◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇vol.165-2012.12.25
      
   ☆☆☆ Weekly Accounting Journal ☆☆☆

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こんにちは、エキスパーツリンク/エキスパーツ税理士法人の紺野です。日本
の会計基準は、今、IFRSで揺れ動いています。一方で税制も改正されており、
上場会社及び上場準備会社の決算・経理実務は今後も引き続き、目まぐるしく
変化していきます。これらのエッセンスを、上場会社及び上場準備会社の経理
担当者の皆さん向けに、出来る限り分かりやすくお伝えします。仕事の合間に
軽くどうぞ!

文中意見にわたる部分は僕の私見にもとづきます。このメールマガジンの情報
をもとに実務に適用される場合には、監査法人さんや顧問税理士さん等にご確
認ください。もちろん、エキスパーツリンク/エキスパーツ税理士法人でもま
ずは無料で検討させていただきます。

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◆◇今週のCONTENTS◆◇
1.[税務]来年1月に税制改正大綱、3月法案国会提出
2.[監査]監査における不正対応基準の公開草案
3.[税務]労働保険料の損金算入時期のおさらい
4.[最新J-GAAP]税率変更と連結上の評価差額に係る税効果
5.[税務]問題76
6.[編集後記]

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1.[税務]来年1月に税制改正大綱、3月法案国会提出
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諸行無常の感があります。自民党税制調査会復権です。

平成24年12月21日、自民党税制調査会が開かれ、来月中に、自民・公明両党
で税制改正大綱をまとめたうえで、来年の3月までに税制関連法案を国会に提
出することを目指しているようです。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121221/k10014353421000.html

自民党の政権公約「J-ファイル2012」みてみましょう。
http://www.jimin.jp/policy/pamphlet/pdf/j_file2012.pdf

いくつか、私なりに抜粋、要約します。詳細は原本にあたってくださいね。

『36 法人税の大胆な引き下げによる雇用の拡大につながる企業環境の整備
~法人税については、国際的整合性及び国際競争力の強化の観点から~法
人税を国際標準に合わせて思い切って減税します。』

『53 投資協定・租税協定締結の促進
~二国間の投資協定や租税協定等により資本移動の自由化を推進します。
海外子会社の配当、ロイヤリティ等の還流資金の二十課税は完全撤廃を目指
します。~。』

『180 安心社会実現に向けた税制抜本改革
(税率及び引上げ時期、使途)
~引上げに当たっては実施時期の半年前に、社会保障制度改革国民会議の結
論を踏まえつつ、経済状況を確認の上、予定通り実施するかの判断を内閣が
行う~。

(低所得者、中小・小規模事業者への配慮)
~今後、食品等に対する複数税率の導入を検討し、関係者の理解を得た上で
実施します。簡素な給付措置については、低所得者に配慮した所得の再分配
に関する総合的な施策の実現までの間の暫定的及び臨時的な措置として実施
します。

(国民生活全般への配慮)
~所得税については、~平成24年中に必要な法制上の措置を講じます。~配
偶者控除は維持し、児童手当との関係を整理した上で年少扶養控除を復活し
ます。』

などなどです。自民党税制調査会、注目ですね。

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2.[監査]監査における不正リスク対応基準公開草案
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以前からお伝えしている監査における不正リスク対応基準ですが、公開草案が
出ました。

http://www.fsa.go.jp/news/24/sonota/20121221-4.html

この基準の適用ですが、以前ご紹介したときは「主として金融商品取引法に基
づいて開示を行っている企業」というように掲載したように記憶していますが、
この公開草案では、

『主として、財務諸表及び監査報告について広範囲な利用者が存在する金融商
品取引法に基づいて開示を行っている企業(非上場企業のうち資本金5億円
未満又は売上高10 億円未満かつ負債総額200 億円未満の企業は除く。)に対
する監査』

となっていまして、金商法適用会社でも小規模な会社は除かれていますね。ご
注意ください。

不正リスク対応基準及び改訂監査基準は、平成26年3月決算に係る財務諸表の
監査から実施です。なお、不正リスク対応基準中、第三 不正リスクに対応し
た監査事務所の品質管理については、平成25 年10 月1 日からの実施です。

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3.[税務]労働保険料の損金算入時期のおさらい
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労働保険料の損金算入時期確認しておきましょう。

法人は、使用人につき、いわゆる労災保険と雇用保険に加入して、その保険料
を納付する必要があるわけです。

このうち労災は全額会社負担で雇用保険は労使で保険料を負担します。この会
社負担分の保険料は

毎年4月から3月の分を6月1日から通常40日以内に前年度(4月から3月、保険
年度といいます)の実績に基づいて概算保険料を納付して、

翌年の6月1日から通常40日以内に当該保険年度の実績に基づいて確定保険料の
額を計算して申告するとともに概算保険料との差額を納付、充当又は還付する
ことになっています。

まず、概算保険料を払って、翌年に確定保険料との差額を精算するわけですね。

ではこれらの会社負担分保険料はいつ損金算入されるのでしょうか?

法人税基本通達9-3-3によると、
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/hojin/09/09_03.htm

通常、

(概算保険料)
⇒概算保険料に係る申告書を提出した日又はこれを納付した日の属する事業年
度の損金の額に算入する。

(確定保険料に係る不足額)
⇒確定保険料に係る申告書を提出した日又はこれを納付した日の属する事業年
度の損金の額に算入する。
⇒ただし、当該事業年度終了の日以前に終了した保険年度にかかわる確定保険
料について生じた不足額については当該申告書の提出前であっても、これを
未払金に計上することができる(※)。

(確定保険料に係る超過額)
⇒確定保険料に係る申告書を提出した日の属する事業年度の益金の額に算入す
る。

とされています。

労働保険料会社負担分についてはいくつか処理のパターンが考えられます。

ちゃんとやるのであれば(3月決算をイメージしています。)、

(1)実際に支払った概算保険料を月割りでならして計上し、確定との差額は納
付時に処理する

(2)毎月の給与支給実績に応じて確定保険料をあらかじめ算出し未払計上し、
納付額との差額は未払金なり未収入金なりで処理する

でしょうか。会計的には(2)が最もよいのでしょうね。(1)のように概算で月
割しておいて決算時に確定との差額を未払計上してもよいかもしれません。

では税務上はどうなのか。

概算部分は(1)(2)ともに全く問題ないわけですが、確定との差額については
納付時に処理する(1)は問題ありませんし、(2)の場合でも、上記(※)のとお
り未払金で損金算入することが認められているので問題ないわけです。

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4.[最新J-GAAP]税率変更と連結上の評価差額に係る税効果
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各社とも税率改正がありまして税効果の実効税率を変更してきているはずです
が、ちょっと確認しておきたいと思ったのは、

連結上の評価差額に係る税効果部分の税率変更の影響はどう処理するのか?

です。

評価差額といっても、その他有価証券評価差額金とは違いますよ。この話では
なくて、連結上の評価差額の話です。連結財務諸表作成時に、子会社の資産負
債を時価評価して税効果を控除した額を評価差額として処理して子会社株式と
相殺しますよね。この結果連結財務諸表では評価差額という勘定科目は消える
わけですが。この部分の話をしています。よくあるのは土地の時価評価でしょ
うか。

これですが、有価証券の評価差額については、
『資産又は負債の評価替えにより生じた評価差額が直接純資産の部に計上され
る場合において、当該評価差額に係る繰延税金資産及び繰延税金負債の金額を
修正したときは、修正差額を評価差額に加減して処理するものとする(税効果
会計基準注解(注7)ただし書)。』
とされていますので、税率変更により変動した部分はその他有価証券評価差額
金勘定が変動するわけですが、

ここで話題にしている連結上の評価差額はこうではありません。

『子会社の税率の変更に伴う繰延税金資産又は繰延税金負債の残高の増減や、
評価差額の実現に伴う繰延税金資産又は繰延税金負債の残高の取崩しは、評価
差額の修正ではなく、税率変更年度又は評価差額の実現年度における連結損益
計算書に法人税等調整額として計上する。(連結税効果実務指針25)』

のです。法人税等調整額で処理するのですね。

連結上の評価差額は子会社株式との相殺によりすでに消えているわけですから、
考えてみればあたりまえなわけですが、ご注意くださいませ。

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5.[税務]問題76
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[問76]
次のうち、法人税基本通達において、棚卸資産の取得価額に算入しないことが
できる費用として例示されているが、固定資産の取得価額に算入しないことが
できる費用としては例示されていないものはどれでしょうか?

ア.固定資産税及び都市計画税の額
イ.不動産取得税
ウ.新増設に係る事業所税

[答]
a.ア
http://clap.mag2.com/hesouwraga?a

b.イ
http://clap.mag2.com/hesouwraga?b

c.ウ
http://clap.mag2.com/hesouwraga?c

[前回の解答]
前回の正答はaです。

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6.[編集後記]
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本当に早いもので、あっという間に今年最後の発行となりました。皆様本年も
ご購読ありがとうございました。今年は皆様にとってどのような年でしたでし
ょうか?僕自身はあまりいい年ではなかったように思いますが、今の心境は、
あまりこのような考え方をしていてはいけないように思っています。今の自分
は過去の自分の行いが招いた必然であり、大きく言えば、運などに左右されて
はいないという認識をより強くもつことが必要だな、と思っています。歳がバ
レますが、今年は後厄でしたからこれで厄年3年間がやっと終わります。まあ
そんなこと関係なく、来年は実行あるのみ。がんばります!

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*発行人: エキスパーツリンク
 公認会計士・税理士・公認内部監査人(CIA) 紺野良一
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