目まぐるしく
変化していきます。これらのエッセンスを、上場会社及び上場準備会社の経理
担当者の皆さん向けに、出来る限り分かりやすくお伝えします。仕事の合間に
軽くどうぞ!

文中意見にわたる部分は僕の私見にもとづきます。このメールマガジンの情報
をもとに実務に適用される場合には、監査法人さんや顧問税理士さん等にご確
認ください。もちろん、エキスパーツリンク/エキスパーツ税理士法人でもま
ずは無料で検討させていただきます。

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税務専門家として、会社側の視点にたった各種支援を行っています。

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◆◇今週のCONTENTS◆◇
1.[監査]不正リスク対応基準公開草案~「最終兵器はなし?」~
2.[NEWS]上場会社の役員と公認会計士に関する実態調査
3.[税務]事前確定届出給与
4.[税務]売掛債権の帳簿貸倒れの特例のおさらい
5.[税務]問題75
6.[編集後記]

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1.[監査]不正リスク対応基準公開草案~「最終兵器はなし?」~
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企業会計審議会第32回監査部会で、不正リスク対応基準(案)が公表されました。
http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kigyou/siryou/kansa/20121211.html

この基準の位置づけなんですが、

「すべての監査において実施されるのではなく、主として、財務諸表及び監査
報告について広範囲な利用者が存在する金融商品取引法に基づいて開示を行っ
ている企業に対する監査において実施することを念頭に作成されている。なお、
本基準の適用範囲は関係法令において明確化されるものであり、関係法令にお
いて明示的に求められていない限り、本基準に準拠することを要しない。」

ということですね。基本的に金商法監査会社だけなんですね。さらに、適用さ
れるのは、簡単にいうと、不正のリスクが高いと思われる会社であり、通常は
適用されないということでいいんじゃないでしょうか。

いわゆる「抜き打ち監査」については、

「監査人は、財務諸表全体に関連する不正リスクが識別された場合には、抜き
打ちの監査手続の実施、往査先や監査実施時期の変更など、企業が想定しない
要素を監査計画に組み込むことが必要になる。」

ということですから、この基準に含まれています。

一方で、「最終兵器」はどうしたんでしょうか。以前ご紹介しました以下の手
続です。

スキーム1 取引先に求める確認状に取引先の監査人による署名を求める。
スキーム2 取引先の監査人に連携依頼、取引先の監査人は調査結果を具体的
に監査人に報告する。

これらは見当たらないようです。これらの手続が入っていないのなら、現行監
査基準委員会報告書とそんなに違わないような気もしますが、、、どうなんで
しょうか?

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2.[NEWS]上場会社の役員と公認会計士に関する実態調査
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日本公認会計士協会は、本年11月に東京証券取引所及び大阪証券取引所の協
力を得て、「上場会社の役員と公認会計士に関する実態調査」の単純集計結果
を中間報告として公表しています。

http://www.hp.jicpa.or.jp/specialized_field/main/post_1652.html

公認会計士が役員に就任している会社は36.4%だそうです。時系列の推移が知
りたいですね。

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3.[税務]事前確定届出給与
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本メルマガの読者の方ならご存知のことと思いますが、役員給与で損金算入で
きるものは、

定期同額給与
事前確定届出給与
利益連動給与

であります。

今回は事前確定届出給与について書くのですが、

そもそも、事前確定届出給与とは、「その役員の職務につき所定の時期に確定
額を支給する旨の定めに基づいて支給する給与であって、定期同額給与及び利
益連動給与に該当しないものをいう」のであり、

基本的に「その役員がその職務の執行を開始する日と期首から4月を経過する
日のいずれか遅い日その他所定の届出期限までに、所轄の税務署長に対してそ
の内容に関する所定の届出をしている」ことが必要になります。

これについてなのですが、以下のような取り扱いがあるのでご紹介しておきま
す。

「3月決算で、X年6月26日の定時株主総会において、取締役Aに対して、定
期同額給与のほかに、同年12月25日及びX+1年6月25日にそれぞれ300万
円を支給する旨の定めを決議し、届出期限までに所轄税務署長へ届け出ました。
この定めに従い、当社は、X年12月25日には300万円を支給しましたが、
X+1年6月25日には、資金繰りの都合がつかなくなったため、50万円しか支給
しませんでした。」

という場合です。

http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/hojin/11/16.htm

この場合の結論ですが、
「X年12月25日に届出どおり支給した役員給与については、損金の額に算入し
て差し支えありません。」
とされています。

事前確定届出給与は、定めた通りに払わなくてはならないので、もう最初から
届け出はあきらめて、賞与は払わないとするか、あるいは、もう自己否認する
というケースもあるように思います。

上記のような取り扱いもありますので、ご確認ください。

ただ、この質疑応答事例には、「この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提
とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではあ
りませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、
この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。」
という注記があることにご注意ください。

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4.[税務]売掛債権の帳簿貸倒れの特例のおさらい
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貸倒損失は法人税基本通達9-6-1~9-6-3に定められています。

今回はいわゆる売掛債権の帳簿貸倒れの特例(法人税基本通達9-6-3)について
みてみたいと思います。

http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/hojin/09/09_06_01.htm

売掛債権について、次の事実が生じたときは、備忘価額を控除した残額を貸倒
れとして処理したときはこれが認められます。

(1) 債務者との取引を停止した時(最後の弁済期又は最後の弁済の時が当該
停止をした時以後である場合には、これらのうち最も遅い時)以後1年以上経
過した場合(当該売掛債権について担保物のある場合を除く。)

(2) 法人が同一地域の債務者について有する当該売掛債権の総額がその取立て
のために要する旅費その他の費用に満たない場合において、当該債務者に対し
支払を督促したにもかかわらず弁済がないとき

よくあるのは(1)だと思います。

で、ここで買いておきたいのは、売掛債権で1年経過したらそれでいいのか、
ということです。

注書きがありますので、注意してください。

「(注) (1)の取引の停止は、継続的な取引を行っていた債務者につきその資産
状況、支払能力等が悪化したためその後の取引を停止するに至った場合をいう
のであるから、例えば不動産取引のようにたまたま取引を行った債務者に対して
有する当該取引に係る売掛債権については、この取扱いの適用はない。」

とされているんです。ポイントは2点あります。

・「資産状況、支払能力等が悪化したため」という文言が入っていること
・「たまたま取引を行った債務者に対する売掛金」はだめだということ

です。

ただ単に1年経過した売掛金だから落としてしまえということでは、これらの
要件を満たしていない可能性がありますのでご注意ください。状況をよく検討
してみてください。

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5.[税務]問題75
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[問75]
平成25年1月以降、講演料として税引手取額100,000円を支払う場合、納付す
べき所得税及び復興特別所得税の合計額はいくらでしょうか?

ア.11,370円
イ.10,000円
ウ.11,111円

[答]
a.ア
http://clap.mag2.com/hesouwraga?a

b.イ
http://clap.mag2.com/hesouwraga?b

c.ウ
http://clap.mag2.com/hesouwraga?c

[前回の解答]
前回の正答はbです。

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6.[編集後記]
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自由民主党が圧勝して、早速大型の補正予算の話が出ています。このような話
が出る度に、僕のなかでは、「公共投資依存はもうやめようよ(A)」という考
えと「いやいや、やはり公共投資による需要創出効果はあなどれないよ(B)」
という考えとが交錯します。

(A)「国債残高を考えたら、おいおい、これ以上借金増やすの?」、「経済政策
は新自由主義的に市場の効率化を追求するようにするだけでいいんじゃない?」、
(B)「セイの法則(新しいものをつくれば売れる的な発想)なんてありえないでし
ょ」、「需要作らなきゃ」、「笹子トンネルみたいに古くなった公共財の補修
は待ったなしだよ?」、
(A)「スマホはどうだろう。セイの法則なりたってない?」
(B)「中国減速で足元経済やばいんだから、公共投資でもしておかないとやば
いって」
という感じでしょうか。みなさんどうですか?

info@expertslink.jp

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*発行人: エキスパーツリンク
 公認会計士・税理士・公認内部監査人(CIA) 紺野良一
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